前回のblogで、Auro3Dさんからコメントをいただいた。

この凄い空間を音で満たすための条件を考えよ、ということであった。

音、というのは、音が作る場(ば)のことだ。
界(かい)ともいう。
英語ではfieldで通じる。

したがって、音場は、おんば、と読むべきなのである。

さて、fieldは、物理学では、理論的に計算できる。

ガウスの発散定理として知られている。


最もよく使うのは、空間の1点(Aとしよう)電荷が存在するときの、
電界の計算だ。

これによると、点Aから距離rが離れると、
電荷Qが点であった場合、Qが作る電界Eは 球面で広がり
強さはr^2に反比例して弱くなる。

電荷Qが線であった場合、Qが作る電界Eは
円筒面で広がり rに反比例して弱くなる。

電荷Qが面であった場合、Qが作る電界Eは
平面で伝わり、距離に限らず一定となる。

音も同じである。

たとえば、空間の1点にスピーカーが存在するとき、
その量や形状で、そのスピーカーが出す音は、
計算することができる。

スピーカーが小さな点を見なせるばあい、音圧は1/(距離^2) に比例して弱くなる。
スピーカーが一つの線としてみなせる場合、音圧は1/距離 に比例して弱くなる。
スピーカーが一つの面としてみなせる場合、音圧は距離とは関係なく一定となる。

ただし、音源が面を構成することはない。

仮にあるとしたら、一つの壁全体が振動板となって音を出す
面となるが、これでは複数の音源を設置できず、実現不可能だ。

次に、点音源であるが、
点として見えるような小ささの発音体ということになる。
10cmシングルコーンの小型スピーカーが典型的になる。

この音源で何mもの距離を置いて音を鳴らすと、低音は
まるで出ないので、オーディオ用としては使い物にならない。

しかし、スピーカーユニットが1つだけであるため、位相は正確に
再生される。

このメリットを生かすために、超近距離で聞く方法がある。

10cmが面とみなせる距離で聞くのだ。

たとえば1cmの距離で聞くと、理想になる。

そう、ヘッドホンである。

ヘッドホンは、ひとつの解になるのだ。

大きな部屋で、大きなスクリーンで、ヘッドホンで聞く。

SONYの、360 Reality Audioは、ヘッドホンやカーステ向けの
サラウンドフォーマットだが、オーディオに理想的なものだ。

いまはAuro-3Dに対応したヘッドホンは存在しないが、
そうしたものが出てくると、理想の音が再生できる。

まぁ、しかし、それではセコいので、次点の解決として、
線音源を設置することになる。

背の高いスピーカーは、線音源となる。

音圧は円筒の場を作りながら拡散、つまり音が広がる。

これが、Auro3Dさんの質問に答えるための前置きである。

疲れたので、続きはまた別の日に。