音路94.おサルにかえる ~ Hot spring of the Anthropoids:真猿類の温泉
(カエル コネクション.13)
前回コラム「音路93.ひとつの茶にかえる(カエル コネクション.12)」に引き続き、今回は連載「カエル コネクション(カエルとつながろう)」の第13回となります。
前回コラムで、江戸時代の信州出身の俳諧人である小林一茶の、カエルが登場する句の話しや、一茶ゆかりの東京都 足立区の炎天寺の「蛙相撲」のことなどを書きました。
前回のお話しの中で、「東京都 足立区の別の名所を次回にご紹介します」と書きましたので、まずは、その名所からご紹介します。
◇足立区生物園
東京都 足立区の竹ノ塚には、一茶ゆかりの炎天寺の近くに、「足立区生物園」という面白いスポットがあります。
東京の他の区の方々には、あまり知られていないかもしれません。
私は、動物のヤギ好きでもありますので、この魅力的な「生物園」をご紹介したいと思います。
こんなに安い入園料でいいのと言いたくなるほどの、庶民的な雰囲気の「足立区生物園」です。
ここには、人気の猛獣やら大型草食動物はいません。
結構、私たちの身近にいる、動物から、昆虫から、魚から…、お求めやすい価格(?)の生きもののオンパレード!
でも、それがいいのです。
魚の大水槽といえば、マグロなどの大型回遊魚や、大型のサメなどがいると思われがちですが、ここの大水槽には、いろいろな種類の金魚が混ざって泳いでいます。
「金魚かよ」とは言わないでください。
ある意味、これだけの数がいると、美しく、壮観です。
他に、ヤギ2頭、ヒツジ2頭が、仲良く暮らしています。
まるで犬のようなヤギの映像です。
のんびり
東京下町の庶民的な親近感は、この生物園ならではですね。
本当に ここは東京か!?
いいえ、ここは由緒ある蛙の聖地「足立(あだち)」なのです。
炎天寺でひと息ついた後は、この「足立区生物園」にも、ぜひ!
只今、「もっともっとモルモット・モルモル総選挙」開催中!(11月3日まで)
11月3日は、犬の「わんフェス」!
足立区生物園サイト
◇サルたちの進化
本コラム「歴音 fun」では、さまざまな歴史のお話しを交えて書いていますが、とうとう、人類の進化のお話しまで書くことになりました。
私は、カエル好きというだけでなく、無類の動物好きでもありますので、今回は信州のあの温泉につかるサルのことを書きたいと思います。
この「カエル コネクション(カエルとつながろう)」では、今、信州(長野県)の北信地方、特に三人の偉大な音楽家を生んだ中野市のことを中心に書いています。
その長野県中野市から東方にある志賀高原の方向へ約12キロメートル、自動車で30分ほど行った山奥の谷あいに、サルたちが入浴する「地獄谷温泉」があります。
* * *
その前に、サルや人類の進化のお話しを少しだけ…。
動物は、その起源をたどれば、ひとつの生きものにたどりつき、進化の過程で多くの種類の生きものに枝分かれしていきましたね。
今も、地球上には、多くの種類の動物の子孫たちが生きています。
人間として生まれてきたことは、実は奇跡的なことですね。
* * *
生物は、大きな区分から、さまざまな順番で細分化されて表現されます。
「界 → 門 → 鋼 → 目 → 科 → 属 → 種」というのが、基本的な区分の流れです。
たとえば人間であれば、
「動物界」の「脊索動物門」の「哺乳鋼(哺乳類)」の「霊長目(霊長類)」の「ヒト科」の「ヒト属」の「ヒト(種)」です。
「霊長類(れいちょうるい)」という言葉がありますが、これは「サル類」のことで、前述の「霊長目」を指します。
「霊長類最強」と愛称で呼ばれたあの女性オリンピック選手は、霊長類には違いありませんが…。
たしかに「ヒト科最強」という表現では、その強さを実感できませんね。
ゴリラをも、オランウータンをも倒してくれそうな勢いです。
* * *
サル類である「霊長目」の進化の過程をここから…。
霊長目(サル類)の祖先から、6000年前あたりに、キツネザルのようなものたちが生まれてきます。
キツネザルは、キツネやリス、ネズミのように、鼻やクチが突き出ています。
とはいえ、その身体や動きは、おサルさんにも似ています。
こうしたキツネザルたちの中から、5200万年前に、鼻やクチが引っ込み、両目が顔の中央部近くで並んで配置されてきたものが現れます。
つまり、視覚の遠近感が相当に変わります。
それが、メガネザルです。
