本日バイロイト音楽祭でタンホイザーを堪能した。

112回目の開催で、7月25日から8月27日まで続く今年のプログラム、指揮者はタンホイザーはシュトゥッツマンだった。サイモンラトル、小澤征爾の言ってみれば弟子。ほぼ全員が総立ちの、凄いスタンディングオベーションだった。

 

他の作品の指揮は、トリスタンがビシュコフ、パルシファルがカサド、オランダ人はリーニフ、指輪はヤング。ヤングは始めての登場。

 

さて、シュトゥッツマンのタンホイザーだけど、彼女は歌手出身だから、もしや、指揮しながら、歌手を兼務するのかな、とこっそり期待したのだが、さすがにそれはなかった。歌の大会を行うというシナリオだから、一曲くらい、アンコールで披露してくれても良いのに。

  まぁ、そんなことをするのであれば、昨年が彼女のバイロイト初演で、同じタンホイザーだったのだから、事前にネタバレになるか。

 

 とにかく、あちこちで映像を駆使する凄い演出。演出はクラッツァーの仕事だ。 演出自体は数年前からあるもので、2019年はゲルギエフも振った。その時にみたのだけど、同じ演出ではあるものの、プロジェクション映像は少し変化している。こうした映像を使う演出は、非常に効果的だ。映像を好まない昔ながらの演出を好む人も多いが、僕は好きだ。

 

今回のバイロイトは、ナタリー・シュトゥッツマン、オクサーナ・リーニフ、シモーネ・ヤングの3人が女性だ。もしかすると、2023年は、チケットが売れ残ったので(たぶん歴史上はじめて)、変化をつけてきたのかもしれない。

 ヤングは、シドニーオリンピックで開会式の演奏をした人なので、世界的にも知れ渡っている。本当はジョルダンを登用するはずだったが、キャンセルされたので、ヤングに変更したと発表されたのが、今年に入ってからだった。ジョルダンは、今年が2020から就任したウィーン国立歌劇場での音楽監督の、任期最後の年になるので、そちらに力を入れるのかな。

 昨年のザルツブルグは、ジョルダンが見事なマクベスを仕上げた。マクベス役はザルツブルグの華、グリゴリアンが圧倒的な存在感で歌い上げて、素晴らしかった。この時は、なんとジョルダンは代役で、本当はメストが指揮する予定だったので、ピンチヒッターだったわけだから特別な緊張感があったはずだ。珍しくBDメディアで販売されるので、ぜひ聞きたい。DTS-HD MA 5.0chで収録されるようだ。
  (残念ながらAuro-3Dは入らない。こういった、ここぞという音楽で採用されてほしいのだけど)

今年のバイロイトは、指輪が2サイクル(zyklus)繰り返される(つまり8夜やる)、非常に恵まれたプログラムになっている。来週に2回目のサイクルがあったあと、最終日に演奏されるのも、今夜と同じタンホイザーだ。

ここのホールは、昔ながらの木造で、圧倒的に音が良い。1Fの席では音がホールに溶け込み、オペラ全体が心地よい。

 

 

2Fのバルコンではステージからの直接音がダイレクトに来るので、ドイツ語さえわかれば、何を言っているかわかる(昔のドイツ語でうたうので凄まじい語学力が必要だけど)

なお、未だに古い情報がはびこっているが、この音楽祭では、正装を強要されていない。タキシードの人は、2割程度。10年以上前だと、大半が正装であったのだが、いまやそんな人はいない。理由は簡単、暑いから。

オケのピットは密室でもっと蒸し暑いので、楽団はTシャツである。だから観る我々も、薄いサマージャケットを手にもってゆけば十分であり、しかもカッターシャツは半そでにすべきである。

とはいえ、
グラインドボーンが「オペラの内容は初めてだし知らんしピクニックで酒を楽しむ音楽祭である」、に対し、こちらは、「オペラを知り尽くし予習までしてきて、しっかり中身を楽しむ音楽祭」、である。
 

