僕は親から高校生の時にステレオセットを買ってもらったのだけど、最初に買ってもらったのはチュナーとカセットデッキで、しばらくはスピーカーは使わないで音楽を楽しんでいた。
その後、追加したコンポは、トリオのSP(たぶんLS707)、サンスイのアンプ(AU-D907)、マイクロのプレーヤー(DD-100)だった。
トリオのSPは、めっちゃ重いフロア型で33cmウーハ、12cmスコーカはアルニコ鋳造というかなり高級なユニット、ツィータはホーン型、バッフル面は傾斜してタイムアラインメント管理されたという、きわめて優れたものだった。
時代の最先端をゆく設計だったと思う。なぜか、これは不人気で売れ残っていた。トリオといえばチュナーとかアンプであって、トリオのSPなんて買う人はいなかったのだろう。その証拠に、展示品ではなく全くの新品が4割引きで投げ売りされていた。本当は、YahamaのNS1000を狙っていたのだけど、予算の都合でこれに抑えた。正解だった。
サンスイは、初代D907で初ロットを買った。当時のサンスイは不人気で、3割も引いてくれた。山水のアンプ、人気に火が付いたのはこのアンプが大ヒットしたからなのだけど、初ロットの段階では、まだヒットしていなかったので、安く出してくれたのだ。パワーアンプ部だけでも価値がある素晴らしい性能、プリはヘッドアンプ付きで、機能も音も、いう事がなかった。

プレーヤーはマイクロ。確か、DD-100 の特別仕様だったと思う。
プラッターだけで5.2kgもあった。電源は独立型、アームはロングタイプML505LS、内部のケーブルは銀線のモデルであった。しかも、バネで針圧をかけるダイナミック型で、演奏中でも針圧を変えられる。
マニュアル操作だったが、触れる感触も、素晴らしいものだった。なんといっても、プラッター直径が40cmもあって、ダストカバーもぶ厚いアクリルで重量があり、圧倒的な存在感があった。
しかーし、使ってわかったのだが致命的な欠点もあった。最も重要なシャフトが細くてチャチすぎる。ターンテーブルは、シャフトだけで支えられている、これが細くてチャチなので、僅かな力をかけても、ターンテーブルが簡単にフラフラ傾いでしまうのだ。たとえば、クリーナーを当てるとターンテーブルが下に傾く。強くあてると、しまいには偏心してくる。だんだんと、その偏心が大きくなり、ターンテーブルの外周では、上下にゆれて回転する。使用半年で、上下に1mm揺れるようになった。
クリーナーを軽く充てる程度にしておけばよかったわけだし、音は良かったのだけど、その後、シャフトが太いプレーヤーを選ぶようになったのは、この教訓からだ。
そして、この先、二度とマイクロの製品は買うことがなくなった。
まぁしかし、このシステムで聞く音は、なんとも雄大で、とにかく、気に入った。
この時のコンポの選定は、カタログやら、雑誌やら、で一応リストアップした候補はあったものの、店舗でみて、手に取ってからその場で決めた。重量感とか、操作時のSWなどの感触を重視して、音なんて聞かないで選んだものだった。雑誌の評価なんかも気にしなかった。
アンプなんて、まだ店頭に並ぶ前だったから、通販で安くい売っている店を選んで買った。確か、秋葉原のラジオ会館にあったF商会なる店だったとおもう。
音というのは、その時の体調や気分で、かなり印象が変わる。でも、見栄えや感触の印象は不変だ。目に見えるものなのだから見栄えは重要だし、毎日つかうのだから操作感は重要だ。だから、コンポを買うときは、操作感やデザインを音なんかより優先した。いまでも、基本、音は聞かないで買っている。
しばらくはステレオで使っていたのだけど、あるとき、余っていた小型SPが2つあることに気が付いた。
当時、アンプは、スピーカー出力を切り替えできて、A, B, A+B という3通りの切り替えできた。
