アンプがトラブっていて完全ではないのだが、これはHDMIの認識に10分かかるだけであり、いったん認識してしまえば問題はないので、その状態でブログ記事にしてみた。

 

キャラバンは、イングランド南部にあるケント州カンタベリーで結成された。ワイルドフラワーズを源としているが、ソフトマシーンも同じ源であり、どちらもカンタベリーロックの代表的なグループだ。

今回はグレイトピンクの地を聞く。
オリジナル作品1971年 
版はDVD 5.1ch で、CD2枚、DVDの3枚組のもの。
Steven Wilsonによる5.1chミックス 

当然ながら限定版だ。
いつ買ったか覚えていないが、40th anniversary edition ,2011とクレジットされているので、13年前に出たのだろう。

3rdアルバムの本作は、LPジャケットが非常に美しい。僕が所有する数多いLPの中でも特に突出して気に入っている。

DVDのジャケは、なんと、ジャケ表紙の重要な場所に、無神経なシールがベタッと張り付いていてしらける。
みて。



これはないでしょ、さすがに。
 

まぁ、LP持っているからいいけど。

 

ジャケは最高。

内容も充実している。
 A面に小曲、B面に大作1曲という構成なので、ピンクフロイドの1970年の原子心母、1971年のおせっかいあたりと曲の配列では共通点があると思う。

さて、この懐かしい名盤のマルチch版を、1971年の英国版LPと聞き比べしよう。

デビットシンクレアが演奏するオルガンが特徴的なおとなしい音楽だが、side2の9フィートのアンダーグランドは23分の大作で、聞きごたえがある.よーく聞くと、キャメルのBrethlessと音のイメージはとても似ている。音の解像度はだんぜんキャメルが上だけれど。

このオリジナルソースを、5.1chネイティブ盤で再生すると、左右サラウンドchからギターが分離して聞こえ、それが頭の中で定位するものだから、ヘッドホンで聞いている感じを受ける。しかもセンターchからきこえるヴォーカルは遠くから控えめな音量で提示されていて、2chで聞く密度の高さをずいぶん薄めた感じを受ける。どうも、こうした聞こえ方は個人的には物足りない。
Auromaticで13.1chにしても同じ傾向で、残念だがイマーシブ完成度は低い.

さらにダメ押しすると、我が家のセッティングでは真横から聞こえるサラウンドチャネル(SR/SL)と同じような音をその上に位置するSP(RHR/RHL)でも音が出てしまう。しかも、あるときはギターとか、あるときはオルガンだけに集中して真横からでるような、意味のないサラウンド感が提示され、昔のCD-4のさぁこれでもか、という無理さが出て気持ち悪く音楽どころではない。

一方、2chのリミックス(CD)は,ステレオなので全面にではあるがサウンドステージはきれいに完成する。LPレコードよりもクリアなのは良いのだが。。。

 

 クリアさは悪くはない。が、部分的なクリアさであって、窓ガラスの一部だけを雑巾がけしたような、やらないほうがよいクリアさに聞こえる。オルガン以外の解像度は特に上がらず、オリジナルLPの方が音のバランスが良い。リミックス時に1つのチャネルだけいじって、全体のリバランスを忘れていたのではないだろうか。

LPのスペアナの写真を添えるが、聞くダイナミックレンジは十分に大きい。オルガンが滑らかに優しく聞こえる分、LP(当然に2ch)の方が満足度が高い。LPでの音作り完成度が高いのだ。



LPの良さにくらべると、DVD5.1chも、それをAutomaticで拡張し13.1ch化しても、楽しめなかった。おそらく、5.1chが悪いから、それをがんばって拡張したところでダメなのだと思う。

傑作のオリジナル2chを、5.1マルチチャネル盤は凌駕していない。

もしかすると、この時代のSteven Wilsonは、マルチch化の素人で、こうした経験を積みながら,いまや名をとどろかる存在になったのかもしれない。
 

とにかく、この5.1ch盤は残念な仕事になった、と思う。
少なくとも、ジャケを粗末にするようなことはしないでほしいものだ。


オリジナル満足度      ★★★★★
5.1ch完成度           ☆
Auromaticイマーシブ度 ★