フロントスピーカーが、もう20年も前のモデルであり、それをgivenとする限り、
センタースピーカーに現代最先端のスピーカーをあてがうことは、高域が出過ぎで
無理があることがわかりはじめた。
結構長いみちのりだったけども。

古いフロントスピーカー、これが最大のネックになっているようなのだ。

でも、気に入っているのだから仕方ない。

 

いままで、多くのハイエンドスピーカーは聞いてきたが、僕にとって、

これより魅力的なものは、ほとんどなかった。

 

このスピーカーを前提とする限り、今後さらに候補スピーカーを買い付けて、どんどん試すのは無駄であろう。
いつかは出会いがあると思うが、僕には時間の制約がある。

年内にこのシステムを、完成したいのだ。
 

だからもう、センタースピーカーに関しては市販のスピーカーは、期待しない。

実は、以前から考えていた、バックアップソリューションがある。

自作スピーカーだ。

自作といっても、市販キットになっている。

音工房zという、マニアでは有名な工房の、ハイエンド機 Z800-DW168HR.

ハイエンドユニットを使った最高のスピーカー、
であり、
BW 805を寄せ付けない
数百万円の既製品に負けない

とHPでは豪語している。
 

実際、自作SPで良い音を出している友人がいるので、自分でも試してみたかった。

ここのSPは以前から興味があったので、完成品もあるけど、自分で組み立てるのも楽しいと思い

すでに購入し、キットで組み立てているのだ。

キットなので、数時間で組み上げられるけれど、実際には接着が乾くまで1週間はかかる。

配線も、丁寧にやるので、案外時間がかかった。

いま、ネットワークを配線して、まさに組み込んだところだ。

いずれは、ネットワークを外に出して、金属削り出しのシャーシで外付けとするが、

まずは、音を聞きたいぞ、と思ったもので。

ところで、ムンドルフのネットワークをオプションで追加したのだが、

ムンドルフ社の高級パーツは、美しい。ほれぼれする。


これ。SP内部の大きさは、23cm x24cm程度

パーツがいかにでかいか、わかる。




とにかくでかい。

いかにも良い音の出そうなパーツではないか。

 

で、音を聞いた途端、おどろいた。

音色が、グランドユートピアとそっくりなのだ。

いや、微視的にみると、低域は伸びていないし、中域の厚みも足りない。

でも、まずは文句のない素晴らしい音。

他のスピーカーでは、こんなことを思ってもみなかったけれど、
2chで、片方をグランドユートピア、片方がこのスピーカーとして、
音量をそろえてステレオ再生すると、きっちり、サウンドステージが表れ、ボーカルも定位する。

こんどは、LRの真ん中に置いて聞く。

すばらしい。

リンダは、一人しか現れない。

成功だ。

センタースピーカーは、これで決まった。

フォーカルの言う通り、高域がLRと同じ程度で収まったスピーカーの方が良いらしい。

考えてみると、このセンタースピーカーのツぃーターはチタン。

グランドユートピアも、硬化処理しているとはいえ、同じチタン。

わずかにグランドユートピアの方が特性は広域まで伸びていると思うが同等だろう。



これ、案外お安いので、このスピーカーを必要なだけ作って、天吊りしたらオシマイ、
フッフッフ。

と思ったのであるが。。。

 

最初にセンターchを入れ替える。

今までも、間に合わせにセレッションのSPをスクリーンセンター上下に設置していたのだけれど、

本気でまじめにセンターSPを設置したことがないので、まずは、ちゃんとしたSPをあてがい、効果を試したい。

なぜセンターSPを最初にしたかというと、プロがミキシング時につかうモニターSPをみると、センターSPだけは左右2chとメーカーとモデルを合わせている事が多いからだ。
#アビーロードスタジオもそうだ。

しかし、僕の部屋ではそうはいかない。

左右LRのスピーカーが巨大なので、真ん中にもう1本入れることは不可能なのだ。

妥協案として、小型で良質のものを考えることにする。

用意したSPは、音が良い(はず)と自分で思った3つ。これら。


B&W 805D4sig

Focal Diablo
TAD CR1tx

前者2つは、まだ箱からは出していなかったけれど、3カ月前に購入済だ。

TADは高いのでお店からの借り物。


さすがに、この3つのどれかにきまるだろうと思った。

最初に、それぞれをステレオできいて、音の特徴を確認する。

フロントchと合うだろうか??