Aには2ch、Bにはマトリクス用の2つのスピーカーをつなぎ、マトリクスで聞きたいときだけ、A+Bで聞く。
この方法は、たしか月刊ステレオという雑誌で紹介されていた手法なのだが、たぶん、その記事は長岡鉄男ではない人だったと思う。大昔から知られていた方法のようだ。
マトリクス配線で4ch化した構成で、ピンクフロイトの狂気を聞いたのだが、もう、音がグルグル回って、すさまじいのだ。マトリクス4chの効果に、ひっくり返った。
最初にきいた、マトリクスサラウンドであった。
毎年5月に開催される、欧州ハイエンドショーが始まる。
15-18日までミュンヘン。
日本のハイエンドショーと全く異なり、B2Bで、主に代理店や評論家などのプロを対象としたメッセであり、
本来は一般客向けではない。
いままで、フランクフルト、ミュンヘンで開催され、今年もミュンヘンで開催されるが、これがドイツ最後になる。来年から少なくとも3年間は、オーストラリアはウィーンに移る。
ミュンヘン会場は、幕張メッセのような会場である。
広い空間はよいが、要するに広い体育館であり、きちんとした部屋に区切ることができないので、使いずらいし、音も悪い。そんな理由もあったのではなかろうか。
ウィーンの会場は、昔からfinest audio showを開催している会場で、小部屋も多数ある。
東京の有楽町で開催される、ハイエンドショのような展示ができるので、良い方向になったと思う。
ところで、Auro-3Dに大きな動きがあった。
マルチchを主体とした配信サービスが今年7月から行われる。フォーマットには、ATMOSではなく、7.1.4ch PCMが採用されるが、Auro-3Dも使われる。
今まで、2Lが孤高でがんばっていたソースも、高い値段で空輸しないでも、こちらからストリーミングで聞けるようになる。
Sunnyvaleにある Pure Audio Streaming 社がミュンヘンのハイエンドショーで、初披露するという。
Room H1, Stand K1Bで、Auro-3Dとのコラボ。
とアナウンスしている。
配信のサービスは、7月25日から始まるが、このハイエンドショーがおわる5月18日までに申し込んだ先駆者マニア向けにβ版が提供される。これは5月25日からサービスされる書いてある(日本に向けても配信されるかどうか不明だ*)。
https://pureaudiostreaming.com/pure-audio-streaming-unveils-exclusive-early-adopter-program-for-audiophiles-at-high-end-munich-2025/
*専用機材として、受信,デコード.HDMI出力のために、(amazon fire HDのライバル製品である)Nvisia shild TV proが必要で、これは、all regionで使えるわけではない。 僕も使っているが、iPAD miniを2枚(いや、3枚かな)重ねたような大きさで、amazonfire HDよりもでかいが、さすがにNvideaだけあって256コアで処理が早く、メモリも16GBと大きく(さらにSDで増設可能
)、フリーズしない点で優れている。今の版は2019年登場なので、枯れて安定していると思った方がよい。
日本では正規販売はしていないと思う。Auro-3D 11.1chを再生するには、firm 9.1.2以上にする必要があり、設定はナイトリスニングoff, システム音off,オーバーサンプリング off ,Dolby オーディオ off 、とする。日本から、updateできるかどうか不明。
ロイターによると、フランシスコ教皇がなくなったらしい(ソースはバチカン)。
webで確認したくてバチカンにアクセスすると、入れない。
集中しているのだろう。世界中の人々が、同じことをしているに違いない。
12年の在位だったようだ。
