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※管理人Shinは知財保護において個人による「特許」のようなものを好まず、「全公開」を旨とします。
MEMSマイク単一指向性化 オフマイク用の本命はこれだ !
前編で Western Electric(ALTEC)のリボンマイク 639A/Bの例に学んだ方式でMEMSマイク単一指向性化を構築しました。
結果は音質・指向特性ともきわめて良好につき、MEMSマイクにおける単一指向性「オフマイク適正の本命」という感触を得ました。
プロットは荒いですが、「単一指向性」として理想的なポーラパターンが見えます。
この平均値で補完して行くとキレイな単一指向性パターンであることが一層見えてきます。
(下表)
背面イナータンス調整中のポーラパターンです)
見た目には、これはこれでも良さそうですが、音質が伴いません。「指向性」調整と「音質」調整は一体のモノです。
マイクの音はその生命力で判断する
というのも、筆者はマイクの向き不向き、適正を常に探っているなかで、初めて手にしたマイクは「マイボイス・リアルタイムモニター」だけでそのグレードも、適性もわかります。
すなわちマイクの特徴・全体像を見るものさしとして、また細部の表情を見る「評価法」として万能であり、測定器による結果も参考にそれは決定されます。
測定器による結果、それは判断基準の一つではあってもそれ以上の何モノでもなく、それ以上は邪魔であるツールです。
なぜならば、それは人の聴覚・感性・美学とは何の関係もない無色透明な数字ファクターであることが100年かけて実証されています。
物理特性至上主義からの脱却
この点で日本のマイクロホンは1960年代から80年代までの「高度経済成長」時代に、当初の「欧米に追いつけ・追い越せ」では測定器による物理特性を優先した評価法が日本人の几帳面な気質にも合っておりBTS等級を重しにJISも後押ししてその評価スケールが国策的にもちいられた。
まもなくおとずれた音楽文化の多様化のなかで、後半は放送をはじめとする「音響現場」ではSM58などBTS3級相当の米国製ダメマイクとされたりした。
それでも脅迫的な「フラットこそが良いマイク」とした「理屈だけの教科書」の物理特性優先指向との遊離した現実との矛盾に日々さらされながら、職業的に、経験的に音楽に裏打ちされた「官能評価」の正しさを身に着けていった。
「良いマイクは測定結果で判断される」とした日本製マイクは「音はとれても音楽はとれない」と世界中から揶揄されてやがて世界に通用しない、日本だけのガラパゴス的な欠陥指向に自明の理を認識せざるを得ず、2001年、「BTS規格」・・・放送技術規格が廃止され、それを補完していたJIS C5502等級もほどなく廃止、物理特性至上主義バブルもまた崩壊した。
すなわち、「物理特性は評価基準の一部でしかない」こと、これをNHKだけでなくマイク産業全体で共有するようになりました。
ときすでに遅く、日本製マイクはみずから選んだ衰退の道に吸い込まれていった。
筆者の場合
マイクとの対話のなかで、「音の生命力」を見出すことに力を注ぎました。そうして、古くはクラシックプロのCM-5改造から始めたその対話は2009~2010年「ファンタム式パナ改マイク」の開発へと運命的に突き動かされ、自作マイクにファンタム動作を持ち込んで、プラグインパワー方式を葬っていった。
この普及のキモは最小部品でECMをFETによる高SNで音の良いファンタム動作が実現する回路を実験回路のスタンダードとして、「Shinさん回路」と呼ばれるようになるまで一般化に向けた。
2016年はあの1603 :Amazonの超激安コンデンサマイクが高級機に変身する改造(第1編)を発表、2300円のマイクが世界に冠たるマイクと平然と渡り合ったことで、音のプロやメーカーを含め全世界をおどろかせ、すべてのマイクメーカーの開発製品に影響を与えました。
このブログには25,000/Dayアクセスがしばらく集中したり、このときの爆発的なブームは現在もその長い余韻を残しています。
世界最高峰マイクとの収音比較テストの風景(青いマイクが2300円のBM-800改造品)
(於:2016年3月4日 立川市)
そしてRCA77D(X)のリボン張替・調整、キッチンホイルによるAKG C-451E(B)のダイアフラム張替など、常識では考えられない方法で実現していきました。
2019年秋、MEMSマイク全メーカー全品種の調査をおこなった。そのなかで最後まで残った Invensense社の数種類のMEMSマイクとの運命的出会いを果たしました。
これまで単なる音センサーでしかなかったMEMSマイク、その一部の品種にマイクロホンデバイスとしての高度な能力と生命力を発見できた為、「一般マイク」の世界にはじめて持ち込みました。
このとき出会ったICS-40730はブッチギリの性能を目の前で披露してくれた。
2022年InfineonのIM73A135V01があらたに誕生し、その発売タイミングで発見・入手、MEMSマイクの2巨塔として業務・趣味を含めた音楽録音の分野でヨーロッパの高級マイクと同列にしてホール衛星部に乗るようになりました。
これまでの常識ではメーカーを含め、そんなことを誰が想像していただろうか。
肝心なのはこれら、どれをとっても、その可能性発見と最終評価・判断は筆者の「マイボイス・リアルタイムモニター」によります。
マイクロホンとの対話により、この「音の生命力」を見出してやることは、マイク開発者のもっとも重要な仕事であろうと考えております。
読者、埼玉県のY氏によるPlobeⅡLz 4本でPhilips方式録音風景(東京芸術劇場ホールにて)
前置きが長くなりました、ここまでたどり着いた背景です。
すべてオリジナルですから人マネや単なる思いつきではありません(引用がある場合は当然その旨記載します)
Dual MEMS単一指向性マイク試作
2403:MEMSマイク単一指向性化(オフマイク適正 No2)の筐体をそのまま使うことにした。
そして出来上がった
1つのマイクの中に「双指向性」と「無指向性」のMEMSマイクを仕込んだ複合マイクです。
穴の大きさと脱脂綿でのイナータンス制御によるベクトル合成で「単一指向性」パターンを作り出しています。
(調整前)ICS-40730を2個使用 左側には背面に1mmの速度穴をあけた「双指向性」MEMSマイクとなり、右側は無改造ですから元々の「無指向性」マイク。
(最終的な単一指向性ポーラパターン)
回路図
レベル切替は「5」が基準であり、「6」は-6dB PAD入りというわけでもない。
したがって「5」は出力レベルが6dB高く、出力インピーダンスも約50%低い、すなわち「5」側で使うべきマイクロホンです。
以上、すべて目標を達成しました。
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おしらせ
MEMSマイク使用、話題のProbeⅡ Probe-T L-730mems など、読者のみなさまからのご注文により優秀機種の手づくり製作・領布を承っておりますのでお問い合わせください
またFetⅡなど純正WM-61Aのファンタム式パナ改マイクも継続中
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