3つそれぞれが、良い音だが、不安がよぎる。


ダメだとしても、もう遅い。前に進もう。


音を理解した後に、センタースピーカーとして設置してみる。


マルチchのスピーカーレイアウトをフロント3ch、それにリアを加えた5chとして、シンプルに視聴をする。


視聴は、センターとして正しい位置に設置して、


正しい位置とは、フロントL/Rの中点だ。当然にスタンドの上に置く。


すでに周波数特性は測定済み、測定上はいずれ劣らず優れたSPだ。

B&Wは、高域が出過ぎだ。

高域の音自体は、どこまでも伸びて美しく魅力なのであるが、自然の音は、こんなに高域は強調されていない。

低音も、高域に対してかなり不足している。ドンのない、シャリ、という音。

雲一つないカリフォルニアの青い空の下で話す会話のような、妙に解放された音に聞こえる。

致命的なのは、フロントLR(フォーカルのSP)と、まるで音が違うことだ。ボーカルをフロントと混ぜて一緒に聞くとコーラスのように聞こえる。

気持ち悪い音だ。

しかも、色が最悪。

バールという仕上げを買ったのだが、テカテカ光る模様が、病気持ちのトラの皮のようでもあり、アマゾンに生息する蛇のようにも見える。

なんて、気持ち悪い色。

音も、色も、気持ち悪い。


このSPは、裏からみるデザインの方が、放熱板のすっきりした線が出ていて美しい。


失敗した。

これ、他のサラウンドchなり、リビングかどこかで使うことにして、まずはセンターSPとして却下。

重さは、15kgもあるので、天吊りできなくはない。

やや重い気がするが、他の二機種にくらべてマシではある。


Focalを試す。

実は本命だった。

LRと同じメーカーで、同じユートピアラインだから、合ってあたりまえ、と考えていた。

確かに、低域はB&Wよりたっぷりしていて、単体で聞く限りとてもよいのだが、、、

ただ、それでも低音は足りないし、なんだか違う。

高域が伸びすぎているのだ。B&Wに近い音だ。

思うに、同じユートピアラインでも、グランドユートピアやユートピアと、
それより小さいモデルは、音の造りが違うのだと思う。

それに、新しいモデルであるから、家にあるフロントSPと作られた年代も15年違う。


ヴォーカルの音色も、癖が強すぎる。
子音が耳に突き刺さる。

LRと合わせて鳴らすと音がまざって変だ。

これはエージングで取れてゆくものではない。

欠点とはいいずらいが、この大きさで20kgも重すぎる.

FocalのSPであれば、ワンランク下のライン当たりの方がセンターSPとしては主張が少ない分、良いかもしれない。

ちなみに、EUで買うと15500€なので、日本と値段は変わらない。
これ、どこで使うか考え中。

TADは、単体での音は、最も素晴らしかった。

はたして、センターSPとしてはどうか?

とても良い。音色も、LRと違和感を感じない。不思議だ。

同軸ドライバーが、優れているのだろうか。

ただし、二機種と異なり、低域は出過ぎでだぶついている。

無駄にウーハーがついている分、だぶつくのだろう。

3wayのウーハ帯域は蛇足である。

純粋に、2wayの同軸ユニットだけで十分だ。


それに、小さいくせに重すぎる。

実に46kgもある。キチガイじみている。

いや、小さいという言い方は正しくない。高さが60cm以上ある。奥行も45センチある。

こんな大きなものを、センターに持ってくるというのは、我が家ではできない。

普段はスクリーンの裏になる場所でAV用として使い、オーディオだけのマルチチャネル視聴の時だけ、
気軽に(必要に応じてスクリーン位置より前に)移動する使い方をしたいので、この1/3度の重さ、15kg程度が限界だ。

とはいえ、音は、3つの中でも最もよかった。

買っちまったものであれば、仕方ないから使うところだが、これだけは、まだ買っていない。
こんなに大きいのであれば、まったく欲しいと思わない。

これの、ウーハなしで同軸ユニットだけのモデルはないものか。

ちなみに、B&Wの蛇柄のように趣味の悪い仕上げのものが、新発売されている。
趣味の悪い色を喜ぶ人が多いと見える。

売れるのかな。

それにしても、うーん。ぜんぶ、ダメだった。

想定しない事態に陥ってしまったようだ。

帯に短し、たすきに長し。困った。

早くも行き詰ったか。

久しぶりに日本にやって来た。
滞在中に、ぜひやりたい作業がある。

自宅にある、マルチチャンネル再生用システムの、サラウンドchスピーカー構成の再構築だ。

 一応、いまの再生システムでも、ATMOS再生用に15.1chのレイアウトにはなっている。
 フロントchおよび、リアchに関しては、Auro-3D 13.3chに準拠したレイアウトに近づけていて、特に上下関係は真上真下の関係を保っている。

でも問題がある。

いまは、2ch単位で、まちまちのスピーカーの寄せ集めで構成している。

メーカーは統一されていない。
さらに、マルチchを構成するSPのグレードがちゃちだ。

# ちゃち、という点では統一されているとも言えるのだが、

要するに、この機会にグレードアップを図りたい。

さて、マルチchのスピーカーのメーカーを、モデルを、統一しないと問題か。
統一すると、問題はないのか。

どちらも、否、と考える。

 ドルビーでは1層、2層にわけて、さらにAuro-3Dでは3層までSPをレイアウトするが、理想は、全chの同一モデルであることは、知っている。

でも、僕はフロントchに大型のSPを使っているので、それをさらに13個も部屋に設置できっこない。

実は、この点に関しては、Focalというスピーカーメーカーの視聴室にお邪魔して音を聞かせてもらったときに、サウンドエンジニアと話してきた。

フォーカルの最高ラインであるユートピアは、小型モデルを含めて天吊りするようには考えられていない。
床に設置してつかわないと危険である(重いのでアタリアマエ)、という話にはじまり、

1層、2層、というレイヤーで同じモデルを設置するのは机上では良い考えだが、部屋での再生、ということを考える限り、設置基準面(高さ)によって、同じスピーカーでも音は大きく変わる。つまり、同じモデルを設置できたとしても、労多いわりに効果はないだろう。