むかーし、むかーし。アリストテレスというギリシァの哲学者が、
物体の重さは大きいほど速く落ちる、その速度は重さに比例すると本に記した。

16世紀まで、それは世界で信じられていた。

僕が読んだ伝記では、ガリレオがピサの斜塔で重い球と軽い球を落として同時に落ちることを示したというが、実際は、ガリレオの弟子がやったらしい。

1971年、アポロ15号の月面活動で、羽とハンマーを同時に落とし、同時に着地させたのは有名だ。
ガリレオは正しかった。

さて、

命題(1)
 「マルチchを構成するSPを選定するとき、すべてのスピーカーを同じ製品にそろえるのが正しい」

この命題は正しいと皆がいう。

でも根拠は聞いたことがない。
そんな根拠はないのだ。

でも、なんとなくそう思うから、正しい気がしている。
根拠がないのに皆がいうということは、だいたいが怪しい。


アリスストテレスの話を信じているようなものだ。

アリストテレスよりスケールが小さくって恐縮だが、(1)の命題はウソである。

以下の図は、ITCが標準化しているマルチチャンネルのスピーカー配置図だ。



ここからが問題。
これを、同じスピーカー(SP)でそろえる必要がある、というオーディオマニアが大多数なのだ。

実は、同じSPにそろえなくてよいという根拠を僕はもっている。

少なくとも、バックスピーカーに関して、述べておきたい。

耳介の存在だ。

顔から飛び出た部分の、耳たぶを含む部分で、耳介という。

耳は、上からみると、こう見える。



この確度は人によって角度が違うようだが、30°くらいまでに収まるのが普通で、40°を超えると良くないらしい。
30°というのは、先ほどの角度でいうと、バックスピーカーの150°に位置に相当する。


150°の角度に設置したバックスピーカーからの音は、耳介がじゃまをするので、外耳道に入ってこない。

当然に位相や音色、音量でさえも、正確には判定できない。

それでも音が聞こえるのは、耳介を通過して入る音か、もしくは、部屋で反射した音があるからだ。

試しに、フロントスピーカーの音を、頭は後ろをみた状態で聞くとわかる。

その状態で聞いた音は、きちんと音を判定できない。

どうしても、後ろを振り返り(つまり前を見て)聞いてしまう。

だから、うしろのスピーカーは、フロントやサイドと比べて、適度に格下の製品で十分だと思う。

日本のサイトをみていると、フランスで差別を受けたとか、レストランで悪い席に案内された、という記事や投稿が目立つ。

僕も日本人なので、そうした記事には敏感で、みつけたら読むことが多いのだが、この人、勘違いしているなと思うことが大半だ。それに、予約の仕方が悪いとも思う。

その話をしたいのだが、「あれこれ文句いうのであれば、最初からミシュラン★レストランに行くべき」と考えるので、その前提で話をすすめる。

★レストランの、特に★★以上では、レストランの雰囲気を壊さぬよう、アジア人やアフリカ人などの有色人種の比率を50%までにしている。白人だからと言ってアメリカ人も好まれない。カメラを手にうるさいからだ。
 席が空いているのに断られた、というのは、その理由であり、そもそも予約なしで入ろうとしている段階で間違っているのだ。

ただ、予約が入っていれば、席は確保されている。でも、リコンファームが必要だ。リコンファームをしていないと、キャンセルされることがある。これは★レストランの常識としてほしいし、日本でも高級レストランは同じである。

次に、変な席に案内された、という人も多い。もしかすると、ウェイティングバーに案内されたのではないだろうか。ここは、席に進む前に一杯飲む場所だ。メンバーがそろっているのであれば、スキップして席に案内してもらえばそれでよい。

なお、女同士のグループは、ディナーでは嫌われるので、悪い席に案内されることがある。

ただ、悪い席と言っても、まがりなりにも★レストランであれば、本当に悪い席なんてことはない。
日本人が悪く感じるだけで、それは良い席かもしれないのだ。

フランス料理に関しては、上席にルールがあって、レストランの真ん中あたり、皆に見られるような場所が一番良い。ちやほやされる感じがあるし、黒服のギャルソンから見やすいのでサービスが良く流れるからだ。日本では窓際が好きな人が多いと思うが、あれはフランスでは悪い席なのである。

さて、料理がなかなか出てこない、という事は非常に多い。これは、フランス料理は、3時間くらい、へたすると4時間かけて、ゆっくり楽しむものであり、2時間くらいで終わることはない。オペラがあるなど、急いでいるのであれば、一番最初にそれを言っておく必要がある。その場合、オーダーするメニューに関しても、席の人皆が最適化できるよう、レストランから変更をアドバイスしてくれるだろう。

初めての店であれば、予約の際に、コースの内容と、ワインの確認をした方が良い。★付きレストランでは、オーダーが明確に事前にわかる客に関しては食材を必要数だけ仕入れる。高級な食材なので、無駄に在庫をすることを避けるだめである。確実に食したい料理を食するためにも必要なのだ。

初めての客の場合、自分の好みを事前に伝えることで、相手に強く意識してもらうことができる。店としては、あれこれリクエストする客は、たとえ初めての客であれ興味をもってくれるので、良い席に案内してくれること請け合いだ。事前に料理もワインもわかっているので、サービスが流れるように進むし、店の立場でも売り上げが把握できるので、上客としてあつかってくれる。