昨年、イタリアで開かれたG7サミットに教皇として始めた参加したのは記憶に新しい。
その前のベネジクトゥス16世は生前に退位した。約8年の在位。
さらにその前のヨハネパウロ2世は26年半続いた。
フランシスコ教皇は、266代だというから、概算だと2025年間で266人、
一人平均7.6年間が在位期間になる。
比較のため、日本の天皇と比べてみる。
紀元前660年が初代神武天皇と記録されている。
現在の天皇は126代、今上(きんじょう)天皇。
概算だと、2685年で126人、一人平均 21.3年が在位期間となる。
ローマ教皇より、2.8倍も在位が長い。
即位が若いからだろうか。
興味で横綱とも比べてみた。
1700年くらいから記録されていて、初代明石横綱から、74代豊昇龍まで、325年で74人誕生している。
平均 4.3年に一人誕生している。
ただし,横綱は、同時に複数在位できるし、空位の時もある。
平均在位期間は、5.2年だから、在位している最後の年に、(平均的には)次の横綱が誕生していることになる。
ついでにしらべてみると、
日本の首相は、103代。
1885年に初代首相が誕生して,140年で103人。
なんと、平均的には、1.36年に一人も首相が誕生してきたという事になる。
ずいぶん、なり易いんですね。
横綱の価値の方が、はるかに高そうだ。
僕はクリスチャンではないけど、クリスチャンでなくても正月の挨拶を観にいけるので、年末にバチカンに行ったことがある。
何年まえだったか、あまり覚えていないが、バスもタクシーも動いていないので、歩くしかない。幸いローマはそれほど大きくもないので、問題ないが、それ以来(ローマにはいっても)バチカンには行ってない。
次の教皇が決まって(選挙で決まるが、こんくらーべ、という長時間かかりそうな名前がついている)
少し落ち着いてから、行ってみようかな。
本日は、朝から欧州中が、教皇崩御のニュースでいっぱいだ。
宗教が違う英国でさえ、そうなのだから。
日本語では、こうした方々の死を崩御と呼ぶが、新聞にはなんと出るのだろうか。
昭和時代の中学生は、高校受験でうまいこと高校に合格し入学すると、親からご褒美として、ステレオセットをもらうという習わしがあった。
我が家も、兄がその習わしに従って、CD-4ステレオ一式を買ってもらった。
僕の場合、高校入学の年はリフォームや車の買い替えと一致したので、家計の問題があると踏んで、
親とディールを交わした。
1年間、僕がステレオ一式を買ってもらうのを待つ。
そのかわり、2回に分けて買う。かつ、1年待つ分、2回合計予算を増やすというものだった。
家だって、僕のためにリフォームしてくれたのだけど、そこにつけこんで僕のほしいステレオの予算をupする、という図々しい交渉だったが、成功した。
総合予算は、30万から50万に上げてもらった。
当時、定価から25%引きで購入できたので、実質、定価70万円でコンポを組めるという戦略だ。
最初、まず、チュナーとカセットデッキを買う。予算10万円.
これで、エアチェックはできるし、ヘッドホンで音楽は聴ける。
翌年、予算40万円でアンプ、スピーカー、プレーヤーを買う。
このディールはとても良いものだった。
しかも、リフォームで部屋が余分にできたので、そこをオーディオ専用の部屋として使えた。
戦略成功である。
ただ、戦術でミスがあった。
カセットデッキに、エルカセットを選んでしまったのだ。
エルカセットは、テープ幅は倍、サイズは倍(したがって体積8倍)。
テープスピードも倍。音は圧倒的に良い規格である。
比較するとわかるが凄い大きさだ。これを見よ。

当然、良い音だった。
コンパクトカセットは、決してケースからテープは出ないので、回転精度を上げるのに限界がある。
Lカセットは、カニの手のようにカセットケースが開いて、そこからテープが外に出てデッキの中にローディングされる.