また、多数の壁に密接しないでスピーカーを設置するのは現実的には不可能であり、むしろ小さいスピーカーの方が自由度が上がり、位置やルームアコースティクスの調整をするにあたって都合が良い。

フォーカルでは、7.1chでグランドユートピアでマルチchでオーディオショーでデモンストレーションしたことがあるそうだが、低域が出過ぎて、失敗したそうだ。

その時に使ったアンプは、なんと、ソニーのAVアンプ(パワー部がデジタルアンプ)だったそうな。

しかし、プロの映画向けの現場では、フロントを除くサラウンド用には、フロントchと同じメーカーの、同じ時期の、同じラインでそろえるのが常識だ。

 映画館でいえば、 工事を一気にまとめて行うので必然的にそうなる、あえて異なるメーカーのSPを入れてまで、音の細かな設定を気にするのは本筋ではない、という理由が大きいものと想像する。

一方、我々エンドユーザにとって、現実には、サラウンドスピーカすべてを同じスピーカーでそろえることができない。仮に同じメーカーで同じシリーズだとしても、違うモデルであれば大きさや構成が全く異なるので、同じ系列の音がするわけでもない。たとえば、ウィルソンやフォーカルは、KEFなどは、同じ会社でも同じラインでも、ぜんぜん異なる音を出す。
B&Wは似た音を出すので、メーカー次第であろうが。

ところで、オーディオコンポーネントは、それぞれが別々のメーカーの組み合わせで、好きに楽しむのが常識である。

僕のばあい、ディスクトランスポート、DAC、プリアンプ、イコライザー、パワーアンプ、スピーカー、ケーブル、すべて異なるメーカーである。

自分で考えた組み合わせで、自分なりに音を楽しむ。
それが民生オーディオの楽しみの一つなのだ。

結局、サラウンドスピーカーを入れ替えるにあたり、自分で使いたいスピーカーを選ぶことにした。


1 まず、使いたいスピーカーをピックアップする。
2 それを店で視聴する
3 気に入ったら、軸上1mでf得を測定させてもらい、特に低域性能を確認する
4 買う

最優先で解決すべきchは、今まで最も存在を無視していた、センターch    だ。

 

1週間前になるけれど、パルシファルを観てきた。
翌日は神々の黄昏、そしてトリスタンが今年のトリになる。

パルシファルはワーグナー最後の作品とされていて、これがまた、いろいろ制約がある作品だ。

まず、拍手はしてはいけない。
幕間はもちろん、終わった後でも、とかつては言われてきた。

でも、拍手するやつは必ずいる。
拍手が一人でもいると、周りからシーと言われ、へたすると睨まれる。

幕が終わると、パブロフの犬のように拍手をしたくなるのだが、強く強く、意識せねばならない。
いろいろな説があって、いまは、第一幕の後だけは拍手をしない、というのが通例になっていると思う。一応、他の幕でも、少なくとも、ファーストペンギンになるのは怖い。

また、この作品は、バイロイト以外で上演してはいけない。
メトやバイエルンで、見たことがあるぞ、BDも出ているじゃないか、という人、えらい。

詳しそうな人に聞いたところ、欧州で批准された法律で定められた、作曲家の著作権が
切れるのが30年。その30年が切れた時を待って、いろいろな歌劇場でパルシファルが上演されたらしい。NYでは、そんな法律は欧州と締結していなかったので、関係なく好きに上演されていたようだ。

ワーグナーを上演しない国としてはイスラエルが有名だが、これはヒトラーが好んだ作曲家であり、ワーグナー自身も反ユダヤ主義であったことによる。

 今でもイスラエル政府はワーグナーを敵視しているけれど、トスカニーニや、バレンボイム、メータなどのそうそうたるマエストロたちが、イスラエルフィルでワーグナーの演奏をすべく、いろいろなトライをしてきた。
 いずれも、観客、楽団、政府などから横やりが入り、歓迎されて演奏を完了したことはない。殴り合いのけんかにまで発展するので、命を懸けてまでそんなトライをする価値はない、のだ。

 パルシファルは、2023年のバイロイトの映像がBDになっているが、今年も昨年と同じ演出である。
NHKのロゴも入っているので、たぶんNHKでも放送されたのだと思う。
(知らなかった!.BDを買って帰ろう.
BDは、DTS-HDとATMOSのみ.Auro-3Dは欧州でパッケージソフトを見たことがない)


昨年同様、カサドの指揮だが、クンドリー役は、ガランチャではない。グバノヴァである。
どちらも有名な歌手ではあるが、グバノヴァは太めの人なので、パワフルだ。ガランチャはBDで確認できるので、比較できる。

メトはコンサバな演出が多いが、さすがにバイロイトは一味違う。

舞台にはカメラが入っており、その映像はバックスクリーンに映る。
王様の傷を治療するシーンまでスクリーンに出すものだから、ゲゲゲと思った。
白い巨塔のようなシーンだ。ここまで攻める演出は、たぶんなかなか、ないと思う。

用意されているビデオ画像は3Dにもなっていて、それを使うと、3D映像と舞台が融合する。
ただ、正面席にいる人しか3Dには見えないようで、メガネが配られた人だけ、の特典である。
なんだか、スタートレックの映像をみているような、錯覚になった。
まさに、イマーシブな世界。