これは、日本のレストランの予約でも全く同じである。初めての店だからこそ、勝手がわからないからこそ、あれこれ聞いて、好みもあれこれ伝えて、事前にコミュニケーションをとるのが良い。

料理とあわせるワインも重要だ。赤ワインは店でオーダーしてスグ飲むわけにはいかない。セラーに入っているので、シャンブレという温度をなじませる儀式が必要なのだ。だから赤を最初から頼みたいときは、ボトルを出しておいてもらう必要がある。

 たとえば、僕は、シャンパンをギンギンに冷たくして飲むのを好んでおり、ぶどうの味がわからないくらいまで冷やしておいてくれ、というと昼からしっかり冷やしておいてくれる。

そして、チーズのありナシも聞いておいた方がよい。最近は、チーズの種類が少なくなってきつつあるので、仮にチーズのサービスがあったとしても、自分が食する時間に、好みのチーズはなくなっているかもしれない。ぼくの場合、ウォッシュとシェーブルが出る場合は、必ず自分のテーブル分を確保してもらっている。


フランス語は、僕はまったくしゃべることができない。
でも、★付きレストランであれば、英語では対応してくれる。うまくいくと、日本人が働いていることも結構あるので、先方の都合次第であるが、日本語で会話できる。日本人シェフがいるばあいでもスーシェフ以上であることが多く、当日は調理場で忙しいので当然会話することなどない。事前に予約するのがいかに重要かということである。

むかーし、僕は、日経新聞のコラムで恐ろしくおいしい店、という紹介があったパリの料亭に入ったことがある。31歳でMOFを獲得した天才シェフと、客席の倍ほどの人数が厨房にいるレストランで有名になった店だ。きちんと事前に予約しておいた。本当においしかった。最後まで残って、シェフとあれことおしゃべりできた。予約していたからだと思う。81年のことだ。

 また来たいと思い、1年後の席を予約した。その1年後、楽しみに再訪すると、★付きに昇格していた。そのまた1年後、★★に昇格していた。もうそのころには1年先の予約はできなくなってたのだが、何度も来ているので予約を受けてくれた。そして、その1年後、なんと★★★に上り詰めていたのだ。ジャマンといえばピンとくる人は多いと思う。シェフはジョエルロブション。

その後、94年に店名も変え自分の名前をつけたレストラン、ロブションとして場所も移転、いきなり★★★。東京には、なんとパリの老舗★★★であるタイユヴァンとコラボした店を恵比寿にオープンし、その店もあっというまに★★★になったのは言うまでもない。

なお、すでにロブション氏は2018年に他界しており、ロブション名のレストランを名乗る店は、恵比寿だけだった気がする。パリの2店はラトリエ(レストランより格下)だ。

 

オリンピックも、もう終わる。
 

閉会式をみてから、フランスから出国して帰る予定だ(幸い電車で帰るので混雑はない。気は楽だ)。

 

フランスに滞在し、移動し、いろいろ思って感じた所感を述べておきたい。

 

まず、日本での報道はwebで見ていたのだけど、クーラーが選手村にない問題について、言っておきたい。
欧州の緯度を知らない。もしくは、日本の北国でのエアコンの普及率を知らないのだろう。
もしかすると、その両方だ。

欧州の緯度は高い。緯度は北海道より北に位置するのだ。

欧州の気候は温帯であり西岸海洋性で温暖だから、北海道の亜寒帯とは異なるけれど、

日本最北端の稚内市(その北にも利尻や礼文があるけど市はない)は、パリより南にある。
パリは日本のどこよりも北であり、フランス全体も、ものすごく北に位置しているということだ。

(だから、フランスよりさらに北に位置するロンドンは、この時期は "ほぼ"白夜である)


さらにいえば、東京の緯度は欧州のどの都市よりも南にある。

東京と欧州を比べると、地中海を通り超えて、モロッコまで

南下して、ようやく東京と同じ緯度になる。
欧州全体が、日本の北国より北にあると思ってよいのである。


オリンピック期間中のパリの気温は、最高27°程度、最低14°程度であった。
昼は汗ばむけれど、熱帯夜には決してならない。

同じ時期の東京は、最高温度は連日38°、最低温度は28°だったので差は一目瞭然だ。
パリでは、エアコンなんぞなくても、十分に快適に過ごせるのだ。
 

日本で伝えられてのは、英国の選手団がエアコンを入れたということだけど、

英国はとても寒い国なので、暑がりの人が多いからですよ。それに、もともと

フランスとは仲が悪い国なので、なにか文句をいいたいのじゃないかな。

 

日本選手団もマネしてエアコンいれたようだけど、暑い昼間はトレーニングや応援に出かけて

いるだろうから、夜は使わなかったのじゃないかな。

ただ、熱波が届くので、南側の都市、たとえばニース、リヨンは暑くなった。
このあたりは、サッカーの試合があった時、熱波が来ていたので暑かった。

 