当然 回転精度は良い。
これを買ったおかげで、テープレコーダーのメカに興味がわいた。
ビデオデッキの技術を応用したという売り文句だったが、別に回転ヘッドがついているわけではない。
テープ自体はオープンリールテープと同じ規格であり、流用が利く、ということであった。
しかし、だれも買わない。
だから投げ売りされたのだが、なぜ売れないかというと、なんといっても、テープが高い。
コンパクトカセットだと、C60は4本で1000円で売っている。1本だと250円。安い。
Lカセットは、同じ60分では1500円、値引きしてもらっても1400円する。
普及しないので、値引きも悪いのだった。
こんな高いテープでエアチェックするのだったら、輸入盤でLPを買った方がよい。
ランニングコストの問題は、買う前から頭の中では知っていた。
では、なんで選んだというと、SONYのEL-5という中級機が、あまりに売れなかったので、半額で投げ売りされていたのだ。
6万円だった。半額という触れ込みに合理的な判断がゆがんで、本能で買った(正確に言うと買ってもらった)わけ。
実際に製品を買った後、テープが余りに高くて、何本も買うなんて、とてもできない。
挽回のできない、決定的なミスをした。
まぁしかし、世の中、なんとかなるものである。
ちょうど、兄がカセットデッキ買い替えて、TEAC A-450がいらなくなったというので、ゆずりうけた。
これで、僕もカセットデッキがつかえるようになった。
自己録再するのであれば互換性不要と思っていた考えは全く間違いであった。
総合コストを考えねばならぬ。
教訓になった。
もうずいぶん前の話。
我が家に最初の音響セットがやってきたことを覚えている。
30cmのLPレコードが乗って、ターンテーブルがくるくる回る、レコードプレーヤー。
スピーカーも内蔵していたけど、スピーカーを別に購入して、ステレオ音声が再生できた。
電蓄と呼ばれる、今からみるとチャチな玩具だけど、高級なモデルは、いかにも高級そうな
ケバケバした木の装飾がついていて、車より高価なものもあったと思う。1960年代の話だ。
1970年代に入り、我が家で買いこんだ買ったステレオセットが、テクニクスのCD-4対応の製品だった。
この時代が、サラウンド再生のスタートになったと思う。
レシーバーとプレーヤーが1つの木調家具調ラックに一体化され、そのラック下部は空きがある。その空きはレコードを入れるようになっているのだけれど、カセットデッキを入れる人が多かった。FMステレオ放送が始まっていて、エアチェックするのが流行っていたのだ。
カセットデッキは、デッキTEACのA-450だった。
ドルビーFMに対応していた機器で、それで選んだのだと思うけど、そんなFM放送は実用化されなかったな.
ワウフラッター0.07%、ドルビーNR、VU計+ピークLEDという当時としては圧巻の性能機能だったけど、それよりも、ピアノタッチの操作メカの感触は素晴らしかった。これですっかり僕はTEACファンになった。1972年発売とTEACの歴史に書いている。
CD-4ステレオセットの型式は覚えていないけど、同じ年の製品だったのだと思う。
CD-4のステレオセットには、スピーカーが4本ついていた。
フロント2chは、家具調のレシーバーに合わせた豪華に見えるがスカスカに軽い木製。
さらに、リアスピーカーがついていた。高い位置に壁掛けするようにできていて、部屋の後ろ側に設置するよう推奨されていたので、今風にいうと、バックサラウンドハイになる.