あまり書くとネタバレになるので、やめておくが、バイロイトで何かを一夜だけ観るなら、
パルシファルが面白いとおもう。

ライトモチーフも、たくさん覚える必要もない。

幕間の休憩は長く、休憩をはさんで3幕全部を観て6時間を軽く超える。
疲れるので、休憩で息抜きをするのは重要だ。

ここは幕間の長い休憩時に、地下にある食堂で食事ができる。
両国国技館でも、地下でチャンコを楽しめるけれど、それと似ている。
広さも似たようなものだ。

独だし、料理はうまくない。国技館のチャンコの方がずっとうまい。

食いに来たのではないけれど、もう少しなんとかならんか。

 

これを書いている最中、バイロイト音楽祭の合唱団が解散するというニュースが入ってきた。
今後は、都度、オーディションを行うようだが、そんなやりかたで、クォリティが維持できるのだろうか。

エバーハルトフリードリッヒも合唱団監督を辞任したし、心配である。

本日バイロイト音楽祭でタンホイザーを堪能した。

112回目の開催で、7月25日から8月27日まで続く今年のプログラム、指揮者はタンホイザーはシュトゥッツマンだった。サイモンラトル、小澤征爾の言ってみれば弟子。ほぼ全員が総立ちの、凄いスタンディングオベーションだった。

 

他の作品の指揮は、トリスタンがビシュコフ、パルシファルがカサド、オランダ人はリーニフ、指輪はヤング。ヤングは始めての登場。

 

さて、シュトゥッツマンのタンホイザーだけど、彼女は歌手出身だから、もしや、指揮しながら、歌手を兼務するのかな、とこっそり期待したのだが、さすがにそれはなかった。歌の大会を行うというシナリオだから、一曲くらい、アンコールで披露してくれても良いのに。

  まぁ、そんなことをするのであれば、昨年が彼女のバイロイト初演で、同じタンホイザーだったのだから、事前にネタバレになるか。

 

 とにかく、あちこちで映像を駆使する凄い演出。演出はクラッツァーの仕事だ。 演出自体は数年前からあるもので、2019年はゲルギエフも振った。その時にみたのだけど、同じ演出ではあるものの、プロジェクション映像は少し変化している。こうした映像を使う演出は、非常に効果的だ。映像を好まない昔ながらの演出を好む人も多いが、僕は好きだ。

 

今回のバイロイトは、ナタリー・シュトゥッツマン、オクサーナ・リーニフ、シモーネ・ヤングの3人が女性だ。もしかすると、2023年は、チケットが売れ残ったので(たぶん歴史上はじめて)、変化をつけてきたのかもしれない。

 ヤングは、シドニーオリンピックで開会式の演奏をした人なので、世界的にも知れ渡っている。本当はジョルダンを登用するはずだったが、キャンセルされたので、ヤングに変更したと発表されたのが、今年に入ってからだった。ジョルダンは、今年が2020から就任したウィーン国立歌劇場での音楽監督の、任期最後の年になるので、そちらに力を入れるのかな。

 昨年のザルツブルグは、ジョルダンが見事なマクベスを仕上げた。マクベス役はザルツブルグの華、グリゴリアンが圧倒的な存在感で歌い上げて、素晴らしかった。この時は、なんとジョルダンは代役で、本当はメストが指揮する予定だったので、ピンチヒッターだったわけだから特別な緊張感があったはずだ。珍しくBDメディアで販売されるので、ぜひ聞きたい。DTS-HD MA 5.0chで収録されるようだ。
  (残念ながらAuro-3Dは入らない。こういった、ここぞという音楽で採用されてほしいのだけど)

今年のバイロイトは、指輪が2サイクル(zyklus)繰り返される(つまり8夜やる)、非常に恵まれたプログラムになっている。来週に2回目のサイクルがあったあと、最終日に演奏されるのも、今夜と同じタンホイザーだ。

ここのホールは、昔ながらの木造で、圧倒的に音が良い。1Fの席では音がホールに溶け込み、オペラ全体が心地よい。

 

 

2Fのバルコンではステージからの直接音がダイレクトに来るので、ドイツ語さえわかれば、何を言っているかわかる(昔のドイツ語でうたうので凄まじい語学力が必要だけど)

なお、未だに古い情報がはびこっているが、この音楽祭では、正装を強要されていない。タキシードの人は、2割程度。10年以上前だと、大半が正装であったのだが、いまやそんな人はいない。理由は簡単、暑いから。

オケのピットは密室でもっと蒸し暑いので、楽団はTシャツである。だから観る我々も、薄いサマージャケットを手にもってゆけば十分であり、しかもカッターシャツは半そでにすべきである。

とはいえ、
グラインドボーンが「オペラの内容は初めてだし知らんしピクニックで酒を楽しむ音楽祭である」、に対し、こちらは、「オペラを知り尽くし予習までしてきて、しっかり中身を楽しむ音楽祭」、である。
 

