もうずいぶん前の話。
我が家に最初の音響セットがやってきたことを覚えている。
30cmのLPレコードが乗って、ターンテーブルがくるくる回る、レコードプレーヤー。
スピーカーも内蔵していたけど、スピーカーを別に購入して、ステレオ音声が再生できた。
電蓄と呼ばれる、今からみるとチャチな玩具だけど、高級なモデルは、いかにも高級そうな
ケバケバした木の装飾がついていて、車より高価なものもあったと思う。1960年代の話だ。
1970年代に入り、我が家で買いこんだ買ったステレオセットが、テクニクスのCD-4対応の製品だった。
この時代が、サラウンド再生のスタートになったと思う。
レシーバーとプレーヤーが1つの木調家具調ラックに一体化され、そのラック下部は空きがある。その空きはレコードを入れるようになっているのだけれど、カセットデッキを入れる人が多かった。FMステレオ放送が始まっていて、エアチェックするのが流行っていたのだ。
カセットデッキは、デッキTEACのA-450だった。
ドルビーFMに対応していた機器で、それで選んだのだと思うけど、そんなFM放送は実用化されなかったな.
ワウフラッター0.07%、ドルビーNR、VU計+ピークLEDという当時としては圧巻の性能機能だったけど、それよりも、ピアノタッチの操作メカの感触は素晴らしかった。これですっかり僕はTEACファンになった。1972年発売とTEACの歴史に書いている。
CD-4ステレオセットの型式は覚えていないけど、同じ年の製品だったのだと思う。
CD-4のステレオセットには、スピーカーが4本ついていた。
フロント2chは、家具調のレシーバーに合わせた豪華に見えるがスカスカに軽い木製。
さらに、リアスピーカーがついていた。高い位置に壁掛けするようにできていて、部屋の後ろ側に設置するよう推奨されていたので、今風にいうと、バックサラウンドハイになる.
壁掛けができるくらいに、十分に軽い、いいかえるとチャチなものだった。
4chのフォーマットは、世の中にたくさんあったけど、CD-4だけが4chで完全に独立した音が出る。
いまにして思うと、セパレーションも悪かったし、そもそも、ソースがなかった。
ステレオセットを買うとオマケにくれるLPがあって、ポールモーリアと、尾崎紀世彦のCD-4の世界、その2枚のみしか、我が家にはなかった。
だって、売っていないのだから、仕方がない。
いま検索をかけても、3流のソースだけしかなかったようだ。
結局、ステレオレコードをCD-4 モードで再生しても、4chにデコードできないので、リアSPは無用の長物だったわけだ。
CD-4以外の、マトリクス方式の4chであれば、2chソースも4ch化できるので、それを買った方がよかったことになる。
でも結局、4chの再生方式は、どの方式も、すべてコケた。
各社がソース不在の中、技術優劣だけを自社が優れていると主張する,ガキのケンカ並みのレベルの低さ、だったのだ。
まぁ、家にあっただけであって、僕が選んで買ったものでないけど、このステレオセットのおかげで、オーディオに興味を持ったので、思い出深い。