壁掛けができるくらいに、十分に軽い、いいかえるとチャチなものだった。
4chのフォーマットは、世の中にたくさんあったけど、CD-4だけが4chで完全に独立した音が出る。
いまにして思うと、セパレーションも悪かったし、そもそも、ソースがなかった。
ステレオセットを買うとオマケにくれるLPがあって、ポールモーリアと、尾崎紀世彦のCD-4の世界、その2枚のみしか、我が家にはなかった。
だって、売っていないのだから、仕方がない。
いま検索をかけても、3流のソースだけしかなかったようだ。
結局、ステレオレコードをCD-4 モードで再生しても、4chにデコードできないので、リアSPは無用の長物だったわけだ。
CD-4以外の、マトリクス方式の4chであれば、2chソースも4ch化できるので、それを買った方がよかったことになる。
でも結局、4chの再生方式は、どの方式も、すべてコケた。
各社がソース不在の中、技術優劣だけを自社が優れていると主張する,ガキのケンカ並みのレベルの低さ、だったのだ。
まぁ、家にあっただけであって、僕が選んで買ったものでないけど、このステレオセットのおかげで、オーディオに興味を持ったので、思い出深い。
昔のガラケーの時代は、ストラップ用の穴が必ずケータイ側にあって、そこにユーザが
お気に入りのストラップを付けて、首にひかけて、つかっていたものだった。
いつのまにか、スマホの時代になり、たぶんアップルの美意識であろうか、ストラップホールが
なくなってしまった。
できれば、すべてのスマホに、ストラップホールを最初からつけてくれるとありがたい。
すべてのカメラに、必ずストラップホールがついているように。
ストラップを付けるニーズはあるので、探せば、携帯の外側をすっぽり覆うケースなども売っている。
が、限られた製品型式専用になるので、使っている人は少ない。
けっきょく、素のまま手にもってつかい、ポケットにしまう、ということになる。
これは世界共通だと思う。
でも、これでは、スルっと手から滑っておとしやすい。
日本では、まず盗まれることはないが、ロンドンやパリでは、
うしろから、ジョギングして走ってくるおっさんにドンッと肩をぶつけらて、
よろけた瞬間にスマホやハンドバックを盗まれる事件が多発している。
ハンドバックだと、ブーとなる警告ブザーを仕込んでいる用心深い人も多いので、
いま流行っているのが、携帯のみをひったくる泥棒だ。
スコットランドヤードの発表では、2024年だけで 7万台もひったくられたらしい。
パリの倍近い被害数だ。
なんと、yahoo.co.jpでも、その記事をニュースで記事化していて、驚いた。
なぜロンドン?なのか、
なぞだ。
が、いずれ東京も流行ってくるものと思う。
で、いまロンドンで はやっているのが、ストラップ。
携帯ストラップが案外流行している。
手にひっかけるもの、首からぶら下げるもの、いろいろあるが、ヒモが太いものが流行っている。
目立つまだら模様なんぞをつけておけば、私は用心深く、太いヒモをつかってひったくりにあうのを
防いでいます、というアピールになること請け合いだ。
太い方がよい。
オーディオのケーブルと同じだな、と思った。
ハイレゾの音楽配信が増えてきた。
何がどうよいのか、わかっていないまま、
ハイレゾだから優れている、音は良い、と思ってる人も多い。
あえていうと、iphoneに高級ヘッドホンをワイヤレスでつないで、しょりしょり聞いている人は、
100%の確率で、ハイレゾの音は聞けていない、と断言する。
iphoneに限らず、どんな高級なものであれ、携帯プレーヤーでは、ハイレゾの音は再生できない。
ハイレゾは音がよい、と思いこんでいて、勘違いしているだけだ。
音がよく聞こえるのは、マスターテープから、ハイレゾのデジタル信号にマスタリングするときに、
丁寧に行っているからである。
要するに、もともとのマスタリングが、悪かったのを正したた点でよくなっているだけなのだ。
でも、そのまったく同じマスタリング作業で作成した、16bitと24bitの音を聞いたら差はわかるのか?
実は、この違いは、かなりの高級なオーディオを用いないと、まずわからない。
並みのオーディオ装置では難しいのだ。
しかも、高級なオーディオ装置でも、19bitか、せいぜい20bitまでしか再生できない。
たぶん、24bitを超えるハイレゾをきちんと再生できる部屋と装置を持つ人は、日本には存在しない。
そもそも、世界最高級のDACといえでも、製品として、24bitの解像度を持つのは無理だ。
1bitの処理で、6dBのダイナミックレンジが得られるのだが、24bitになると、144dBである。
1Vの出力を基準とすると、1/(2^24)=60nVの単位で信号が出てくる。
DACのチップ処理としては、24bitが出せるとしても、DACの出力は、実際には
アナログ信号であり、アンプを通して出てくる音声信号になる段階で、
最小単位 60nVのような小さな音は出ないのである。
なぜか?