むかーし、むかーし。アリストテレスというギリシァの哲学者が、
物体の重さは大きいほど速く落ちる、その速度は重さに比例すると本に記した。

16世紀まで、それは世界で信じられていた。

僕が読んだ伝記では、ガリレオがピサの斜塔で重い球と軽い球を落として同時に落ちることを示したというが、実際は、ガリレオの弟子がやったらしい。

1971年、アポロ15号の月面活動で、羽とハンマーを同時に落とし、同時に着地させたのは有名だ。
ガリレオは正しかった。

さて、

命題(1)
 「マルチchを構成するSPを選定するとき、すべてのスピーカーを同じ製品にそろえるのが正しい」

この命題は正しいと皆がいう。

でも根拠は聞いたことがない。
そんな根拠はないのだ。

でも、なんとなくそう思うから、正しい気がしている。
根拠がないのに皆がいうということは、だいたいが怪しい。


アリスストテレスの話を信じているようなものだ。

アリストテレスよりスケールが小さくって恐縮だが、(1)の命題はウソである。

以下の図は、ITCが標準化しているマルチチャンネルのスピーカー配置図だ。



ここからが問題。
これを、同じスピーカー(SP)でそろえる必要がある、というオーディオマニアが大多数なのだ。

実は、同じSPにそろえなくてよいという根拠を僕はもっている。

少なくとも、バックスピーカーに関して、述べておきたい。

耳介の存在だ。

顔から飛び出た部分の、耳たぶを含む部分で、耳介という。

耳は、上からみると、こう見える。



この確度は人によって角度が違うようだが、30°くらいまでに収まるのが普通で、40°を超えると良くないらしい。
30°というのは、先ほどの角度でいうと、バックスピーカーの150°に位置に相当する。


150°の角度に設置したバックスピーカーからの音は、耳介がじゃまをするので、外耳道に入ってこない。

当然に位相や音色、音量でさえも、正確には判定できない。

それでも音が聞こえるのは、耳介を通過して入る音か、もしくは、部屋で反射した音があるからだ。

試しに、フロントスピーカーの音を、頭は後ろをみた状態で聞くとわかる。

その状態で聞いた音は、きちんと音を判定できない。

どうしても、後ろを振り返り(つまり前を見て)聞いてしまう。

だから、うしろのスピーカーは、フロントやサイドと比べて、適度に格下の製品で十分だと思う。

日本のサイトをみていると、フランスで差別を受けたとか、レストランで悪い席に案内された、という記事や投稿が目立つ。

僕も日本人なので、そうした記事には敏感で、みつけたら読むことが多いのだが、この人、勘違いしているなと思うことが大半だ。それに、予約の仕方が悪いとも思う。

その話をしたいのだが、「あれこれ文句いうのであれば、最初からミシュラン★レストランに行くべき」と考えるので、その前提で話をすすめる。

★レストランの、特に★★以上では、レストランの雰囲気を壊さぬよう、アジア人やアフリカ人などの有色人種の比率を50%までにしている。白人だからと言ってアメリカ人も好まれない。カメラを手にうるさいからだ。
 席が空いているのに断られた、というのは、その理由であり、そもそも予約なしで入ろうとしている段階で間違っているのだ。

ただ、予約が入っていれば、席は確保されている。でも、リコンファームが必要だ。リコンファームをしていないと、キャンセルされることがある。これは★レストランの常識としてほしいし、日本でも高級レストランは同じである。

次に、変な席に案内された、という人も多い。もしかすると、ウェイティングバーに案内されたのではないだろうか。ここは、席に進む前に一杯飲む場所だ。メンバーがそろっているのであれば、スキップして席に案内してもらえばそれでよい。

なお、女同士のグループは、ディナーでは嫌われるので、悪い席に案内されることがある。

ただ、悪い席と言っても、まがりなりにも★レストランであれば、本当に悪い席なんてことはない。
日本人が悪く感じるだけで、それは良い席かもしれないのだ。

フランス料理に関しては、上席にルールがあって、レストランの真ん中あたり、皆に見られるような場所が一番良い。ちやほやされる感じがあるし、黒服のギャルソンから見やすいのでサービスが良く流れるからだ。日本では窓際が好きな人が多いと思うが、あれはフランスでは悪い席なのである。

さて、料理がなかなか出てこない、という事は非常に多い。これは、フランス料理は、3時間くらい、へたすると4時間かけて、ゆっくり楽しむものであり、2時間くらいで終わることはない。オペラがあるなど、急いでいるのであれば、一番最初にそれを言っておく必要がある。その場合、オーダーするメニューに関しても、席の人皆が最適化できるよう、レストランから変更をアドバイスしてくれるだろう。

初めての店であれば、予約の際に、コースの内容と、ワインの確認をした方が良い。★付きレストランでは、オーダーが明確に事前にわかる客に関しては食材を必要数だけ仕入れる。高級な食材なので、無駄に在庫をすることを避けるだめである。確実に食したい料理を食するためにも必要なのだ。

初めての客の場合、自分の好みを事前に伝えることで、相手に強く意識してもらうことができる。店としては、あれこれリクエストする客は、たとえ初めての客であれ興味をもってくれるので、良い席に案内してくれること請け合いだ。事前に料理もワインもわかっているので、サービスが流れるように進むし、店の立場でも売り上げが把握できるので、上客としてあつかってくれる。

これは、日本のレストランの予約でも全く同じである。初めての店だからこそ、勝手がわからないからこそ、あれこれ聞いて、好みもあれこれ伝えて、事前にコミュニケーションをとるのが良い。

料理とあわせるワインも重要だ。赤ワインは店でオーダーしてスグ飲むわけにはいかない。セラーに入っているので、シャンブレという温度をなじませる儀式が必要なのだ。だから赤を最初から頼みたいときは、ボトルを出しておいてもらう必要がある。