今でもそうですが、キツネザルは、まるでキツネのような顔と猿の身体のようにも見えますが、メガネザルは、いかにも目を整形してきましたというほど、目に特徴があり、鼻やクチは、もはやキツネではありません。
この二種類のサルは、「原猿類(げんえんるい)」と呼ばれます。
「サル」の進化の原始の姿です。
「サル」とはいっても、限りなく、その後に登場するサルたちよりも、野性味あふれる古いタイプに感じますね。
◇原猿類 ~ ワオキツネザル
その原猿類の中に、日本では、その楽曲とともに相当に有名な「おサルさん」がいます。
「霊長目」の「アイアイ科」の「アイアイ属」の「アイアイ」です。
英語で「aye-aye」、日本の別名は「指猿」です。
アイアイは、今のアフリカ大陸の南東にあるマダガスカル島にしか生息していません。
その姿は、サルとはいっても、まるでリスとサルの中間のようにも見え、1780年の発見当時は、リスの仲間なのか、ネズミの仲間なのかわからず、サル類の「霊長目」ではなく、「アイアイ目」とされていましたが、その後、キツネザルの仲間だとわかり、「霊長目」に入りました。
たしかにキツネザルにもよく似てはいますが、その生活ぶりは かなり違います。
* * *
今の、アフリカ大陸、南アメリカ大陸、インド、オーストラリア大陸、南極大陸の各大陸は、かつて「ゴンドワナ大陸」というひとつの巨大大陸でしたが、2億年くらい前から分裂をはじめ、6500万年前頃に今の配置になったようです。
マダガスカル島は、そのゴンドワナ大陸の中心部にあり、分裂の過程で、今のような島となって残ったようです。
かつてのゴンドワナ大陸の各地にいた動物や植物が、陸地の分裂にともなって、それぞれの場所で独自の進化をしていきます。
今、マダガスカル島とアフリカ大陸は海で400キロ程の隔たりがあります。
マダガスカル島の面積は約59万平方キロで、大きく4島に分かれる日本の38万平方キロよりも、はるかに大きな島です。
周辺に小さな島々があります。
原猿類のキツネザルたちは、流木につかまって、アフリカ大陸からマダガスカル島にやって来たのだそうです。
マダガスカル島と周辺小島には、今のアフリカ大陸にはいない原猿類が、アジアなどのような進化をせずに、奇跡的に取り残されたのです。
生きることへの執念こそが、種を存続させますね。
原猿類が生き残ったとは、まさに奇跡です。
* * *
マダガスカル島南部に生息する「ワオキツネザル(輪尾キツネザル)」は、ラテン語では「Lemur catta(レム―ル・キャッタ)」といいます。
直訳すると、「幽霊猫(亡霊猫)」です。
たしかに、あの顔の表情は、ゴーストですね。
このサルは、数匹のメスたちを中心に、オスを何匹も引きつれて群れをつくるそうです。
群れのボスは、もっとも強いメスの女王様です。
キツネザルの攻撃性は相当なものですが、特にメスの猛烈な攻撃性は、オスをも、ひるんでしまうようです。
後の「真猿類」や「類人猿」、もちろん「人類」とも、「群れ」の形態がかなり違うようです。
その姿は、サルというよりキツネに近く、相当に長い尻尾(しっぽ)を持ち、それを手のように自由自在に使います。
樹上生活では、まるで手足が5本あるように見えます。
原猿類は基本的に、夜行性の生きものなのですが、ワオキツネザルは、昼でも、夜でも、行動します。
するどい目つきの顔に似合わず、「のんびり日光浴」が大好き!
その手のひらには、後に進化するサルたちとは異なり、指が異様に細く長く、不思議な形状をしており、食事などで器用に使うだけでなく、ものすごい武器にもなります。
その中でも、後で書きます「アイアイ」には、まるで手に刀や槍がついているのかと思うような、ものすごい長い指と爪があります。
その指は、人間を殺害できるほどの威力があり、相当な攻撃性を持った動物ですので、後に進化する、知性を持ったオランウータン、ゴリラ、チンパンジーのように接することは不可能だと思います。
「おサルさん」とはいっても、まるで猛獣のような一面をそなえていますので、絶対に手を出したり、からかったりしてはいけません。
芸を仕込んだり、ペットにするなどは、到底不可能です。
* * *
メスにもオスにも、きっちりとした序列があり、その序列をめぐって戦いが絶えません。
ワオキツネザルは、3メール以上はその場からジャンプできますので、その戦いぶりは、まるでライダーキックの応酬です。
ライダーキック、爪での引き裂き、まるでキツネのような牙での噛みつき…、すさまじい戦いが起きます。
まさに、ワオッ!
実は、尻尾が輪の模様… 輪尾!