でも、夜になると涼しい。
しかも、選手は選手村ではなく、ホテルに滞在しているので、当然にエアコン完備である。

まったく問題はないのだ。

次に旅行者。
フランスから見て外国からの来訪者が当然多くなる。
でも、パリで目立ったのはフランスの地方から出てきたフランス人だった。

いずれフランス観光局から実績が発表されるだろうが、事前の予想では、

1500万人がオリンピック期間に集中し、その9割はフランスの地方、

1割が海外からだった。

実際、カフェやレストランはたいしておいしくない店でも混雑しており、
当然にパリ市民は自宅からなるべく移動するな、と要請されていたようだ。
東京オリンピックは、無人だったし、そもそもパンデミックのさ中だったので、うらやましい限りである。

もうひとつ。物価。

パリは高い。
地方に行っても高い。

ホテルは、日本円で伝えた方がわかりやすいが、パリだと1泊10万円。
それも、並み程度のホテルでだ。高級ホテルだとその倍。
これは高い。

でも、2022年のカタールのワールドカップも、そんなもんだった。

需要と供給で価格がきまるのだから、合理的な価格なのだと思う。


レストランは、予約制なので、客がひしめくことはないが、

特別ムニュと称して割高に設定している店はパリでは多かった。
 

しかも、東京での価格の2-3倍くらいする。
ミシュラン★レストランあたりで、スープでも飲もうものなら、それだけで1万円はするのだ。

コース料理を頼む人はけっこう少なく、しかも、ワインをボトルで頼む人はわずかだった。
シェフから聞いたのだけど、オリンピック客だからではなく、ここ何年か、ワインを飲まない客

が増えてきたのだそうだ。ワインは、世界的に飲まれなくなっているという。

ボルドーでは、ワインの価格を維持するために、せっかく育てたブドウの木を間引きするシャトーもあるそうだ。 
もったいないけど、ブランドを維持するには、必要なコストなんだろうなぁ。


そういえば、イギリスでは、リーフティーを飲む習慣が劣勢になっていて、多くの人は

コーヒーに移行しているのだが、手間がかかって、後かたずけも面倒な飲み物は、

だんだん避けられてゆくのだろうか。

さて、なんだかんだ言って、オリンピック期間のパリは、とにかくオリンピック一色。
オリンピックでは初めてだと思うが、メダリストは、エッフェル塔の下にある

チャンピオンズパークに招かれる。自国に帰って行うようなアピールを、パリでできるのだ。

これは素晴らしい試みだ。

なんだかんだ言っても、さすが世界の都、パリと感じる。
このオリンピックは、成功したと言えると思う。
 

いま、オリンピックを見に来ている。
フランスにいるのだけど、会場があちこちに散っているので、当然に
移動しながら観戦する。

どこの都市に行ってもオリンピック一色だ。

前回の東京大会は無観客だったので、日本で開催している感じは全くなかった。

TVで見るのであれば、日本で開催しようが、フランスであろうが、まったく同じ。
むしろ、時差がある分、外国で開催するオリンピックの方が、それらしく楽しめるというものだ。

いままで、ワールドカップとか、オリンピックとか、あれこれ観戦しているのだけど、
今回は、フランスっぽい味を出している。

フランスと言えば料理、美食、というキーワードが必ず出てくる。

 

が、もうひとつ、エコロジーとか環境いう要素が、欧州っぽい。

これが、からまわりしている。

ペットボトルを会場に持ち込むのが、パリの会場では禁止されている。
観客に対してだ。
飛行場の、チェックイン時と同じだ。

当然、エントリーするには、その場で廃棄することになる。

無駄だ。

もっとわるいことには、水筒はよいということだ。

アルミの二重になっている、日本でもよく見るあの水筒。

 

これ、目視では何が入っているかわからない。
爆弾かもしれない。

だから、いちいち検査マシンにかけてチェックする。

でも、サッカーの決勝を行う、パリのパルクdeフランス(サッカー場)なんて、5万人も入るのですよ。
なんといってもパリサンジェルマンのホームだから、でっかいのだ。


ひとり1分だとして、5万分(50,000 min)も検査にかかる。

833時間だ。34日に相当する。


さすがに1か所だけでは行わないので、10か所に分散しても5千分。
100か所に分散できたとして、500分。
かなりがんばっても、200か所が限界だろう。
それでも250分。


サッカー場に入場するだけで4時間15分かかる計算だ。
席を見つけるまで、さらに15分はかかる。
席に座ったときには試合は終わっている。

 