 たとえば、僕は、シャンパンをギンギンに冷たくして飲むのを好んでおり、ぶどうの味がわからないくらいまで冷やしておいてくれ、というと昼からしっかり冷やしておいてくれる。

そして、チーズのありナシも聞いておいた方がよい。最近は、チーズの種類が少なくなってきつつあるので、仮にチーズのサービスがあったとしても、自分が食する時間に、好みのチーズはなくなっているかもしれない。ぼくの場合、ウォッシュとシェーブルが出る場合は、必ず自分のテーブル分を確保してもらっている。


フランス語は、僕はまったくしゃべることができない。
でも、★付きレストランであれば、英語では対応してくれる。うまくいくと、日本人が働いていることも結構あるので、先方の都合次第であるが、日本語で会話できる。日本人シェフがいるばあいでもスーシェフ以上であることが多く、当日は調理場で忙しいので当然会話することなどない。事前に予約するのがいかに重要かということである。

むかーし、僕は、日経新聞のコラムで恐ろしくおいしい店、という紹介があったパリの料亭に入ったことがある。31歳でMOFを獲得した天才シェフと、客席の倍ほどの人数が厨房にいるレストランで有名になった店だ。きちんと事前に予約しておいた。本当においしかった。最後まで残って、シェフとあれことおしゃべりできた。予約していたからだと思う。81年のことだ。

 また来たいと思い、1年後の席を予約した。その1年後、楽しみに再訪すると、★付きに昇格していた。そのまた1年後、★★に昇格していた。もうそのころには1年先の予約はできなくなってたのだが、何度も来ているので予約を受けてくれた。そして、その1年後、なんと★★★に上り詰めていたのだ。ジャマンといえばピンとくる人は多いと思う。シェフはジョエルロブション。

その後、94年に店名も変え自分の名前をつけたレストラン、ロブションとして場所も移転、いきなり★★★。東京には、なんとパリの老舗★★★であるタイユヴァンとコラボした店を恵比寿にオープンし、その店もあっというまに★★★になったのは言うまでもない。

なお、すでにロブション氏は2018年に他界しており、ロブション名のレストランを名乗る店は、恵比寿だけだった気がする。パリの2店はラトリエ(レストランより格下)だ。

 

オリンピックも、もう終わる。
 

閉会式をみてから、フランスから出国して帰る予定だ(幸い電車で帰るので混雑はない。気は楽だ)。

 

フランスに滞在し、移動し、いろいろ思って感じた所感を述べておきたい。

 

まず、日本での報道はwebで見ていたのだけど、クーラーが選手村にない問題について、言っておきたい。
欧州の緯度を知らない。もしくは、日本の北国でのエアコンの普及率を知らないのだろう。
もしかすると、その両方だ。

欧州の緯度は高い。緯度は北海道より北に位置するのだ。

欧州の気候は温帯であり西岸海洋性で温暖だから、北海道の亜寒帯とは異なるけれど、

日本最北端の稚内市(その北にも利尻や礼文があるけど市はない)は、パリより南にある。
パリは日本のどこよりも北であり、フランス全体も、ものすごく北に位置しているということだ。

(だから、フランスよりさらに北に位置するロンドンは、この時期は "ほぼ"白夜である)


さらにいえば、東京の緯度は欧州のどの都市よりも南にある。

東京と欧州を比べると、地中海を通り超えて、モロッコまで

南下して、ようやく東京と同じ緯度になる。
欧州全体が、日本の北国より北にあると思ってよいのである。


オリンピック期間中のパリの気温は、最高27°程度、最低14°程度であった。
昼は汗ばむけれど、熱帯夜には決してならない。

同じ時期の東京は、最高温度は連日38°、最低温度は28°だったので差は一目瞭然だ。
パリでは、エアコンなんぞなくても、十分に快適に過ごせるのだ。
 

日本で伝えられてのは、英国の選手団がエアコンを入れたということだけど、

英国はとても寒い国なので、暑がりの人が多いからですよ。それに、もともと

フランスとは仲が悪い国なので、なにか文句をいいたいのじゃないかな。

 

日本選手団もマネしてエアコンいれたようだけど、暑い昼間はトレーニングや応援に出かけて

いるだろうから、夜は使わなかったのじゃないかな。

ただ、熱波が届くので、南側の都市、たとえばニース、リヨンは暑くなった。
このあたりは、サッカーの試合があった時、熱波が来ていたので暑かった。

 

でも、夜になると涼しい。
しかも、選手は選手村ではなく、ホテルに滞在しているので、当然にエアコン完備である。

まったく問題はないのだ。

次に旅行者。
フランスから見て外国からの来訪者が当然多くなる。
でも、パリで目立ったのはフランスの地方から出てきたフランス人だった。

いずれフランス観光局から実績が発表されるだろうが、事前の予想では、

1500万人がオリンピック期間に集中し、その9割はフランスの地方、

1割が海外からだった。

実際、カフェやレストランはたいしておいしくない店でも混雑しており、
当然にパリ市民は自宅からなるべく移動するな、と要請されていたようだ。
東京オリンピックは、無人だったし、そもそもパンデミックのさ中だったので、うらやましい限りである。

