2402 :MEMSマイク単一指向性化(オフマイク適正 No1) | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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  MEMSマイク単一指向性化(オフマイク適正)No1

「オンマイク用マイク」で実現したMEMS型単一指向性マイクはその先にまいります。

 

指向性マイク特有の現象(近接効果)によって成り立つ「オンマイク用単一指向性マイク」とそれ(近接効果」に依拠しない単一指向性マイクとは音響設計が異なる。

 

両者の決定的な違いは「マクロレンズ」と「一般レンズ」の違いに良く似ている。

至近距離音源のディテール表現を得意とするマイクから、次は全距離音源を対象にしたマイクへとMEMS型単一指向性マイクは次のステップに進みます。

 

 

 

 

  まずICS-40800方式(極悪イコライザー方式)を切り捨てる事から

TDK Invensense」「TDK」ではない。

むしろ米国勢「Invensense」そのものと見る。

そして日の丸「TDK」との間には強い確執があるようだ。

 

2019年 筆者によるICS-40730の出力は「逆相」である、という指摘に対し両者が反応し、ほどなく「TDK Invensense」としてデータシートの訂正がおこなわれたが、invensenseによる従来からのデータシートの扱いは「TDKの」側でも一貫とせずHPメンテナンスのたびにまた顔を出し、筆者は都度、TDKに指摘続けざるを得なかった。

一方、InvensenseのHPでは従来のまま微動だにせず、昨年まで正・誤2つのデータシートがWeb上で併存していた経緯がある。

 

それらのリンクを使っている販社もあおりを受け、いまだDigikeyなどは「404 Not Found」とリンク切れのままです。

https://invensense.tdk.com/wp-content/uploads/2018/12/DS-000139-ICS-40730-v1.0.pdf?ref_disty=digikey

 

「Analog devises」社時代から引き継いでいる「Invensense」のテクノロジーは豊かそのもの。「TDK」はそれが欲しくて2017年、時間をかけながら買収はしたものの、Invensense がそうそう服従するはずもなく、後発である「TDK」とは当初の確執のままだ。さらに日・米に別居している事も大きな原因に思える。

 

今ごろになってこんな未完成な製品の発売に至った原因は、当初TDKとして「単一指向性MEMSマイク」開発に手をつけ、プレス発表したまではよかったが、やはり手に負えずおそらくInvensenseに対して、助けを求めるべく開発の無理強い圧力があったのだろうと推察しています。

 

しかし、Invensenseとしても不本意な開発などやりたくない、そこで「ICS-40740」をベースに両指向性化、そこから先の指向性作りはユーザーまかせ、中・低域ヌケは電気的イコライザーを使ってフラットにすればいい、という邪道に走らざるを得なかったのだろう。

サウンドセンサーならそれでもいいが、それ以上にはなり得ない。

 

まさかICS-40800を使った「単一指向性 単体マイクロホン」を本気で作ろうとする人はいないと思うが、もはやこんなモノは「マイクロホン」ではないことを伝えたい。

 

老婆心ながら「Invensense」は一刻も早くTDKから離れるべきだと思います。

 

ドイツ勢「Infineon」社ではいまだに単一指向性MEMSマイクの情報はない。

同社は「機械的音響回路設計」にきわめて長けている。

「マイクロホン」たるベースがしっかりしているのでかえって手を出せないなら、その選択は正しく心から尊敬します。

 

 

 

 

有効な方法をどん欲に探る

 

筆者の単一指向性型MEMSマイク第1号、2号ではMEMSの「小ささ」が理由で他の方式のマイクでは考えられない無理を強いて「オンマイク適正」の単一指向性を実現してきた。

しかしその延長では「オフマイク適正」は得られないことは容易に理解される。

 

 「オンマイク適正・オフマイク適正」とは・・・筆者の造語です。

マイクロホンごとに存在する基本的なファクターとして使用時に意識的に選択されています。

例)SM58、U87(オンマイク適正) DPA 4006A、SCHOEPS CMC (オフマイク適正)

 

このように一般的にはオンマイクには大口径、オフマイクには小口径が向いていますが、果たしてMEMSマイクの実態はまだ見えてきていません。

 

 

 

 

チューリップ 「仮想音圧傾度型」(仮称)にその道を見出した。

「無指向性型」MEMSマイクだけで設計、完成できるのです。

 

音圧型(無指向性)のMEMSマイクの構造にはいっさい手を加えない方法で「速度成分」を与えることができるならば、指向性マイクの基本理論のみで成り立つ、そんな「単一指向性」ならば何の言い訳もなくホンモノとなり得る。

