グルダは、クラシックの特にモーツァルトやベートーベン弾きとして

知られている名ピアニストだ。

 

このWingsという作品は、LP片面全部をつかう18分を超える
オリジナル大作で、バイオリン、クラビール、ドラムス、
声楽まで入っている。

 彼は、ジャズやロックなども好んで演奏する人で、
モーツァルトを弾くコンサートのあとにジャズの
ライブハウスに登場したこともあるようだ。

とりわけjazzは録音も多く、バードランドなどライブハウスでの
録音も多い。

 チックコリアとのピアノの競演でもLDを残しているので、見たことある人も

けっこういると思う。

 

ロックでは、あまり録音は残っていないが、ドアーズのハートに火を
つけて、を好んで即興のベースにしていた。

彼は、LPでの録音は多々あるのだが、いかんせん、あまり売れる人
でもないので、CD化は一部しかできていない。

とても残念だが、映像はBDでは出ていない。

ましてや、マニアックな現代曲やジャズともなると、BDどころか、

CD化されていないソースも多く、必然的にLPに頼ることになる。

この作品は、たまたまCD化されているので、

今回は、これを2chとAuromaticで聞く。

 

まずステレオで聞くと、ピアノはon過ぎるほどのオンマイクで、
バックの演奏はoff すぎるほどのオフマイクで収録したことがよくわかる。
 一応ステレオなので、サウンドステージは提示されるが、
定位は甘く、バックはおまけでいる感じがある。
ミキシング時のバランスは不自然だ。
 

周波数レンジは、非常に狭い

それを、Auromatic 13.3chで再生してみた。

全体的な音の感じは、2chとほぼ変わらない。

しかし、バックの演奏は少し遠くに行き、ピアノも
いくぶんサウンドステージの後ろに下がる。

サウンドステージ全体を濁らせるので、ピアノとピアノ以外の区別は、
改善される。

つまり、2chの再生よりも自然に聞こえる。

ライブなので、会場の音も入っているはずだが、臨場感がない点は同じ。

会場の音は、最初と最後の拍手程度を除いて、ミキシング時に
控えめな音量までカットされていると思う。


Auromaticでイマーシブ感が増幅されるわけではないので、2chで聞く方が
グルダの演奏は楽しめる。

音楽的な話であるが、これを最初に聞いた時は腰を抜かした。

NHKの、午後のFMで聞いたのが最初だ。

その音源を求めて、FM誌の該当番組を切り取って、あらゆるレコード屋を
探したものだったが、売っていなかった。

欧州でも、何度もトライしたが、どこにも売っていない。

でも、ひょうんなことから買ったLP boxにたまたま入っていた。

いまだと、CDでは手に入る。

ルネサンス、ムーディ・ブルース、ラッテ・エ・ミエーレなどの
シンフォニックロックが好きな人には大変にお勧めしたい。

というより、全てのプログレ好きに聞いていただきたい、
素晴らしい作品なのである。

音楽作品としては★5つである。

でも、イマーシブという観点から見るとお勧めできない。

イマーシブ感 ☆
オリジナルソースのステレオ感 ☆