むかーし、むかーし。アリストテレスというギリシァの哲学者が、
物体の重さは大きいほど速く落ちる、その速度は重さに比例すると本に記した。

16世紀まで、それは世界で信じられていた。

僕が読んだ伝記では、ガリレオがピサの斜塔で重い球と軽い球を落として同時に落ちることを示したというが、実際は、ガリレオの弟子がやったらしい。

1971年、アポロ15号の月面活動で、羽とハンマーを同時に落とし、同時に着地させたのは有名だ。
ガリレオは正しかった。

さて、

命題(1)
 「マルチchを構成するSPを選定するとき、すべてのスピーカーを同じ製品にそろえるのが正しい」

この命題は正しいと皆がいう。

でも根拠は聞いたことがない。
そんな根拠はないのだ。

でも、なんとなくそう思うから、正しい気がしている。
根拠がないのに皆がいうということは、だいたいが怪しい。


アリスストテレスの話を信じているようなものだ。

アリストテレスよりスケールが小さくって恐縮だが、(1)の命題はウソである。

以下の図は、ITCが標準化しているマルチチャンネルのスピーカー配置図だ。



ここからが問題。
これを、同じスピーカー(SP)でそろえる必要がある、というオーディオマニアが大多数なのだ。

実は、同じSPにそろえなくてよいという根拠を僕はもっている。

少なくとも、バックスピーカーに関して、述べておきたい。

耳介の存在だ。

顔から飛び出た部分の、耳たぶを含む部分で、耳介という。

耳は、上からみると、こう見える。



この確度は人によって角度が違うようだが、30°くらいまでに収まるのが普通で、40°を超えると良くないらしい。
30°というのは、先ほどの角度でいうと、バックスピーカーの150°に位置に相当する。


150°の角度に設置したバックスピーカーからの音は、耳介がじゃまをするので、外耳道に入ってこない。

当然に位相や音色、音量でさえも、正確には判定できない。

それでも音が聞こえるのは、耳介を通過して入る音か、もしくは、部屋で反射した音があるからだ。

試しに、フロントスピーカーの音を、頭は後ろをみた状態で聞くとわかる。

その状態で聞いた音は、きちんと音を判定できない。

どうしても、後ろを振り返り(つまり前を見て)聞いてしまう。

だから、うしろのスピーカーは、フロントやサイドと比べて、適度に格下の製品で十分だと思う。