まさかね。

相手は宿命のライバル、欧州最強のスペイン。
こんなことしたら、暴動必至だ。

ひとりあたりの検査をぬるくするしかない。
たぶん目視チェックで、事実上素通りさせるしかない。

結局、意味がない。

そういえば、ものすごーく昔の話だけれど、

1980年代の話。
 

家電をがんがん日本から輸入していたフランスは、日本に対する貿易赤字を、ワインの輸出で解消しようとした。

が、関税が高かったので、ワインの輸出ができない、不公平と感じたフランスは、日本に制裁を加えた。
まず家電の関税を上げる。
そういえば、ソニーのラジカセをセーヌ川に落とすパフォーマンスをするフランス人もいた。

当時は、ワインを飲む習慣がなかった日本人にとって、関税以前のニーズの問題であったのだが、

文化レベルが高いフランス人にはワインを飲まない民族なんて理解できなかったのであろう。

しびれを切らせたフランス政府は、なんと、フランスに旅行に来ている日本人に対して、ビザを必要とする、

ことをある日突然もとめたのだ。ひどい制裁である。

 

日本政府に働きかけて、ワインのイベントを日本持ちでやらせるだけでよかったはずだが。

そのとき、僕は学生で、休みも沢山あったものだから、ゆっくりとフランスを旅行中だったけど、
あちこちでパスポートコントロールをするもので、移動ができなくなった。

パリに戻って、大使館でビザをもらうにも、パリに移動できない。

当時はEUという概念がなく、隣国とはパスポートコントロールがされているので、
国を出ることもできない。

言葉もしゃべれないし、どうしよう。

、、、とまぁ、困りまくったことがある。

じつは、このとき、何度か訪問していたレストランで日本人が働いていて、助けてもらった。
同じレストランに何度か行くと、シェフとも仲良くなるので、実に助かった。

趣味は人を助ける。
 

今は昔だ
 

あのころにセーヌ川に捨てられたソニーのラジカセは、まだセーヌ川の中に埋もれていることだろう。
そんなセーヌ川で泳いだりしたら、そりゃ、体汚れて具合悪くなるわなぁ。
 

ペットボトルの持ち込み禁止をみて、こんなことを思い出したのであった。
 

本日、WOWOWのスタジオで、ミスタービッグというロックのライブ映像の完成披露試写会があって、参加することができた。

こうした案内をいただいたWOWOW  Executive Creatorの入交さん、アレンジいただいたAuro-3Dさん、
ありがとうございます。

ところで、ミスタービッグというのは、実は2つのグループがある。

ひとつは、英国のミスタービッグ。
1970年代にプログレハードというジャンルが一時はやった。ロック評論家の渋谷陽一の造語みたいだが、ボストン、カンサス、TOTOなどが代表的だが、ミスタービッグも入っていたと記憶する。

僕は、こちらのミスタービッグが大好きなのだが、残念ながら、今回は、別のミスタービッグ。
米国のバンドだ。英国のミスタービッグとは無関係で、1989年にデビューしたハードロックバンドだ。
ドラマーのパットトーピーが、フリーの名盤 fire and water に収録された Mr.Bigからとったバンド名らしい。

なるほど、Voのエリックマーチンの歌い方は、ポールロジャースと似ている。

こちらのグループの方が、はるかに売れたのだが、ドラマーのパットトーピーがパーキンソン病を患っていて、2018年に死去した。

こうしたビッグネームは、お金を稼ぐために続けるというより、仲間がいなくなった段階で活動終了にすることが多いと思う。ピンクフロイドやムーディブルースもそうだ。

 さぁ今生の別れにツァーでもやって終わるか、と思ったのだろう。2023年7月に、The BIG Finish Tour という最後のツアーを行ったが、その日本公演の、武道館ライブの記録だという。

 ちなみに、この時に同行したドラマーは、ニック ディデバージオだが、彼はジェネシスのライブでもドラムスを担当した人だ。

96Kマスター音源で13.1chで再生してくれるという、なんともありがたい試写会だ。

最終的にはBDになるだろうが、wowowスタジオで再生してくれたのは、マスターであることが凄い。

いろいろな場所に設置したカメラの映像を効果的に編集してひとつの作品にまとめている。まだ字幕はなかった。

マスター映像は、たぶん4Kだろう。ビクターの民生用のプロジェクターに見えたがよくわからない。
スクリーンは180インチ (16:9だと思う)。ハメ殺しのスクリーンなので、平面性は完璧。

音は、96kのマスター音源で13ch分. おそらくリニアPCMで、DANTEと呼ばれる形式でイーサネットに流し、それをもの凄い数のSPが拾って再生する仕組みだと思う。

