OPSODIS1なる、スピーカーがある。
普通にステレオ2ch入力をすると、立体的に聞こえるというイマーシブなスピーカーだ。
売り方が面白い。クラウドファンディングに応募し、74800円を払い込むと、送ってもらえる、というシロモノだ。
https://greenfunding.jp/lab/projects/8380
今からだと、納品は2026年になるという、フェラーリ並みの納期である。
実はこれ、イギリスで開発された技術らしい。
ソニーがリアリティ360という、ヘッドホン用のサラウンドシステムを開発しているが、それと同じようなものだ。
ただし、鹿島の方は、ヘッドホンではなく、スピーカーで実現している。
小さなSPを横に並べたラインアレイと呼ばれる手法で、左右の指向性を鋭く独立させて耳に届ける。
最初、聞く前は、小型であり安物であるので、ショボいSPに見えた。
ぺなぺなに軽いし期待もしなかった。
でも、使ってみると、これで得られる立体感には、ぞくぞくする。
構造的にもアルミダイカストであり、小型ながら本格的な香りもする。
音はなかなか、良いのだ。
製品としては しょぼいのだけど、本格システムの音を80点とすると、60点くらいの音は出ている。
とはいえ、まじめにATMOSやAuro-3D をデコードした本格的なシステムで築いた音にはとてもかなわない。
欠点は、顔を少し動かすと、あっというまに臨場感やイマーシブ間が失せること。
多少の前後左右シフトくらいでは問題ないが、首を回してしまうと、左右の耳がスピーカーから均等距離では
なくなるので、音が一気にしらける。
それは耳に覆いかぶせるヘッドホンをつかわないで済むのだから、仕方ないかもしれない。
もっと大きな欠点は、なんと、HDMI入力が存在しないのだ。
つまり、ATMOSやAuro-3Dのソースを、OPSODIS1 で聞くことができぬ。
そもそも、マルチchソースはデコードできない。
なぜか、AACだけはデコードできるので、完全に日本市場の、テレビのSTBに特化したもの、なのであろう。
がんばっても金をかけても80点の音しか出ないのに、安いものをぽんと置くだけで60点の音が苦労せずに出せるのは、非常に素晴らしい。
HDMI入力をつけて、ATMOSをデコードできるようになれば、高いAVアンプは必要なくなるかもしれない。