 

 

 

 

正月にほろ酔い気分で実験してみた

プロットが荒いですが全体像は見え、ワイドカーディオイド特有のポーラパターンを見せてくれた。イケル・・・

デュアルMems Mic によるワイドカーディオイド実験

(背面には反射も見え、室内簡易測定の限界に留意されたい)

 

 

 

 

ワイドカーディオイド(ワイド単一指向性)とは

 

(ワイドカーディオイド型マイクロホン)

180度感度(背面感度)が0度(正面)比で、マイナス数dBからマイナス10dB程度の指向性マイク形式を呼ぶ。

(ただし無指向性マイクの形状由来の指向特性は除く)

 

「単一指向性」でありながら指向性がゆるい。

一般的には低域では無指向性になり、中域ではゆるい単一指向性になり、高域ではハイパー単一指向性のようになるが、理想形は全域で-10dB程度の背面特性を示すもの。

 

3点吊り使用した場合、単一指向性では薄くなりがちなホールの響きを素直に収音する。またオンマイクでもピアノなど「サイズの大きな音源」で良い結果を得やすい。

 

しかし専門書でも無指向性、単一指向性、両指向性、ハイパーカーディオイド、狭角度指向性型はあっても「ワイドカーディオイド」・・・(広角度単一指向性)の記述のあるものは少ない。

 

現実製品としてはヨーロッパ製品中心に下記の機種がある。(国産ではSONYにわずか1種類ある)フォーリーフ(秋月)のカプセルも見逃せない。


 

(ワイドカーディオイド型の実製品)

DPA:4013、DPA 4015、 16、4026、27、28、2015

SCHOEPS:  MK-21、CCM 21

ノイマン: KM 143

Microtech Gefell (旧東ドイツ ノイマン): M330

ゼンハイザー: MKH 8090

SONY:DWM-03N(デジタルワイアレス)

 

(切替式、マルチパターン方式)

M149 AKG 414はじめ多くの可変指向性マイクでワイド単一指向性を含むパターンを持つ。

 

(コンデンサマイクカプセル)

SONY: CU-F32

秋月のECMカプセル フォーリーフ :OEB-1451  

 

 

上記の通り国内メーカーではこの形式はSONYの1機種(ワイアレス)およびフォーリーフのカプセル以外まったく見あたらないのは不思議かつ残念、やはりこの分野での立ち遅れを感ずる。

 

 

 

デュアルカプセル方式の利点

 

「音圧型」マイク(無指向性)を「音圧傾度型 単一指向性」に進化させる際、速度穴による低域の低下が宿命となる。

 

これに対し2つの音圧型マイク(デュアルカプセル)を使って、両者間の距離/位相差、ベクトルの合成による指向性を形成する方式が考えられ、低域低下はほぼなく、それも調整次第となる。

現実製品では存在しない。

 

 

(デュアルカプセルによる仮想音圧傾度型・・・仮称)

ノンイコライジングまたは僅かな補正でフラットな周波数特性と好ましい音質となるような調整するだけで適切な指向性が得られる方式。こちらの方が低域を犠牲にすることなくはるかに音作りしやすい。

 

さらに指向性を鋭くするためには、ある一定距離離してもう一つのマイクブロックの構成する「二次音圧傾度型」(狭角度指向性)・・・ガンマイクが実現可能である。

 

 

 

他方式のマイクロホンではあたりまえのことでもMEMSマイクでは許されない事がある。

それは2つ以上のMEMSマイクを組み合わせるとき決してやってはいけない事、それは「単純にパラにすると破壊する」ということです。

それもそうだろう、独立した2つのオペアンプの出力同士を短絡するわけですから当然です。

 

 

 

 

 

 

具体的なカタチにしたい・・・

 

過去にはECMで「FetⅡuw」で成功している実績がある。

カプセル形状由来の問題もありそうだ。

 

 

 

過去記事では2015年のMEMS版ECM版と2021年の記事ほかがある、ECMでは成功しているが、MEMSではいま一つであり、なにかがある。

 

 


 

筆者は9年前からゴチャゴチャやっていた。

 

 

 

過去MEMSマイクの決して実らなかった結果を受けて今回こそ実りあるものにしたい。

形状は11年前のこれなんか捨てがたい。

 
 

イケそうな気がする・・・・・

 

 

No.2に続く

 

 

 

 

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