DAC製品内では、処理する最低bitの小さな音より、残留ノイズの方が大きいからだ。
この信号を増幅できるアンプは、並大抵ではない。
高級なオーディオアンプでも、SNは、93dB程度である。
これは、15.5bit程度にすぎない。
おれのアンプは、もっとずっとSNは良いぞ、という人は、だまされている。
たぶん電気の知識も足りない。
オーディオアンプの測定では、測定する際に、自由な(=メーカーの都合の良い)フィルターをかけて、
見栄え=数字のスペック をごまかす手法がとられる。
フィルターは、残留ノイズのもとになる高域をカットして、ごまかす手法である。
高域をカットした信号なんて、既にハイサンプリングではなくなるのは誰でもわかるはずだ。
93dBのアンプでも、 IHF-Aというフィルターをかけると、SNは108dB程度まで上昇する。
15dBもインチキしているのだ。
ちなみに、この15dBもごまかす手法が、最も普及している。
さらに、出力を、1Vではなく、20V程度に無理無理上げる表記も許される。
これで、118dBまでスペックは上がるが、ようやく19.7dBの解像度しかない。
最高のSNを誇るアキュフェーズのC3900でも、SNは118dBと表記されているので、
20bitしか再生できない。
今日現在、これを超える静かなアンプは、製品としてはたぶん存在しない。
仮に、そういった製品があったとして、
最高の装置で、24bitのハイレゾを再生すると、なにが聞こえて、なにが聞こえないのか?
聞こえるのは、大きな音である。正確にいうと、残留ノイズより大きな音。
聞こえないのは、小さな音である。正確にいうと、残留ノイズより小さな音。
ノイズに埋もれるのだ。
さらに、ヘッドホンではなく、SPに聞く場合は、
部屋の暗騒音というノイズもあり、騒音にかきけされる問題もある。
金に糸目をつけずに、遮音性能の高い部屋をつくっても、
暗騒音を0dB以下に抑えるのは日本では どんな田舎でも無理だろう。
もし、案騒音0dBの部屋が存在しても、144dBの爆音まで出せるSPは存在しない。
144dBとは、ジェットエンジンの真横で聞く音である。
せいぜい、120dBだ。
0dBから120dBまで、再生できる部屋も装置もあったとしても、
120dB、つまり、20bitの能力しかない。
要するに、あなたも、僕も、ハイレゾの音なんて、聞けていないんです。
OPSODIS1なる、スピーカーがある。
普通にステレオ2ch入力をすると、立体的に聞こえるというイマーシブなスピーカーだ。
売り方が面白い。クラウドファンディングに応募し、74800円を払い込むと、送ってもらえる、というシロモノだ。
https://greenfunding.jp/lab/projects/8380
今からだと、納品は2026年になるという、フェラーリ並みの納期である。
実はこれ、イギリスで開発された技術らしい。
ソニーがリアリティ360という、ヘッドホン用のサラウンドシステムを開発しているが、それと同じようなものだ。
ただし、鹿島の方は、ヘッドホンではなく、スピーカーで実現している。
小さなSPを横に並べたラインアレイと呼ばれる手法で、左右の指向性を鋭く独立させて耳に届ける。
最初、聞く前は、小型であり安物であるので、ショボいSPに見えた。
ぺなぺなに軽いし期待もしなかった。
でも、使ってみると、これで得られる立体感には、ぞくぞくする。
構造的にもアルミダイカストであり、小型ながら本格的な香りもする。
音はなかなか、良いのだ。
製品としては しょぼいのだけど、本格システムの音を80点とすると、60点くらいの音は出ている。
とはいえ、まじめにATMOSやAuro-3D をデコードした本格的なシステムで築いた音にはとてもかなわない。
欠点は、顔を少し動かすと、あっというまに臨場感やイマーシブ間が失せること。
