2403: MEMSマイク単一指向性化(オフマイク適正 No2) | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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管理人Shinは知財保護において個人による「特許」のようなものを好まず、「全公開」を旨とします。

 

 

前編(2402)からの続き

 

 

MEMSマイク単一指向性化は第ニ世代へ

 

 

 

  MEMSマイク単一指向性化(オフマイク適正)No2

(Dual MEMS Mic によるワイドカーディオイドマイク試作)

 

オフマイク適正をめざす今回はDual MEMSによる「仮想音圧傾度」(仮想圧力勾配)型で登場することになりました。

 

初号機、2号機が真正の「音圧傾度(圧力勾配)」型であったのに対し、今回の試作品は2つの無指向性MEMSマイクによる等価的なシミュレーションをおこない低~中域の消滅・減衰を防止しました。

 

外観は小さいながらも「サイドアドレス型」として、外筐はTOMOCAのL型XLRコネクタとSwtchcraftのXLRコネクタをニコイチ合体してデザインしました。

 

 

マイクロホンを自作するとき、2番めに大切なのは「端正、綺麗」といった手作り感の排除された姿です。

 

外観は作者からのメッセージです、手製なので・・・」はすべての努力をナシにする甘えの言い訳。

 

心は形を求め、形は心を進める 」は仏教の名言。

姿は音に出る、だからこそ美しく作るんです、「完全」めざして。

 

 


筆者はかつてビッグバンドJAZZ専門PAでした。

そのころです、17楽器にあてる20本以上のマイクは1本1本、祈るようにセッティングしたときと、同一位置に機械的に置いたときの音の差は一体なんだ?当事者はおろか歴然としてお客様に分かる、なぜだ・・・PAマンの心のもようは音に出る、オカルトではなく私の実体験です。

 

音響家のセオリーとして「マイクは念じて置け」と古くからいわれてきたように、自作マイクを丁寧に作るのはこれと同様、「音と向き合う礼儀・セオリー」です。

 

       

 

 

 

  MEMSマイクによるワイドカーディオイド型コンデンサマイク(試作)

 

 

 

(回路図)

アクティブデバイス不使用

 

2つのMEMSマイク間の前後距離「ℓ」は代表値であり、マネる必要はナシ。この調整で周波数対指向性のファクター及び音色が決まる。極端には「0mm」でも成り立ち、30mm、50mmでもいい。どう選ぶかは、マイク作りのセンスとなる。

 

 

 

 

(ファンタム動作回路・トランス送出部)

 

 

 

(外観構造)

1.インシュレータ部の材質、シリコンゴムは接着困難な材料。それでも接着しなければならないボディ~インシュレータ間はその常識を破って「セメダインPPX」使用で十分な接着強度を得た。

 

 

2.マイクハウジングとリアキャップの嵌合部分の塗装はできるだけハガすことがEMC上のキモとなります。

同、絶縁物を挟んだ2つの金属ボディに分かれた場合、EMC上の重大禁忌事項が発生します。プロセスは過去から何度も繰り返しになるので回避法の説明は避け、写真からもその仕掛けを外しました。

 

 

このブログ(Since 2009)から参考事項を拾っていただき、「なにをどうしたらよいか?」をご自身で解決してください。

 

チューリップ どんなに低ノイズ回路であれEMC概念を無視すれば、手でさわるとハムったり、その反対現象を起こします、3点吊りではお構いなくノイズまみれになります。マイク作りとEMCは切っても切れない重要なアナログ・プロセスです。

 

チューリップ マイクロホンは、その一番優れた部分に準ずることはなく、一番ダメな部分でその性能が決まります。

 

 

 

3.単一指向性マイクでは「タッチノイズ」「摺動ノイズ」が無指向性比10~15dB不利になる点をインシュレータで救済しました。

この考え方とは正反対にカプセルを「高質量一体化」することによって「運動支点」の強化(メカニカルアース)により防ぐ方法との2つがあります。

単一指向性である限りどちらか適切な選択で救済するのが指向性マイク設計のイロハ、マイクは「機械的要素」の変換器です。

 

同じことを電子回路で解決させようとするならば、音はすっかり汚れ、マイクの本質から外れてしまいます。

 

 

 

(MEMSマイク実装模様)

 

インシュレータ部内部には脱脂綿を詰めて、ボディ側の音響空間(空気室)とは絶妙な隔離で音作りします。

 

 

 

1KHZのポーラパターンを見る限り「ワイドカーディオイド」型としては申し分ありません。

反射の多い室内測定、1KHZデータである事を考慮されたい。

 

 

PAテストをおこない、オンマイクでもイケることを確認した。

PAではShure 55SHによく似た指向性とハウリングマージンが確認できました。ポーラパターンは実に良く似ていますね。

 

単一指向性である「55SH」比、1KHZで見るかぎり背面のキレは本機のほうが10dB以上高く、ワイド単一指向性の「DPA 4015」比ではこちらのほうはキレ過ぎるようです。

 

チューリップMEMSマイクでの単一指向性化を開発している今は、単一指向性化の「限界」を探って、あらゆる条件で実験試作してまいります。

 

 

Shure 55SH(単一指向性)の例

独特な形状で有名なダイナミックマイク 1939年にModel 55として登場したのが始まり

 

 

Shureのこのマイクは「単一指向性」としてメーカー発表されてきましたが、この特性はあきらかに「ワイドカーディオイド」(ワイド単一指向性)です。

 

 

 

DPA 4015(ワイドカーディオイド)の例

 

 

 

 

マイクロホン使用例

 

マイクホルダは17~19mmモノが適合、

AKG C-451用「SA-60」はジャストフィットする。

 

 

 

ピアノなど大きな楽器によく適合すると思います。


 

 

 

 

 

「ミニサイドアドレスマイク」として(トーク、ボーカルに)

 

これで「オフマイク適正」のMEMS単一指向性マイクのスタート点に立てたことはうれしく思います。

 

 

「天国」は地獄の裏庭でその入口が発見できる事を信じて・・・

 

 

つづく

 

 

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