SPは、知らない会社のもの。DAC付パワードSPだろう。1層は方LCRの3つだけが大きくて、あとはちっこい。2層以上は、すべてちっこいSP。

今回は音重視ということで、なんとCのスピーカーはスクリーンの前に設置され、LRと高さをそろえていたものだから、映像がSPに投射される。
 
僕はスクリーン近くの真ん中あたりの席をとったので、顔はやや上に向く必要があった。
以前にblogに、絵を描いているが、まさにこんな感じで見ていたのだ。
https://ameblo.jp/siltech/entry-12857023128.html

全体の音は、大変にクリアで、それぞれのSPレイアウトを武道館での視聴位置関係にみたてている
など、手がかかっている。

驚いたのはシーンごとに、ミックスが変わっていること。たとえば、マイクでしゃべりのシーンも多かったのだが、こっそりしゃべるようなシーンでは、耳元でささやくように聞こえるよう、位相を細かくいじっている。

 自分の耳のスグ近くしゃべられているかのような感じがあって、背中がゾクッとした。こうした効果は視聴する席によって変わるようだが、僕の席では少なくとも2回、そのゾクゾクを感じだ。

内容的には、よほどのファンは別として、2H30Mの尺はさすがに長すぎてだるい。

最後の20分くらい、ファミリーの紹介になっておもしろくなり、アンコールは最高であった。

曲は、ピートタウンゼントの作品、Baba O'Riley(Who's next,Y1971の1曲目)で、そういえば、ピートタウンゼントの歌い方にも似ているな、と思いながら楽しめた。

Mr.Bigは嫌いではないので、BDは買ってみようと思うが、とっても残念なのは、13chで収録していながら、BDへは11chにダウンするようだ。Auro-3Dでの話と思うが、初の13.1ch 商用BDか、よしよし、と期待しただけにこれは残念だ。初回限定でよいので、なんとか、Auro-3D 13chで販売できないものかな。

マスターを利用した最高のサウンドを聞いたので、今後のリファレンスになる。
我が家でどう再生できるか、楽しみだ。


 最後にこれはぜひ書いておきたいが、2H30Mも聞いたので、しばらく耳鳴りがした。

僕自身、珍しく耐えたのだが、90dBは常時超えていたと思われる再生音量は、ロックコンサートだとしても大きすぎたように思う。


 

昨日、ブルーノート東京で上原ひろみのライブを見た。

アリーナシートのけっこう前、上原ひとみの真ん前で 4mも離れていない席だ。

過去、5回くらい、あちこちで見たことがあるが、こんな素晴らしい席は初めてだった。

スピーカーはすべて天吊り、巨大なSP、ライブ用のラインアレイの小型のもの、
18面体のサイコロのようなもの、いろいろなSPが吊ってあった。

おそらく、どの席でも音がクリアに聞こえるような配列、音響設定がなされているのあろう。

ステージは、グランドピアノの上に小型シンセ1台、ステージ側にもう1台のシンセ1台、
というシンプルなセット。

シンセ1台あればconfigをSWで切り替えるだけで、何台分かの役割を
持たせることができるので、曲ごとにこまめに設定を変えて演奏していた。

ライヴだとSWを押し間違えて全然違う音を出すリスクもあるのだけど、
さすがプロ、間違えはなかった。

むかしだと、リックウェイクマンやキースエマーソンみたく、四方八方を
シンセサイザーを囲まれたセッティングがかっこよかったが、上原ひろみ
もそうやってくれないかな、などと考えながら聞いていた。


アリーナの最高に良い席で聞いた音は、迫力十分、躍動感十分、素晴らしい
演奏で文句のつけられない音であり、音楽だった。


あの生きのよい音を、家庭で再生することは、たぶんできない。

そもそも、あのライブの、観客とアーティストの時空共有の感覚は、
ライブハウス独特のものであり、家で、ステレオ装置で、出すことなど
できない。

でも、ステレオ装置で音楽を聴くことはできるし、上原ひろみであれば、
マルチch SACDが出ているので、Auro-3D化して13.1chで再生することもできる。

ブルーレイによる映像は残念ながら出ていないようだが、DVDは二種類、
ライブを持っている。
(そのうちひとつはNYのブルーノートでのステージだがDDしかも2ch,なので音は悪い)


記憶のあるうちに比較して、何が劣っているのかを考えてみたい。
 

グラインドボーン音楽祭に行ってきた。

観たのは新しい演出の魔笛。

この音楽祭、2024年は5月16日から8月10日まで、3カ月にわたって開催されている。

あまり日本では有名とは言えないので、紹介しておきたい。

ここは、もともとは、マナーハウスだった。

マナーハウスというのはイギリス語だが、要するに、金持ちの別荘だ。

金持ちと言っても、貴族レベルではなく、上級市民の金持ち、という感じがある。

グラインドボーンのオーナーは、クリスティ家。

そう、サザビーと並び称されるクリスティーズを主宰する、あの家だ。

 ザルツブルグとかバイロイト音楽祭をみて、イギリスでもやろうと思いついたとハンドブックに紹介されている。

今使われている劇場は1980年代に新築した新しい建物で、1200席ある。

ザルツブルグは2179席、バイロイトは1925席だから、比較的小規模だ。

舞台までの距離も近く、オペラグラスは必要ない。

 

