いま、オリンピックを見に来ている。
フランスにいるのだけど、会場があちこちに散っているので、当然に
移動しながら観戦する。
どこの都市に行ってもオリンピック一色だ。
前回の東京大会は無観客だったので、日本で開催している感じは全くなかった。
TVで見るのであれば、日本で開催しようが、フランスであろうが、まったく同じ。
むしろ、時差がある分、外国で開催するオリンピックの方が、それらしく楽しめるというものだ。
いままで、ワールドカップとか、オリンピックとか、あれこれ観戦しているのだけど、
今回は、フランスっぽい味を出している。
フランスと言えば料理、美食、というキーワードが必ず出てくる。
が、もうひとつ、エコロジーとか環境いう要素が、欧州っぽい。
これが、からまわりしている。
ペットボトルを会場に持ち込むのが、パリの会場では禁止されている。
観客に対してだ。
飛行場の、チェックイン時と同じだ。
当然、エントリーするには、その場で廃棄することになる。
無駄だ。
もっとわるいことには、水筒はよいということだ。
アルミの二重になっている、日本でもよく見るあの水筒。
これ、目視では何が入っているかわからない。
爆弾かもしれない。
だから、いちいち検査マシンにかけてチェックする。
でも、サッカーの決勝を行う、パリのパルクdeフランス(サッカー場)なんて、5万人も入るのですよ。
なんといってもパリサンジェルマンのホームだから、でっかいのだ。
ひとり1分だとして、5万分(50,000 min)も検査にかかる。
833時間だ。34日に相当する。
さすがに1か所だけでは行わないので、10か所に分散しても5千分。
100か所に分散できたとして、500分。
かなりがんばっても、200か所が限界だろう。
それでも250分。
サッカー場に入場するだけで4時間15分かかる計算だ。
席を見つけるまで、さらに15分はかかる。
席に座ったときには試合は終わっている。
まさかね。
相手は宿命のライバル、欧州最強のスペイン。
こんなことしたら、暴動必至だ。
ひとりあたりの検査をぬるくするしかない。
たぶん目視チェックで、事実上素通りさせるしかない。
結局、意味がない。
そういえば、ものすごーく昔の話だけれど、
1980年代の話。
家電をがんがん日本から輸入していたフランスは、日本に対する貿易赤字を、ワインの輸出で解消しようとした。
が、関税が高かったので、ワインの輸出ができない、不公平と感じたフランスは、日本に制裁を加えた。
まず家電の関税を上げる。
そういえば、ソニーのラジカセをセーヌ川に落とすパフォーマンスをするフランス人もいた。
当時は、ワインを飲む習慣がなかった日本人にとって、関税以前のニーズの問題であったのだが、
文化レベルが高いフランス人にはワインを飲まない民族なんて理解できなかったのであろう。
しびれを切らせたフランス政府は、なんと、フランスに旅行に来ている日本人に対して、ビザを必要とする、
ことをある日突然もとめたのだ。ひどい制裁である。
日本政府に働きかけて、ワインのイベントを日本持ちでやらせるだけでよかったはずだが。
そのとき、僕は学生で、休みも沢山あったものだから、ゆっくりとフランスを旅行中だったけど、
あちこちでパスポートコントロールをするもので、移動ができなくなった。
パリに戻って、大使館でビザをもらうにも、パリに移動できない。
当時はEUという概念がなく、隣国とはパスポートコントロールがされているので、
国を出ることもできない。
言葉もしゃべれないし、どうしよう。
、、、とまぁ、困りまくったことがある。
じつは、このとき、何度か訪問していたレストランで日本人が働いていて、助けてもらった。
同じレストランに何度か行くと、シェフとも仲良くなるので、実に助かった。
趣味は人を助ける。
今は昔だ
あのころにセーヌ川に捨てられたソニーのラジカセは、まだセーヌ川の中に埋もれていることだろう。
そんなセーヌ川で泳いだりしたら、そりゃ、体汚れて具合悪くなるわなぁ。
ペットボトルの持ち込み禁止をみて、こんなことを思い出したのであった。