とはいえ、このファッションは、なかなかのもの…
ワオキツネザル
◇アイアイ
キツネザルの仲間である「アイアイ」は、身体全体が黒色の毛でおおわれ、行動はもっぱら夜です。
人間の生活空間に、夜に忍び寄り、果物などを奪っていくこともあります。
その長い指と、するどい爪で、大きなヤシの実に穴をあけて、ジュルジュルとすすります。
樹木の穴にその長い指爪を差し込み、昆虫などを捕食します。
ちょっと怖い光景です。
人間なんて、あの指で刺されたら、ひとたまりもありません。
真っ暗な夜に、不気味に光る目が、こちらを見ており、目だけが移動していくように見えます。
現地の人々は、その見た目や行動から、「悪魔の使い」「不吉な生きもの」として嫌っているようです。
日本の動物園でも、昼間でも、薄暗い特別な建物の中で飼育展示されていますね。
* * *
1962年(昭和37)に発表された童謡「アイアイ」(作詞:相田裕美、作曲:宇野誠一郎)からは想像もできない、その姿と行動ですね。
たいへんなイメージギャップですが、アイアイからしたら「そんなこと知らなあ~い」。
下記の音楽映像には、「アイアイ」以外のサルも登場しています。
歌詞の「南の島」とは、マダガスカル島のことです。
♪アイアイ
* * *
東京・上野動物園のアイアイです。
あの指爪で、目ヤニを取ったり、歯を磨いたり(?)していますよ。
耳は、まるでコウモリやキツネのよう…。
実は、2000年ほど前には、今のアイアイのサイズの2~3倍はある巨大アイアイが生息していたそうです。
怖すぎ!
現地住民の方々は、下記映像のような、夜のアイアイの姿を見ているのかもしれません。
暗闇の樹木の中で何かが動いている…、光る目だけが見えるぞ…、そして武器を研いでる… これは、ほんとに怖い!
本当は、人類がもっとも怖いのに…。
暗がりのアイアイ
サルといわれても、原猿類は、やはり サルとは違う生きものに見えてしまいます…。
オヤジの私は、減塩類…。
◇原猿類から真猿類へ
基本的に、サルのような姿の生きものは、森林がなければ生まれてこなかったといわれています。
高い樹木に生活の中心を置き、自由自在に樹木を登り、細い枝にお尻をついて腰掛けますので、「尻だこ」ができます。
森林ならではの遠近感と色覚も必要になってきます。
アフリカの草食動物や肉食動物とはまた違う、家族で群れを作って集団生活をする習慣も必要になってきますね。
これは、脳みそが発達していきそうな予感がします。
* * *
前述の原猿類のキツネザルやメガネザルたちの中から、さらに進化したサルたちが生まれてきます。
進化した彼らは、それまでの「原猿類」に対して「真猿類(しんえんるい)Anthropoids(アンスロポイズ)」と呼ばれますが、まだ「類人猿」の仲間に入ることはできませんでした。
今の動物園にいる、クモザル、オマキザル、オナガザルなどの、姿かたちも、色も、鳴き声も、いかにも野性味あふれるサルたちです。
まだまだ樹上生活をする猿たちです。
長い尻尾(しっぽ)を、手のように器用に使うサルたちです。
アフリカ大陸から南アメリカ大陸が分裂し、アフリカ大陸、南アメリカ大陸、ユーラシア大陸のそれぞれに、たくさんのサルたちが生息していました。
それぞれの大陸のサルたちは、異なる進化をとげたようです。
南アメリカ側が「新世界ザル」、アフリカ・アジア側が「旧世界ザル」と呼ばれます。
今、日本に生息する「ニホンザル」は、「旧世界ザル」側です。
ニホンザルは、「哺乳鋼(哺乳類)」の「霊長目」の「オナガザル科」の「マカク属」の「ニホンザル」です。
真猿類の顔の表情は、原猿類よりも、少しだけ穏やかになったような気が…。
◇おらは、ウータン!
こうしたオナガザルなどの「真猿類」の中から、2000年ほど前に、「テナガザル」が生まれてきます。
異様に腕が長く、自由自在に樹上生活ができますね。
すさまじいほどの腕力を備えています。
人間が足で歩くように、長い腕を使って、樹から樹へ渡っていきます。
「テナガザル」は、「霊長目」の「テナガザル科」です。
* * *
この「テナガザル」の中から、1700万年ほど前に「オランウータン」が生まれてきます。
オランウータンは、アジアの熱帯に渡ったサルたちから生まれてきます。
オランウータンも異様に腕が長いですが、テナガザルよりも、はるかに高い知性を感じます。
オランウータンは、「霊長目」の「ヒト科」の「オランウータン属」です。
もはや「ヒト科」に分類されます。
顔の表情からは、うれしさ、悲しさ、怒り、満足、拒否などが、しっかり読み取れますね。
下記映像のような、人間のウータンたちを、よく見かけます…ね。
おらは、ウータン!