もうひとつ。物価。

パリは高い。
地方に行っても高い。

ホテルは、日本円で伝えた方がわかりやすいが、パリだと1泊10万円。
それも、並み程度のホテルでだ。高級ホテルだとその倍。
これは高い。

でも、2022年のカタールのワールドカップも、そんなもんだった。

需要と供給で価格がきまるのだから、合理的な価格なのだと思う。


レストランは、予約制なので、客がひしめくことはないが、

特別ムニュと称して割高に設定している店はパリでは多かった。
 

しかも、東京での価格の2-3倍くらいする。
ミシュラン★レストランあたりで、スープでも飲もうものなら、それだけで1万円はするのだ。

コース料理を頼む人はけっこう少なく、しかも、ワインをボトルで頼む人はわずかだった。
シェフから聞いたのだけど、オリンピック客だからではなく、ここ何年か、ワインを飲まない客

が増えてきたのだそうだ。ワインは、世界的に飲まれなくなっているという。

ボルドーでは、ワインの価格を維持するために、せっかく育てたブドウの木を間引きするシャトーもあるそうだ。 
もったいないけど、ブランドを維持するには、必要なコストなんだろうなぁ。


そういえば、イギリスでは、リーフティーを飲む習慣が劣勢になっていて、多くの人は

コーヒーに移行しているのだが、手間がかかって、後かたずけも面倒な飲み物は、

だんだん避けられてゆくのだろうか。

さて、なんだかんだ言って、オリンピック期間のパリは、とにかくオリンピック一色。
オリンピックでは初めてだと思うが、メダリストは、エッフェル塔の下にある

チャンピオンズパークに招かれる。自国に帰って行うようなアピールを、パリでできるのだ。

これは素晴らしい試みだ。

なんだかんだ言っても、さすが世界の都、パリと感じる。
このオリンピックは、成功したと言えると思う。
 

いま、オリンピックを見に来ている。
フランスにいるのだけど、会場があちこちに散っているので、当然に
移動しながら観戦する。

どこの都市に行ってもオリンピック一色だ。

前回の東京大会は無観客だったので、日本で開催している感じは全くなかった。

TVで見るのであれば、日本で開催しようが、フランスであろうが、まったく同じ。
むしろ、時差がある分、外国で開催するオリンピックの方が、それらしく楽しめるというものだ。

いままで、ワールドカップとか、オリンピックとか、あれこれ観戦しているのだけど、
今回は、フランスっぽい味を出している。

フランスと言えば料理、美食、というキーワードが必ず出てくる。

 

が、もうひとつ、エコロジーとか環境いう要素が、欧州っぽい。

これが、からまわりしている。

ペットボトルを会場に持ち込むのが、パリの会場では禁止されている。
観客に対してだ。
飛行場の、チェックイン時と同じだ。

当然、エントリーするには、その場で廃棄することになる。

無駄だ。

もっとわるいことには、水筒はよいということだ。

アルミの二重になっている、日本でもよく見るあの水筒。

 

これ、目視では何が入っているかわからない。
爆弾かもしれない。

だから、いちいち検査マシンにかけてチェックする。

でも、サッカーの決勝を行う、パリのパルクdeフランス(サッカー場)なんて、5万人も入るのですよ。
なんといってもパリサンジェルマンのホームだから、でっかいのだ。


ひとり1分だとして、5万分(50,000 min)も検査にかかる。

833時間だ。34日に相当する。


さすがに1か所だけでは行わないので、10か所に分散しても5千分。
100か所に分散できたとして、500分。
かなりがんばっても、200か所が限界だろう。
それでも250分。


サッカー場に入場するだけで4時間15分かかる計算だ。
席を見つけるまで、さらに15分はかかる。
席に座ったときには試合は終わっている。

 

まさかね。

相手は宿命のライバル、欧州最強のスペイン。
こんなことしたら、暴動必至だ。

ひとりあたりの検査をぬるくするしかない。
たぶん目視チェックで、事実上素通りさせるしかない。

結局、意味がない。

そういえば、ものすごーく昔の話だけれど、

1980年代の話。
 

家電をがんがん日本から輸入していたフランスは、日本に対する貿易赤字を、ワインの輸出で解消しようとした。

が、関税が高かったので、ワインの輸出ができない、不公平と感じたフランスは、日本に制裁を加えた。
まず家電の関税を上げる。
そういえば、ソニーのラジカセをセーヌ川に落とすパフォーマンスをするフランス人もいた。

当時は、ワインを飲む習慣がなかった日本人にとって、関税以前のニーズの問題であったのだが、

文化レベルが高いフランス人にはワインを飲まない民族なんて理解できなかったのであろう。

しびれを切らせたフランス政府は、なんと、フランスに旅行に来ている日本人に対して、ビザを必要とする、

ことをある日突然もとめたのだ。ひどい制裁である。

 

日本政府に働きかけて、ワインのイベントを日本持ちでやらせるだけでよかったはずだが。

そのとき、僕は学生で、休みも沢山あったものだから、ゆっくりとフランスを旅行中だったけど、
あちこちでパスポートコントロールをするもので、移動ができなくなった。

パリに戻って、大使館でビザをもらうにも、パリに移動できない。

当時はEUという概念がなく、隣国とはパスポートコントロールがされているので、
国を出ることもできない。

言葉もしゃべれないし、どうしよう。

、、、とまぁ、困りまくったことがある。

じつは、このとき、何度か訪問していたレストランで日本人が働いていて、助けてもらった。
同じレストランに何度か行くと、シェフとも仲良くなるので、実に助かった。

趣味は人を助ける。
 

今は昔だ
 

あのころにセーヌ川に捨てられたソニーのラジカセは、まだセーヌ川の中に埋もれていることだろう。
そんなセーヌ川で泳いだりしたら、そりゃ、体汚れて具合悪くなるわなぁ。
 

