オリンピックも、もう終わる。
閉会式をみてから、フランスから出国して帰る予定だ(幸い電車で帰るので混雑はない。気は楽だ)。
フランスに滞在し、移動し、いろいろ思って感じた所感を述べておきたい。
まず、日本での報道はwebで見ていたのだけど、クーラーが選手村にない問題について、言っておきたい。
欧州の緯度を知らない。もしくは、日本の北国でのエアコンの普及率を知らないのだろう。
もしかすると、その両方だ。
欧州の緯度は高い。緯度は北海道より北に位置するのだ。
欧州の気候は温帯であり西岸海洋性で温暖だから、北海道の亜寒帯とは異なるけれど、
日本最北端の稚内市(その北にも利尻や礼文があるけど市はない)は、パリより南にある。
パリは日本のどこよりも北であり、フランス全体も、ものすごく北に位置しているということだ。
(だから、フランスよりさらに北に位置するロンドンは、この時期は "ほぼ"白夜である)
さらにいえば、東京の緯度は欧州のどの都市よりも南にある。
東京と欧州を比べると、地中海を通り超えて、モロッコまで
南下して、ようやく東京と同じ緯度になる。
欧州全体が、日本の北国より北にあると思ってよいのである。
オリンピック期間中のパリの気温は、最高27°程度、最低14°程度であった。
昼は汗ばむけれど、熱帯夜には決してならない。
同じ時期の東京は、最高温度は連日38°、最低温度は28°だったので差は一目瞭然だ。
パリでは、エアコンなんぞなくても、十分に快適に過ごせるのだ。
日本で伝えられてのは、英国の選手団がエアコンを入れたということだけど、
英国はとても寒い国なので、暑がりの人が多いからですよ。それに、もともと
フランスとは仲が悪い国なので、なにか文句をいいたいのじゃないかな。
日本選手団もマネしてエアコンいれたようだけど、暑い昼間はトレーニングや応援に出かけて
いるだろうから、夜は使わなかったのじゃないかな。
ただ、熱波が届くので、南側の都市、たとえばニース、リヨンは暑くなった。
このあたりは、サッカーの試合があった時、熱波が来ていたので暑かった。
でも、夜になると涼しい。
しかも、選手は選手村ではなく、ホテルに滞在しているので、当然にエアコン完備である。
まったく問題はないのだ。
次に旅行者。
フランスから見て外国からの来訪者が当然多くなる。
でも、パリで目立ったのはフランスの地方から出てきたフランス人だった。
いずれフランス観光局から実績が発表されるだろうが、事前の予想では、
1500万人がオリンピック期間に集中し、その9割はフランスの地方、
1割が海外からだった。
実際、カフェやレストランはたいしておいしくない店でも混雑しており、
当然にパリ市民は自宅からなるべく移動するな、と要請されていたようだ。
東京オリンピックは、無人だったし、そもそもパンデミックのさ中だったので、うらやましい限りである。
もうひとつ。物価。
パリは高い。
地方に行っても高い。
ホテルは、日本円で伝えた方がわかりやすいが、パリだと1泊10万円。
それも、並み程度のホテルでだ。高級ホテルだとその倍。
これは高い。
でも、2022年のカタールのワールドカップも、そんなもんだった。
需要と供給で価格がきまるのだから、合理的な価格なのだと思う。
レストランは、予約制なので、客がひしめくことはないが、
特別ムニュと称して割高に設定している店はパリでは多かった。
しかも、東京での価格の2-3倍くらいする。
ミシュラン★レストランあたりで、スープでも飲もうものなら、それだけで1万円はするのだ。
コース料理を頼む人はけっこう少なく、しかも、ワインをボトルで頼む人はわずかだった。
シェフから聞いたのだけど、オリンピック客だからではなく、ここ何年か、ワインを飲まない客
が増えてきたのだそうだ。ワインは、世界的に飲まれなくなっているという。
ボルドーでは、ワインの価格を維持するために、せっかく育てたブドウの木を間引きするシャトーもあるそうだ。
もったいないけど、ブランドを維持するには、必要なコストなんだろうなぁ。
そういえば、イギリスでは、リーフティーを飲む習慣が劣勢になっていて、多くの人は
コーヒーに移行しているのだが、手間がかかって、後かたずけも面倒な飲み物は、
だんだん避けられてゆくのだろうか。
さて、なんだかんだ言って、オリンピック期間のパリは、とにかくオリンピック一色。
オリンピックでは初めてだと思うが、メダリストは、エッフェル塔の下にある
チャンピオンズパークに招かれる。自国に帰って行うようなアピールを、パリでできるのだ。
これは素晴らしい試みだ。
なんだかんだ言っても、さすが世界の都、パリと感じる。
このオリンピックは、成功したと言えると思う。