多少の前後左右シフトくらいでは問題ないが、首を回してしまうと、左右の耳がスピーカーから均等距離では
なくなるので、音が一気にしらける。
それは耳に覆いかぶせるヘッドホンをつかわないで済むのだから、仕方ないかもしれない。
もっと大きな欠点は、なんと、HDMI入力が存在しないのだ。
つまり、ATMOSやAuro-3Dのソースを、OPSODIS1 で聞くことができぬ。
そもそも、マルチchソースはデコードできない。
なぜか、AACだけはデコードできるので、完全に日本市場の、テレビのSTBに特化したもの、なのであろう。
がんばっても金をかけても80点の音しか出ないのに、安いものをぽんと置くだけで60点の音が苦労せずに出せるのは、非常に素晴らしい。
HDMI入力をつけて、ATMOSをデコードできるようになれば、高いAVアンプは必要なくなるかもしれない。
『炎 トリビュート』 ピンクフロイドのトリビュートアルバム。
2021年に出たものだ。

フロイドのトリビュートものは、結構たくさんある。
持っているアルバムだけで4つあるが、ほかの3つは、これ。
Animals reimagined - A Tribute To Pink Floyd
Back Against The Wall
Return To The Dark Side of The Moon
そのほかにも、探せばあるかもしれないし、さらに、ライブで行うトリビュートバンド、フロイドバレエなどもある。
back against the Wall
でもウェイクマン、キースエマーソン、ジョンウェットン、イアンアンダーソンが入っていたので、
これを上回るメンバーはまず考えられないと思っていた。
しかし、『炎 トリビュート』は、クレジットメンバーとしては、さらにすごい。
ウェイクマンは、フロイドのファンとしてすっかり知られているが、加えてパトリックモラーツも参加。
そして、トッドラングレン。
ここまでだけでも、グッとくる。
そして、スティーブハケット、ジョーサトリアーニ、スティーブヒレッジがギターで入る。
おー、
おぉ、
となる。
とどめに、エドガーフローゼ。
もう、ひっくり返る。
タンジェリンドリームだぜ。
これ、アナログ盤でも出ていて、手に入れたけど、もう売り切れだ。
欧州ではLPは直ちに買わないと、入手できないほどの人気市場なのだ。
CDは、まだまだ、新品を入手可能だけど。
さて、『炎』は、有名な『狂気』の次のアルバムとしてリリースされた。
あまりにセールス的に成功しすぎた『狂気』であるから、
次作には、かなり苦労したのだろう。
『炎』発表まで3年近くかかっている。
しかし、『炎』は、素晴らしい内容だった。
冒頭のシンセサイザーの分厚い音は、ピンクフロイドの音を決定づける、バンドとして欠かせない音となった。
音を出すのは、もちろんリックライト。
彼は、1979年、the wall の制作最中に、ロジャーウォーターズと対立し、ロジャーに解雇された。
しかし、そのロジャーもピンクフロイドを脱退したので、1987年、デビットギルモアに呼び戻された。
『ピンクフロイドの音は、彼しか出せない 』(ギルモア)
音を比較してみる。
炎オリジナルの冒頭のスペクトラムは、こうなっている。
赤は数秒間のピークホールド。

一方、『炎 トリビュート』冒頭のスペクトラムは、こうなっている。

スペクトラムを見ると一目瞭然だが、オリジナルの方が、低域が分厚い。
リックライトは、ミニムーグを使っていると思う。
対して、『炎 トリビュート』の冒頭のシンセは、ジェフダウンズの音である。
明らかに低域は薄く、軽い。
ミニムーグなんて持っているだろうから、同じ音は出せたはずだ。
いや、ムーグを持っていなくったって、サンプリングシンセで簡単に模倣できる。
でも、していない。
模倣しなかったのは、フロイドに、いや、リックライトに対する敬意なのだ、と思う。