音は、少しこもる感じがあるが、オペラって、だいたい、そんな感じだろう。


ちなみに、ミラノスカラ座は3000席、ロンドンロイヤルオペラは2256席、バイエルン歌劇場は2100席。

席数が少ないので、チケット確保は、ザルツブルグより、はるかに難しい。

バイロイトがたぶん一番難しいと思う。

いずれにしても、前年から手を回せば、手には入るのだけれど。

僕は、一番初めに知ったのは、レーザーディスクでみたオペラだった。
どちらかというと、オペラよりも、庭でピクニックする映像が印象的だった。

今でも、ここの売りは90分もある幕間のピクニックだ。

レストランが3つもあるが、できれば、お弁当とシャンパンを持って行って、立派な庭を楽しみたい。

箱根の彫刻の森美術館のような、(僕には)意味のないように見える立体的なオブジェも多々あって、
とにかく広いので、花見のように密集することはない。

花見と違うのは、ゴザを広げる人もいなくはないけれど(実はゴザやブルーシートは見ない。高級そうな家柄のシートなのだ)、だいたいは、椅子やテーブルを使う。持参する人もいるけどレンタルできるので、必ず座れる。

ロングドレスでも着物でも問題ないのだ。

実際に行ってみると、食料を持ってくる人もたくさんいるが、なにしろワインやビールを飲むわけで、
クルマで来ることできても帰る事はできないことに気が付く。

宿泊施設は徒歩圏にはないので、車を使う人が多いが、電車とシャトルバスでくる人も多い感じだ。

宿泊するばあい、隣の町ブライトンというリゾート地の高級ホテルに泊まるのがしゃれていると思う。

あ、グラインドボーンは正装を求められるので、ロンドンからの専用列車は、ロングドレス、黒服、着物、など、まるで007のパーティに出るような、人々の集団になる。ビクトリア駅では、夏なのに暑苦しい恰好で異様だが、いったん列車に入っちゃえば、皆同じ感じなので、良い雰囲気である。

ちなみにビクトリア駅からルイス駅までの距離は80kmだから、あっという間に着く。

とはいえ、着物の人は、汽車でも劇場でも、暑くって大変だろうな。

 

今月前半、Euro2024の、セミファイナル、ファイナルをみるために、ドイツに渡っていた。

最初に訪れたアリアンツアリーナは、外から見るとドーム型に見えた。

夜は赤くライトアップされ、UFOみたいだ
(赤は、バイエルンミュンヘンのクラブカラーである。)