ペットボトルの持ち込み禁止をみて、こんなことを思い出したのであった。
 

本日、WOWOWのスタジオで、ミスタービッグというロックのライブ映像の完成披露試写会があって、参加することができた。

こうした案内をいただいたWOWOW  Executive Creatorの入交さん、アレンジいただいたAuro-3Dさん、
ありがとうございます。

ところで、ミスタービッグというのは、実は2つのグループがある。

ひとつは、英国のミスタービッグ。
1970年代にプログレハードというジャンルが一時はやった。ロック評論家の渋谷陽一の造語みたいだが、ボストン、カンサス、TOTOなどが代表的だが、ミスタービッグも入っていたと記憶する。

僕は、こちらのミスタービッグが大好きなのだが、残念ながら、今回は、別のミスタービッグ。
米国のバンドだ。英国のミスタービッグとは無関係で、1989年にデビューしたハードロックバンドだ。
ドラマーのパットトーピーが、フリーの名盤 fire and water に収録された Mr.Bigからとったバンド名らしい。

なるほど、Voのエリックマーチンの歌い方は、ポールロジャースと似ている。

こちらのグループの方が、はるかに売れたのだが、ドラマーのパットトーピーがパーキンソン病を患っていて、2018年に死去した。

こうしたビッグネームは、お金を稼ぐために続けるというより、仲間がいなくなった段階で活動終了にすることが多いと思う。ピンクフロイドやムーディブルースもそうだ。

 さぁ今生の別れにツァーでもやって終わるか、と思ったのだろう。2023年7月に、The BIG Finish Tour という最後のツアーを行ったが、その日本公演の、武道館ライブの記録だという。

 ちなみに、この時に同行したドラマーは、ニック ディデバージオだが、彼はジェネシスのライブでもドラムスを担当した人だ。

96Kマスター音源で13.1chで再生してくれるという、なんともありがたい試写会だ。

最終的にはBDになるだろうが、wowowスタジオで再生してくれたのは、マスターであることが凄い。

いろいろな場所に設置したカメラの映像を効果的に編集してひとつの作品にまとめている。まだ字幕はなかった。

マスター映像は、たぶん4Kだろう。ビクターの民生用のプロジェクターに見えたがよくわからない。
スクリーンは180インチ (16:9だと思う)。ハメ殺しのスクリーンなので、平面性は完璧。

音は、96kのマスター音源で13ch分. おそらくリニアPCMで、DANTEと呼ばれる形式でイーサネットに流し、それをもの凄い数のSPが拾って再生する仕組みだと思う。

SPは、知らない会社のもの。DAC付パワードSPだろう。1層は方LCRの3つだけが大きくて、あとはちっこい。2層以上は、すべてちっこいSP。

今回は音重視ということで、なんとCのスピーカーはスクリーンの前に設置され、LRと高さをそろえていたものだから、映像がSPに投射される。
 
僕はスクリーン近くの真ん中あたりの席をとったので、顔はやや上に向く必要があった。
以前にblogに、絵を描いているが、まさにこんな感じで見ていたのだ。
https://ameblo.jp/siltech/entry-12857023128.html

全体の音は、大変にクリアで、それぞれのSPレイアウトを武道館での視聴位置関係にみたてている
など、手がかかっている。

驚いたのはシーンごとに、ミックスが変わっていること。たとえば、マイクでしゃべりのシーンも多かったのだが、こっそりしゃべるようなシーンでは、耳元でささやくように聞こえるよう、位相を細かくいじっている。

 自分の耳のスグ近くしゃべられているかのような感じがあって、背中がゾクッとした。こうした効果は視聴する席によって変わるようだが、僕の席では少なくとも2回、そのゾクゾクを感じだ。

内容的には、よほどのファンは別として、2H30Mの尺はさすがに長すぎてだるい。

最後の20分くらい、ファミリーの紹介になっておもしろくなり、アンコールは最高であった。

曲は、ピートタウンゼントの作品、Baba O'Riley(Who's next,Y1971の1曲目)で、そういえば、ピートタウンゼントの歌い方にも似ているな、と思いながら楽しめた。

Mr.Bigは嫌いではないので、BDは買ってみようと思うが、とっても残念なのは、13chで収録していながら、BDへは11chにダウンするようだ。Auro-3Dでの話と思うが、初の13.1ch 商用BDか、よしよし、と期待しただけにこれは残念だ。初回限定でよいので、なんとか、Auro-3D 13chで販売できないものかな。

マスターを利用した最高のサウンドを聞いたので、今後のリファレンスになる。
我が家でどう再生できるか、楽しみだ。


 最後にこれはぜひ書いておきたいが、2H30Mも聞いたので、しばらく耳鳴りがした。

僕自身、珍しく耐えたのだが、90dBは常時超えていたと思われる再生音量は、ロックコンサートだとしても大きすぎたように思う。