ベイビー・ウータン
ママ・ウータン
オヤジ・ウータン
◇類人猿の古いほう…、新しいほう…
800万年ほど前に、アフリカ中央部から「ゴリラ」が生まれます。
ゴリラは、「霊長目」の「ヒト科」の「ゴリラ属」。
人間はもはや、「イケメンゴリラ」を見分けることもできますね。
600万年ほど前には、アフリカの広い地域から「チンパンジー」が生まれます。
チンパンジーは、「霊長目」の「ヒト科」の「チンパンジー属」。
「ヒト科」とは、「オラウータン属」「ゴリラ属」「チンパンジー属」「ヒト属(人間であるホモサピエンスはその中の一種族)」のことを指します。
「ヒト属」を除き、前述の「テナガザル科」から「ヒト科」までを「類人猿」といいます。
つまり、「テナガザル属」「オラウータン属」「ゴリラ属」「チンパンジー属」が「類人猿」で、動物としての進化の分類では、人類に近い存在です。
瞬間的に見て、尻尾(しっぽ)がほぼなく、二つの目が顔の中央で並んでおり、手が器用で、時折、二足歩行が可能です。
私は、いつも動物園で、進化順に檻(おり)を並べたら、わかりやすいのにと思うのですが、ひょっとしたら、隣近所の檻どうしで「新しい」だの、「古い」だの、「進化遅れ」などと暴言の言い争いが始まるのかも…。
◇「新人」って、どこから来たの?
さて、「類人猿」から人類である「ヒト属」への進化のお話しです。
700万年ほど前に、二足歩行の「猿人(アウストラロピテクス)」が、アフリカで生まれてきます。
200万年ほど前には「原人」が生まれ、150万年前あたりに「ジャワ原人」、50万年前あたりに「北京原人」が生まれます。
「オランウータン」は東南アジアにしかいませんが、彼らはかつて、原人たちの先祖の仲間だったのかもしれませんね。
このアジア系の「原人(げんじん)」たちは、アフリカ系の「猿人(アウストラロピテクス)」よりも、脳が倍ほどの大きさがあったようです。
火や石器を扱い、言語を使い始めます。
実にその両人の間には、500万年もあります。
* * *
さらに、70万年前には、「旧人」である「ハイデルベルク人」が…、その後に、やはり「旧人」の「ネアンデルタール人」が生まれてきます。
一方、20万年前あたりに、アフリカで、人類の祖先である「新人(ホモ・サピエンス)」も生まれてきますが、この「新人」は、「旧人」の「ハイデルベルク人」から生まれてきた可能性もあるようです。
アフリカ生まれの「新人」たちは、世界に広がっていきます。
この「新人」の中から、7万年前あたりに「クロマニョン人」が生まれてきます。
地球上には、「旧人」の流れの「ネアンデルタール人」と、「新人」の「クロマニョン人」が共存していましたが、4万年前あたりに「旧人」の「ネアンデルタール人」は絶滅します。
「クロマニョン人」のほうが、脳の発達が進んでいた可能性も考えられ、優れた道具や武器をつくり、あの洞窟の壁画は彼らが残したものです。
「ネアンデルタール人」は、同種族の人肉を食べていたという説もあります。
かなりの筋肉もあり、戦闘意欲の強い人種であったようでもあります。
こうした特徴も絶滅に関連していたのかどうかは、わかりません。
あるいは、クロマニョン人の優れた社会システムが、ネアンデルタール人の社会を飲み込んだのかもしれません。
おそらくは、血の混ざり合いも起きたでしょう。
* * *
今の人類に進化する可能性のあった人種は、20種類以上はいたようですが、「新人(ホモ・サピエンス)」系の「クロマニョン人」を残して、ほぼ絶滅したようです。
「ホモ・サピエンス」という呼び名は、ラテン語で「賢い人」という意味です。
人種間の直接的な戦闘行為というよりも、クロマニョン人の頭脳の「賢さ」が、種の生存を成功させたのかもしれません。
人間の脳にも、かつては鳥のような方位磁石機能があったともいわれていますが、今、その機能を使っていないのか、退化したのか、よくわかりません。
進化の過程で、脳のどの部分が優先されて発達するかによって、生きものは生存するのか、絶滅するのかが決まるのかもしれませんね。
◇何の「惑星」?
