趣味のオーディオ専門の雑誌としては、最も歴史のあるステサンであるが、

どんどん薄くなっていている。

薄い、というのは、いくつか意味があって、

ひとつは、純粋に、ページの薄さ。

最新のNo.234号は、378ページ。2640円。
量で計算すると、1pageあたり、6.98円で購入していることになる。

ちなみに、No60(1981秋)号は、506page、1800円。
1pageあたり、3.56円。

ぱっと見て、最も厚いのは
No116 (1995秋)、654page,2000円。
1page当たり 3.06円。

量よりも質、厚さよりも中身が重要な、趣味の雑誌なのだが、残念なことに、中身はさらに薄くなっている。

1980年代のステサンは、カートリッジ、アンプ、スピーカー、ターンテーブルなどの視聴では、
実測データを添えていた。

ステサンが、機種紹介で測定データを添えるのは、もうない。

これをやるかやらないかで、掲載の手間は大きく異なるのは間違いない。

特にターンテーブル、カートリッジ、スピーカーなどの振動系コンポーネントにおいては、

実測データがある/ないで、記事の情報は月とスッポンである。

手間暇をかけていない記事で、情報量が、軽く、薄くなっているのだ。

まだある。

文を読むのは、書く手間と比例して長い時間を要する。
そして、文章が薄いと、あっという間に読める。

最新刊を1冊読むのに、30分も必要なくなっている。
文章が、薄いのだ。

評論家の中身が、薄くなっている。

ステサンの重鎮評論家が、どんどん死んでゆくので、
書き手をじゃんじゃん加えているのは、これは良い。

しかし、昔の評論家は、人生を賭けてオーディオをやっていた。

それが、文章に にじみ出ていた。

人生を賭けて取り組んだ人が書いた文章だからこそ、

1行の重みが違う。それに行間を読む価値もあった。

読むのに時間もかかった。

でも、いまは、そんな評論家は ほとんどいない。
趣味でオーディオをやっているライターが、どうでもよい言葉で書いている。
しかも、たいした装置でもないし、大した部屋でもないので、明らかに人生をかけていない。

だから余計につまらない。


趣味でオーディオをやっている知り合いは、おっさんは、僕もゴロゴロ知っている。

そういうひとたちと一杯飲んだ方が、はるかに情報量がある。

とにかく、ひたすら、ステサンが薄いのだ。

最新号に限らず、ここ何年も、読む価値のある文章をほとんどみていない。

オーディオに対する興味は相変わらずあるのにも関わらず、読みたいと思えない雑誌なのだ。
惰性で買っているだけ。


そもそも本屋がなくなっている現在、購入はamazonかサブスクに限られる。

いずれ、HiViのように、季刊 ステサンは、なくなる時が来ると思う。

なくなっても、特に残念でもない感覚が、既にある。