自分の持ち味を出した、軽い音としたのである。
なにしろ、ラジオスターの悲劇、の作者である。
その後、エイジアを経てイエスにも入っているが、やはり、軽いシンセ音が身上なのだ。
凄いのは、CD4曲目、 Wish You Were Here。
ジョー・サトリアーニのギターで始まり、ゾンビーズのロッドアージェントがボイスを担当、シンセはエドガーフローゼだ。スティーブヒレッジのギターが重なってきて、ドラムスは、イアンペイスとカーマインアピスという、気絶寸前のメンバー。
もっと聞いていたいのに、あっという間に終わってしまうのが、残念。
CDなのでステレオ音源で、2chでも、かなり良い。
だが、Auro-3Dで聞くと、Auromaticに拡張して聞くと、本当にスバらしかった。
エドガーフローゼのシンセが、ふわふらと漂い、イアンペイスのベースはズンズン響く中で、ヒレッジの鋭いギターがうなる。
満点である。
AuromaticによるCDの視聴
イマーシブ感 ★★★★★
オリジナルソースのステレオ感 ★★★★
趣味のオーディオ専門の雑誌としては、最も歴史のあるステサンであるが、
どんどん薄くなっていている。
薄い、というのは、いくつか意味があって、
ひとつは、純粋に、ページの薄さ。
最新のNo.234号は、378ページ。2640円。
量で計算すると、1pageあたり、6.98円で購入していることになる。
ちなみに、No60(1981秋)号は、506page、1800円。
1pageあたり、3.56円。
ぱっと見て、最も厚いのは
No116 (1995秋)、654page,2000円。
1page当たり 3.06円。
量よりも質、厚さよりも中身が重要な、趣味の雑誌なのだが、残念なことに、中身はさらに薄くなっている。
1980年代のステサンは、カートリッジ、アンプ、スピーカー、ターンテーブルなどの視聴では、
実測データを添えていた。
ステサンが、機種紹介で測定データを添えるのは、もうない。
これをやるかやらないかで、掲載の手間は大きく異なるのは間違いない。
特にターンテーブル、カートリッジ、スピーカーなどの振動系コンポーネントにおいては、
実測データがある/ないで、記事の情報は月とスッポンである。
手間暇をかけていない記事で、情報量が、軽く、薄くなっているのだ。
まだある。
文を読むのは、書く手間と比例して長い時間を要する。
そして、文章が薄いと、あっという間に読める。
最新刊を1冊読むのに、30分も必要なくなっている。
文章が、薄いのだ。
評論家の中身が、薄くなっている。
ステサンの重鎮評論家が、どんどん死んでゆくので、
書き手をじゃんじゃん加えているのは、これは良い。
しかし、昔の評論家は、人生を賭けてオーディオをやっていた。
それが、文章に にじみ出ていた。
人生を賭けて取り組んだ人が書いた文章だからこそ、
1行の重みが違う。それに行間を読む価値もあった。
読むのに時間もかかった。
でも、いまは、そんな評論家は ほとんどいない。
趣味でオーディオをやっているライターが、どうでもよい言葉で書いている。
しかも、たいした装置でもないし、大した部屋でもないので、明らかに人生をかけていない。
だから余計につまらない。
趣味でオーディオをやっている知り合いは、おっさんは、僕もゴロゴロ知っている。
そういうひとたちと一杯飲んだ方が、はるかに情報量がある。
とにかく、ひたすら、ステサンが薄いのだ。
最新号に限らず、ここ何年も、読む価値のある文章をほとんどみていない。
オーディオに対する興味は相変わらずあるのにも関わらず、読みたいと思えない雑誌なのだ。
惰性で買っているだけ。
そもそも本屋がなくなっている現在、購入はamazonかサブスクに限られる。
いずれ、HiViのように、季刊 ステサンは、なくなる時が来ると思う。
なくなっても、特に残念でもない感覚が、既にある。