さて、生物の進化は、その「属」たちの「分化」「分岐」という表現をします。
ですから、「テナガザル属」「オラウータン属」「ゴリラ属」「チンパンジー属」はみな、それぞれの時代に分岐し、今でも生存している「類人猿」たちです。
もちろん、それ以前の進化の姿の「原猿類」や、「ニホンザル」を含む「真猿類」も、地球上に生存しています。
絶滅していったサルたちは、時代を乗り越えることができなかった者たちです。
* * *
進化の歴史を考えてみれば、人類である「ヒト属」の中からも、いずれ今の現代人とは別の方向に向かう別の「属」が出てくるのは間違いないと思います。
ゴリラやチンパンジーのように、いつか「ヒト(人間)」も動物図鑑に掲載される日がきっときますね。
ウイルス、戦争、ジェノサイド(特定民族抹殺)、自然災害、食糧危機、隕石…、「ネアンデルタール人」のように絶滅しなければいいのですが…。
* * *
ここで、ひと休み…。
米国映画「猿の惑星(Planet of the Apes / 直訳:類人猿の惑星)」のメインテーマ曲です。
この映画を初めて見た時の衝撃は忘れられません。
もちろん、1968年(昭和43)のほう。
♪メインテーマ
「猿の惑星」PR映像
実は、人間とチンパンジーの間には「ボノボ」と呼ばれる、チンパンジーに近い姿の生きものがおり、彼らは、相当な記憶力や学習能力を持ち、火を扱うことができるようです。
「ヒト属」と「チンパンジー属」の中間のような存在かもしれませんし、その中から、さらに知能の高い、新しい「属」が出てきても不思議ではありませんね。
数百万年後、地球は「何の惑星」になっているでしょう…?
片腕あげてる女神様、教えて…。
◇尻尾(しっぽ)なんて…
さあ、やっと信州の「雪の中の温泉ニホンザル(スノー・モンキー)」のお話しに向かいます。
観光用の英語表現で、「スノーモンキー」と呼ばれますね。
ニホンザルは、前述の「類人猿」へ進化する前の「真猿類(Anthropoids : アンスロポイズ)」に含まれます。
ニホンザルは、「哺乳綱」の「霊長目」の「オナガザル科」の「マカク属」の「ニホンザル」です。
「マカク属」とは、足の方が手より長く、食べ物を頬を膨らませてクチの中で蓄えることができ(つまり 味わう)、手のひらの構造がモノをつかむかたちをしており、樹木をつたって器用に移動できるものたちです。
* * *
「オナガザル」は、基本的に、長い尻尾(尾長・おなが)を、手のように器用に使うサルたちです。
ニホンザルが「オナガザル科」なのに、尻尾が短いのは、寒冷に耐えるために、身体の表面積を減らしたためだと「モノの本」で読みました。
人間の人種は、寒冷地に行くほど、身体が大きくなるそうですので、真逆です。
私には、どうも よく わかりませんが、たしかに寒冷地では、尻尾が冷えそうです。
それに、おサルさんたちの故郷の熱帯はジャングルだらけで、尻尾の用途はたくさんありそうですが、温帯や寒冷地には森林や草原など多様な環境があり、尻尾の必要性は少ないのかもしれません。
むしろ邪魔かもしれませんし、リスクなのかもしれません。
あるいは、骨格の変化で、尻尾がなくとも身体のバランスを取れるようになったのかもしれませんね。
◇いい湯だな! いい湯だね!
皆さまも、信州の温泉のお湯につかるニホンザルの群れを、テレビなどで一度は見たことがあると思います。
チンパンジー、ゴリラ、オランウータンたちが、温泉につかるなど聞いたことがありませんが、はたして教えたら、群れで仲良く温泉につかるでしょうか?
進化という点では、「類人猿」よりも少し遠い存在のニホンザルですが、冬の温泉につかる彼らの表情は、まるで人間のようですね。
「気持ちがいい…いい湯だな!」という猿たちの気持ちが、眺めている人間たちにも、しっかり伝わってきます。
お湯の中で、はしゃぎまわる子猿の姿は、まるで人間の子供たちといっしょですね。
* * *
ここで、一曲…。
もともとは、1966年(昭和41)にデューク・エイセスが歌った群馬県・草津温泉のご当地ソングでしたが、歌詞を少し変えて、ドリフターズの1967年のデビュー曲のB面に入れたら、大ヒット! ハ~ ビバ ノンノン!
超大ヒット番組「8時だよ、全員集合!」は1969年(昭和44)にスタート!
この曲は、ドリフの後の方向性を示していたのかもしれませんね。
ドリフの仲本工事さん、心よりお悔やみ申し上げます。
昭和の世代は、昭和の あの温かな温泉のような笑いを忘れません。
いい湯ね! いいね!
♪いい湯だな
◇地獄谷 野猿公苑
その信州(長野県)のニホンザルですが、信州の北信地方の志賀高原には、自然の猿たちが、冬になると群れで温泉につかりに来る「地獄谷温泉」があります。
身体を洗いにくるわけではなく、身体を温め、冬を乗り越えるためにやって来ます。
中には更年期障害治療のためにやって来るママ猿も…?