実は、中に入ると、観客席には屋根があるが、フィールドは露天である。

日本には全天候型のドーム場もあるので、それでもよいはずなのに。

 わざわざこんな構造にするのは、サッカーは屋外スポーツであり雨が降っても行うというルールを尊重しているのだろうか。

2022-23シーズン後に、小規模の改修工事があって、立見席を原則廃止し、
座席と車いすスペースに改編した。これは、地方行政からの要請だという。

このゴール裏の、最も遠い席にして、レギュラーシーズンでは50€の座席だから、ざっと9千円というところ。

日本だと、マリノススタジアムの安い席は3000円くらいだから、こうした点でも日本の物価は安い。

(バイエルミュンヘンとマリノスの違いでしょ、ということまで掘り下げるのはナシである)。

今回は、本当の目的は失礼ながらサッカーではなく、スタジアムの響きだ。

前方、サイド前方、サイド、後方。
どう響きが異なるのか。

要するに、マルチチャネルで再生するときに設置するSPから鳴らす音
と、実際のスタジアムでの音の相違を、しっかり把握しておきたいのだ。

まず、サッカー場は、それぞれの方向で、左右対称ではない。

サイド側で反射する壁は、サッカーフィールドの向こう側にある観客席であり100m先だ。

フィールドは(105mx68m)で、その周囲にベンチがあり、その周囲を観客席が取り囲む。

あらゆる方向で距離が大きく異なるので、仮にきちんとしたマルチチャネルで収録あるいは放送したところで、家での再生時にスピーカーをそろえる意味はない。

いままで、こんな観点でスポーツを観たことはない。

いろいろ聞いてみると、スタジアムにも、音響ホールと同じように、音響デザインというものがあるという。

スピーカーや大型スクリーンの設置でも、その音響を生かした設置設計をしているらしい。

よーくみると、サッカー場も、フィールド、1F席、2F席、3F席とレイヤーになっているのもあらためて認識できた。

これは、サントリーホールと同じ、Auro-3Dの考えとも同じなのだ。

ふうん。

昨日、Auro-3D屈指のハイエンダー、X1おやじ邸にお邪魔した。

以前から、いろいろな方々の訪問記で、写真では見知っていたので、
一度訪問してみたいと思っていたのだが、おもわぬ機会に恵まれた。

なんと、新居を構えて、AVルーム(マルチチャネルとスクリーン)と、
リスニングルーム(2chピュアオーディオ、スクリーンなしアナログ付き)
を、独立させているというのだ。

まだ、引っ越しして1カ月しかたっていないので、音だしの段階であるという。
そこに、AUro-3Dの面々に交じって(いや、僕も面々の1ひとりとして)訪問
させてもらった。

いってみると、これが凄い。

高い天井、広い部屋。
ものすごいエアボリウム。

その中に、堂々と鎮座しているウィルソンのALEXX.
X1は聞いたことが何度もあるが、その系統のSPである。
思ったよりコンパクトなSPに見えるのは、部屋の広さ故であろう。
実は200キロgを超える巨体である。

そのほか、Auro-3Dでいう1Fを構成するシステムは、ウィルソンのセンター
スピーカーや、昔でいうsystem5(5か6か7か 僕にはわからぬが、
いわゆるWATT/PUPPY式の組み合わせ式のSP)という、ウィルソン社製で
統一されている。

2F3Fは、KEF(たぶん同軸2wayの小型SPの同じモデル)で統一されている。

スクリーンは170インチという。

 

これほどのエアボリウム部屋を確保し、これほどの機材をそろえている人は、
なかなかお目にかかれない(少なくとも僕は初めてだ)。


米国に、戦車(しかも動く!)を趣味で集めている人を知っているが、そうした
エンスーでもオーディオに関しては案外控えめな機材であるのだ。

ここまでが前場。

昼食に、おいしい手作りの本格カレーをいただいて、
後場に隣にあるオーディオルームに案内してもらう。

こちらの方が部屋が広いことにおどろく。
天井も「ものすごく」高い

かつて訪問した、Cello Music and Film System 社や、JMlab(Focal社)の
開発のための視聴室 よりもエアボリウムがある、といえば凄さが伝わるだろうか。

スピーカーは、FocalのユートピアEM。

ウーハは電磁石でドライブする、フォーカルのハイエンドラインに位置する。

Wilson ALEXXと同様、それぞれのユニット箱の位置関係を、視聴位置との距離に
応じて変更するレバーもついている。
こんな感じ

 

SPは、なんと もう一組ある。
YGアコースティクスのソーニャの最大構成。
ウーハータワーが独立しているフルシステムで、たしかXV3という名称だったと思う。

駆動するアンプはボルダーの2150。アルミの塊、100kgもの巨大なモノアンプで、
これ4台を駆使する。

フロントエンドは、アナログプレーヤーが3台、これをフォノイコ、プリを経て2系統
のSPをそれぞれ駆動するパワーアンプに導かれる。

この部屋で、この機材で、悪い音になるはずがない、とは思うが、
なにしろ、機材を置いて部屋の整理が終わったばかりという状況だから、
この段階で音をあれこれ言うこともできない。

ただ、どうしても 2つあるSPの比較はすることになるけれど、
他のAuro-3D友の会の皆さんの意見では、YGに人気が集中した。

でも、僕自身はフォーカルの方がよかった。
YGの方がレンジが広いし、高域はクリアに伸びているのだが、低域の解像度は
Focalの方が上と感じた。設置場所で変わると思うけれど、音場もFocalの方が深い。

考えてみたら、25年前にFocalのG Utopiaを選択したのは、低域の解像度に惚れたからだ。
比較対象は、Wilson X1、そしてcello Strad Grande MaseterだったがFocalの魅力を
昨日改めて感じたことになる。

   *    *    *
感想を一言でいうと、どちらの部屋も、もの凄い。

 

でも、まだまだこれからでしょ、という感じもある。
今後、塗料やら基礎やら、建物自体が安定するのに1年くらいはかかるからし、
その間も、建材が乾燥して変化するので、機材を変えなくても音が変ってゆくと思う。

そうしたプロセスも楽しみながら、音の調整を進めてゆくんだろうなぁ。

なんとも、贅沢な時間。

夜は、皆で外でおいしいお酒と食事を楽しんだ.

X1おやじさん、いろいろなおもてなし、ありがとうございました。
(今日もつづいていると思うけれど)。