グラインドボーン音楽祭に行ってきた。

観たのは新しい演出の魔笛。

この音楽祭、2024年は5月16日から8月10日まで、3カ月にわたって開催されている。

あまり日本では有名とは言えないので、紹介しておきたい。

ここは、もともとは、マナーハウスだった。

マナーハウスというのはイギリス語だが、要するに、金持ちの別荘だ。

金持ちと言っても、貴族レベルではなく、上級市民の金持ち、という感じがある。

グラインドボーンのオーナーは、クリスティ家。

そう、サザビーと並び称されるクリスティーズを主宰する、あの家だ。

 ザルツブルグとかバイロイト音楽祭をみて、イギリスでもやろうと思いついたとハンドブックに紹介されている。

今使われている劇場は1980年代に新築した新しい建物で、1200席ある。

ザルツブルグは2179席、バイロイトは1925席だから、比較的小規模だ。

舞台までの距離も近く、オペラグラスは必要ない。

 

音は、少しこもる感じがあるが、オペラって、だいたい、そんな感じだろう。


ちなみに、ミラノスカラ座は3000席、ロンドンロイヤルオペラは2256席、バイエルン歌劇場は2100席。

席数が少ないので、チケット確保は、ザルツブルグより、はるかに難しい。

バイロイトがたぶん一番難しいと思う。

いずれにしても、前年から手を回せば、手には入るのだけれど。

僕は、一番初めに知ったのは、レーザーディスクでみたオペラだった。
どちらかというと、オペラよりも、庭でピクニックする映像が印象的だった。

今でも、ここの売りは90分もある幕間のピクニックだ。

レストランが3つもあるが、できれば、お弁当とシャンパンを持って行って、立派な庭を楽しみたい。

箱根の彫刻の森美術館のような、(僕には)意味のないように見える立体的なオブジェも多々あって、
とにかく広いので、花見のように密集することはない。

花見と違うのは、ゴザを広げる人もいなくはないけれど(実はゴザやブルーシートは見ない。高級そうな家柄のシートなのだ)、だいたいは、椅子やテーブルを使う。持参する人もいるけどレンタルできるので、必ず座れる。

ロングドレスでも着物でも問題ないのだ。

実際に行ってみると、食料を持ってくる人もたくさんいるが、なにしろワインやビールを飲むわけで、
クルマで来ることできても帰る事はできないことに気が付く。

宿泊施設は徒歩圏にはないので、車を使う人が多いが、電車とシャトルバスでくる人も多い感じだ。

宿泊するばあい、隣の町ブライトンというリゾート地の高級ホテルに泊まるのがしゃれていると思う。

あ、グラインドボーンは正装を求められるので、ロンドンからの専用列車は、ロングドレス、黒服、着物、など、まるで007のパーティに出るような、人々の集団になる。ビクトリア駅では、夏なのに暑苦しい恰好で異様だが、いったん列車に入っちゃえば、皆同じ感じなので、良い雰囲気である。

ちなみにビクトリア駅からルイス駅までの距離は80kmだから、あっという間に着く。

とはいえ、着物の人は、汽車でも劇場でも、暑くって大変だろうな。