「地獄谷温泉」は、長野県 下高井郡 山ノ内町の「湯田中 渋温泉郷」の一部で、周囲を急峻な山に囲まれた深い谷にあります。
ここには、「地獄谷 野猿公苑」があり、サル専用の露天風呂があります。
「公苑」として整備されたのは1964年(昭和39)ですが、話しを聞いた限りでは、昭和の時代に、この地にある温泉宿「後楽館」にある人間用の温泉に、子猿が勝手に入って遊ぶようになり、その後に群れであらわれるようになったようです。
衛星的に人間といっしょの湯船というわけにはいかず、サル専用の露天風呂が作られたそうです。
湯かげんは、いかが…
一句「温泉や、おさる 飛び込む、お湯の音」。
下記映像は英語解説ですが、地元の方の解説は日本語ですので、重要な内容は日本語で…。
迷子になった子猿が、ママを見っけ!
冬の季節だけ、信州の温泉につかるニホンザルは、たいていメスと子猿です。
母子でつかる映像もたくさん見ますね。
オスは、やはり闘争心が強いので、群れの見張り役になるなど、パワーバランスを重んじていますね。
「おれたちも 入りたい…。真夜中に、こっそり入んべ」。
深夜帰りの、赤い顔のお父さんたちも…。
ヒト科のヒトの方々…、大人のオスザルたちが、人間をしっかり監視していることを、お忘れなく…。
くれぐれも、写真やビデオの撮影には気をつけて!
◇ヒトも進化の途中
ニホンザルたちは、「類人猿」の仲間には入れてくれませんが、人間はもちろん「類人猿」ならではの社会システムに似たものが、ニホンザルの世界にもあるに違いありません。
ひょっとしたら、おサルさんたちの温泉も、人間の温泉や銭湯と同じかもしれませんね。
人間は、子供から大人に成長する中で、自身の周囲にある、理屈では通らない理不尽、不都合、曖昧、妥協、競争、戦い、共生、嫉妬、恐怖、希望、感情、愛情などを身につけていきますが、きっとニホンザルたちも同じでしょう。
子猿たちも、いつか、大人のオス猿たちが、なぜ温泉に入らないかを知ることになるのだろうと思います。
そして、人間も、その猿たちの温泉に手を入れては絶対にいけないのだろうと思います。
この地獄谷の地域の人間たちと猿たちは、微妙なバランスと、何かの信頼でつながっているのだろうと感じます。
大人の猿たちは、きっと知っています。
猿の温泉と人間社会の間にある、超えてはならない境界線を…。
そこにいるのは、飼いならされた動物たちではないことを、人間は忘れてはいけませんね。
進化の先輩たちが、そこにいます。
人類も、生物の進化の途中の生きものだということを忘れてはいけませんね。
◇モンキー・ソング
最後は、おサルさん(モンキー)の洋楽と童謡を少しだけ…。
ジョージ・マイケルさんの1988年(昭和63)の大ヒット曲。
この場合の「モンキー」は、「麻薬」や「麻薬常習者」を意味します。
♪オレとモンキーのどちらを選ぶのさ…。
♪お前の友人のモンキーがやって来る… キィ~!
…ほんとは、あいつのこと嫌いなんだよな!
♪モンキー
* * *
次は「モンキー・ビジネス」の曲。
この「モンキー・ビジネス」とは「インチキ商売」のことです。
歌詞に、インチキ商売がたくさん出てきます。
今の世の中でも、インチキ商売、イカサマ商法、炎上商法、便乗商法、おとり商法、詐欺商法、霊感商法、ぼったくり商法、火のないところに煙を立たせる商法など、「インチキ」が山ほどありますね。
「おサルさん」たちは、決してインチキな動物ではないのですが…。
インチキ、イカサマ、サル真似、サル芝居をするのは人間だけ!
〔 松坂慶子さん 〕
ちょっとだけ脱線…。
ちょうど今、NHKテレビの土曜の夜に、「一橋桐子の犯罪日記」というドラマを放送していますね。
50歳以上の中高年層に、相当に好評のようです。
中高年が、人生の悲哀や正義を感じつつも、笑いながら見ることのできる、ほっこりホームドラマで、私も笑いながら見ています。
こうしたタイプのドラマは、昭和時代には多かったですが、今はかなり減りましたね。
主役の一橋桐子(ひとつばし きりこ)を演じるのは、女優の松坂慶子さん。
ようするに、インチキ商売をして、あえて お縄になり、刑務所に入るのを目指そうとする高齢女性の奮闘記です。
* * *
私が、松坂慶子さんを最初にテレビで拝見したのは、1970(昭和45)~71年放送のドラマ「おくさまは18歳」だったと思います。
私は、その「18歳シリーズ」の後継ドラマ「なんたって18歳」も好きでした。
「18歳シリーズ」は、岡崎友紀さん主演の最高視聴率30%を超える大人気テレビドラマで、当時の岡崎さんの人気ぶりといったら、その後、今現在まで、ここまでの女性アイドルの全国的な人気ぶりはなかった気がします。
おそらく、さまざまな記録を打ち立てていると思います。
「18歳シリーズ」は、岡崎友紀さんが主演で、松坂慶子さんが最大のライバルという役柄で登場します。
ドラマの中では、見た目も、タイプも異なる、バチバチのライバル関係で、松坂さんも大人気になりましたね。
今のテレビ界にもよくある「ラブコメディ・ドラマ」のかたちは、「大映テレビ」が作った、このドラマシリーズで始まったのかもしれません。
音楽でいえば、かわいい系の軽快なポップス調といったところ…。
岡崎友紀さんの、あの江戸っ子チャキチャキの口調と、独特なかわいい仕草、変顔もいとわない表情豊かな演技、それでいてスタイル抜群、歌も上手く、まるで女子高生のような笑顔と雰囲気…。
松坂慶子さんは、少し大人びていながらも、フワッとしたやわらかさを持ち、当時は 今よりも早クチですが、あの独特な口調と大きく見えるアクションは、その当時にすでにありましたね。
今の彼女のフワッとした口調につながるものが、すでにありましたね。
当時の二人のような個性のアイドル系女優や歌手を、その後、あまり見ていないような気がします。
* * *
このシリーズでは、石立鉄男さんはもちろん、富士真奈美さん、うつみ宮土理さん、十勝花子さん、春川ますみさん、藤村有弘さん、田崎潤さん、山田桂子さん、加藤治子さん、横山通乃さん、寺尾聡さん、平泉成さん、浜田光男さん、今 NHK番組で自転車旅をしている火野正平さんも二瓶康一の名で…他にも、単発で相当に有名な俳優さんたちが続々と登場…。
今の時代と比べても 相当に強烈な個性の、おもしろ演技もできる、濃い俳優陣が固めていて、コメディドラマとは思わせない、がっちりとした重みもありましたね。
このドラマには、今は消えてしまった、70年代の東京の各所の風景映像が登場します。
当時、庶民が夢みた、ロマンチックなつくりの家や室内も登場しますね。
そして、70年代は、下記映像のような、かわいい絵柄のドラマのオープニング映像がたくさんありました。
ハーモニーを多く差し込む独特の音楽スタイルも…。
岡崎友紀さんは、俳優業だけでなく、音楽にも強い思い入れを持っておられ、ヒット曲をたくさんお持ちですね。
♪おくさまは18歳
おくさまは18歳
下記映像の背景の建物は、東京・新宿駅西口ですが、左側が小田急百貨店、右側が京王百貨店です。
2022年つい先ごろ、この小田急百貨店は高層ビルへの建て替えのため取り壊しが始まりました。
京王百貨店も近く取り壊し、近未来型の建物に建て替えられます。
なんたって50年以上も経ちましたから…。
♪なんたって18歳
岡崎友紀さんは、多方面で、今も元気にご活躍のようで、うれしい限りです。
今回は松坂さんのお話しですので、岡崎さんのお話しは、また別の機会に…。
* * *
松坂慶子さんといえば、1979年(昭和54)のドラマ「水中花」の主題歌「愛の水中花」で憶えておられる方も多いと思います。
まるで、日本のダイアナ・ロス!
この曲が、大ヒットしないはずがない!
♪愛の水中花(ドラマ「水中花」オープニング)
38年も経ってから、2017年(平成29)に、このメロディが世の中に響きわたりました。
京都府警察が、各種の詐欺の注意喚起のために、こんな替え歌を作ったのです。
歌詞がよくできていて、不謹慎ですが、笑ってしまった!
私の心には、ずっしり響きましたが、京都の被害件数はどうなっている?
「あれも…、これも…、たぶん…、きっと…」は、昭和の楽しい言葉遊び!
この替え歌当時の府警トップの方々は、慶子さんの、あれもファン? これもファン? たぶんファン? きっとファン! これが京都のやり方よ♪
♪サギの流行歌
80年代の多くの食堂にあった「愛の冷やし中華」も、もう一度 食べたい!
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天乃みそ汁の「歴音 fun」としては、このテレビCMを登場させないわけにはいきません!
私自身は、企業アマノとは関係ありません。
アマノCM
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松坂さんが出演され、ヒットした映画やテレビドラマは、あまりにも膨大な本数で、到底 紹介仕切れません。
彼女が出演すると、ヒットする確立が相当に上がる気がしますね。
NHKの大河ドラマだけでも9本、朝ドラだけでも4本もあります。
大河でも、朝ドラでも、強烈な印象を残してきた松坂さんでしたね。
NHKの「一橋桐子の犯罪日記」PR映像
NHKでは、各回のダイジェスト映像などを専用サイトで紹介しています。
結構、面白い!
結婚詐欺の必殺技「ぶりっ子 さしすせそ」炸裂!
第三話のダイジェスト
謎の「ツンデレ男」…「三代目 J SOUL BROTHERS」の岩田剛典(いわた たかのり)さん!
これは、俳優としても人気者になりそう!
久遠樹の「叱咤激励日記」
「えっ!刑事って、あの太陽に吠える…」…こんな台詞、昭和オヤジの私は大好きです!
この「桐子」をシリーズ化しては…。
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70年代から今現在まで、テレビドラマや映画の世界で、ここまで長く第一線で活躍されるとは想像できませんでしたが、松坂さんも、岡崎さんも、あの他にはない独特の個性と口調、かわいらしさを失わない仕草が、時代を超えて、多くの人に愛されないはずがないと感じます。
松坂慶子さんと岡崎友紀さんには、70年代のライバル対決のようなシーンを、もう一度、ドラマの中で見せてほしいものです。
もうしばらく年月はありますが、二人による「おくさまは81歳」、「なんたって81歳」を、ぜひ見てみたい!
NHKさん、大映テレビさん…、ぜひぜひ NHK創立81周年の時に!
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さて、本線の「モンキー・ソング」に戻ります。
ビートルズや、キンクスなども歌っていますが、ここは1968年(昭和43)のエルヴィス・プレスリーで…。
彼のレコード会社は、あまり宣伝に乗り気でなかったよう… なぜ? 便乗?
日本にも、よく似た楽曲がたくさん…。
♪トゥ・マッチ・モンキー・ビジネス
下記は、日本の「横浜」が歌詞に登場する、チャック・ベリーの原曲歌唱…。
下記映像では、インチキではなく、本物のストーンズのキース・リチャーズが共演!
この曲は1956年(昭和31)の、チャックの作詞作曲!
♪トゥ・マッチ・モンキー・ビジネス
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次は、ローリング・ストーンズの1969年(昭和44)の曲。
(私の概要意訳・一部だけ)
オレは、ノミに噛まれた、へたれのサル!
オレは、冷えきった、イタリアのピザ!
噛まれるは…、振り回されるは…。
オレは、ちっぽけなモンキーマン!
あんたは、モンキーウーマンだろ?
イノシシの野郎、オレを噛んだ上に、牙を突き刺しやがって…。
ウッキ~!
ヤツの牙を、へし折ってやったぜ!
オレは、割れた卵が入っている買い物袋ってとこ…。
オレのベッドは、いっつも汚ねぇのなんの!
オレたち(ストーンズ)は、神様では到底ないし、悪魔ほどワルにはならねぇよ。
そうさ、ブルースを演るのが大好きな連中さ!
オレは、モンキーマンさ!
まあ、そんな歌詞内容… さすが「ネコ科ヒョウ属」のミック・ジャガー!
そこらへんの モンキーじゃない!
モンキーマンと モンキーウーマンの熱唱!
♪モンキーマン
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オーストラリアのシンガー「トーンズ・アンド・アイ」の2019年のヒット曲「ダンス・モンキー」にあわせて踊る、ダンサーによるダンス映像です。
(私の概要意訳・一部だけ)
あたい(私)の人生… サルみたいに踊りっぱなしなのよ。
あんた、あたいに、まだ踊れっていうの。
オレのために踊ってくれなんて…、あんたみたいな身勝手な男、見たことないわよ。
でも、もう一回だけよ。
すべて、もう一回ね。
♪ダンス・モンキー
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最後は、1939年(昭和14)の、日本のこの童謡で…。
♪お猿のかごや
作詞者の山上武夫(やまがみ たけお)も、作曲者の海沼 実(かいぬま みのる)も、信州(長野県)の北信地方である、今の長野市松代の出身です。
この内容については、次回コラムで、信州の長野盆地生まれの膨大な数の童謡や唱歌のお話しの時に、あらためて書きます。
もちろん、江戸時代の大ヒット商品「小田原提灯(おだわら ぢょうちん)」のお話しも。
神奈川県の小田原の方には申し訳ありませんが、この童謡の歌詞は、サルやキツネだらけ、そして姨捨山(おばすてやま)のある信州の北信地方のお話しです。
北信地方に、なぜこれほどの数の、童謡作家と童謡楽曲、唱歌が生まれてきたのか…?
これは、何かある…。
おサルさんの進化よりも謎だッキィ~!
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2022.10.23 天乃みそ汁
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