製作難易度 ★★★★★
フレキシブルアームのコンデンサマイクは「講演用」またはクリップオンマイクでおなじみですが、これらは「軸方向単一指向性」と呼ばれるマイクです。
Flex-Lz は「サイドアドレス」型のフレキシブル、というやや異なる万能用途のマイクロホン。
ギター・ピアノ・ドラムはOHからHHまでいける、さらにクラシクヴォーカルをこなし、90度の角度でマイク部を重ね合わせれば噂の名機と同じ構成のX-Yステレオ・フリーバウンダリーマイクになる。
Flex‐Lz マイクロホン マイク裏表
マイク部アップ X-Yステレオアレンジ
「縦のものを横」にして初めて分かる世界だってある。
返しだってコロガシより横あてがいい場合も、そんな選択肢があるだけでも素晴らしいじゃないか、どうせならカッコよくセッティングしたいものだ。
マイク筒に対して垂直方向の単一指向性はノイマンのKM‐56やKM‐88に見られます、姿カタチは違うが、そんな使い方も可能なマイクロホンです。
使用カプセルはMADE IN 東北の名品、フォーリーフ社 UEB-5361 ですから10KHZ付近のプレゼンスピークが美味しくPAで底力を見せてくれる。
C-451コンパチ音であるにも関わらずマイク本体は極めて小さく仕上がりました。
【外観材料】
①マイク部:TOMOCA 3-12LN L型XLRコネクタ(黒色)
このように電極・スリーブ部を取り去った。
意外なものが材料になるのがShinさんマイクですよ。
②フレキシブルシャフト:某アキバ・グッズ店のフレキシブルマグネット・・・180円でした。(店の名前・・・ハテ、「女王さまと私」だったかな?・・・「Rmobile」です。
残4本あった全部を買いました。 (2013.3.15再度確認、10本以上あります。)
黒色でφ6.5、フレキ部は50cmあり、先端にネオジム・マグネットが付いている。
(その他100円ショップ・100円ローソンにあるミニ三脚、USB-LEDライトなどにはφ5程度で同様のフレキシブルシャフトが採用されている)、そんなところでアキバを含めて探してみてください。
③:銅メッシュ 少々、丸枠にカタチを作りながら押し込んでいくだけ。
④XLRコネクタ部:Amphenol AC3MMBのブッシング部+ノイトリックNC3-MXBコネクタを組み合わせた。
【構造の一体化】
①マイク部
1.フレキシブルシャフト 2.前側筐体 3.白色プラスチックストッパ
以上3材料をこの部分で接着し、構造を一体化する。
「セメダインスーパーX2クリア」という超多用途接着剤を限定使用する。
フレキシャフトの中に入らないように十分注意しながら接着剤を流し込む。
(手に付いたり余分な箇所に付着した場合は早いうちにアルコールで拭き落とす)
②XLRコネクタ・ブッシング部
「セメダインスーパーX2クリア」を使用してフレキシブルシャフトを接着固定する。」
(付かないはずの材料が見事に接着できるのは実にありがたい)
【!シールド及びグラウンディング】
!そこまでやるか・・・・やるんです、誘導ハムが必ず出るから。
そう、アナログは 「原理原則」で成り立っているので従うだけだ。
甘く見れば失敗確率100%です
これを無視した「フレキシブルマイク」は海外名門A社にも失敗作があります。
(今回、試しにフレキシブルシャフトのアース線を外してみた・・・マイク部に手を触れただけで「ブーン」、これは海外名門A社の有名機種の誤りフレキシブル構造をシミュレーションしたのだ)・・・奇しくもA社製品の模造バチモノをこしらえた台湾メーカーの製品も「ブーン」まで同じだ。
◎存在する金属部すべてを電気的に一体化・接地することがカナメだ。
・銅メッシュの一部を2箇所のネジ止め部に共締めして接地する。
・銅メッシュから短い線を使用してフレキシブルシャフトに半田付けして接地する。
※一緒に防振構造の様子も見えますね。
銅のフロントグリルは、この場合「ボンドG-17」でワクに接着。
【ADJ】
裏蓋とカプセルとの間には薄スポンジ(モルトプレン)を入れ、筐体内の固有周波数での「鳴き」=「共鳴」を抑制させた。(Qダンプ)
これにより指向性と音質の改善を図った。
このスポンジによるQダンプは「諸刃の剣」、大幅に音質と指向性に影響を及ぼす。毛糸クズをフワッと挟む程度でも案外良い結果を得ている、決して「速度成分=空気の流れ」を阻害しない範囲で調整しなければならない。
このカプセルは「吹かれ」に弱い特徴があるが適切なウィンドスクリーンで大きく改善できる。
【回路】
使用回路はLZ-Ⅱなどとほぼ同一回路使用(ECMのソース抵抗値だけが異なる)
※フレキシブルシャフトは両端でアース接続し、「シールド線」は一切使っていません」
注意点:ShinさんのLZタイプのマイクロホンはバイポーラTR構成です。特に2本ペア構成する場合は使用TR(2SA970)=計4本のhfeを同一にする必要があります。
秋月で購入した(GR)で20本から選別して同一hfeの3~4本取れる確率です。
今回のhfeは「323」で揃えましたが、+-「2」程度許容すれば倍の本数がとれるでしょう。この選択はhfe測定機能付きデジタルテスターで行うのが良いでしょう。
【「Flex-Lz」仕様】
指向性 :垂直方向単一指向性
使用カプセル :フォーリーフ社 UEB-5361 (ソースフォロワ)
ファンタム電圧 :18V~48V
出力インピーダンス :58Ω
max-SPL :130dB/A(THD 0.4~1%)
重量 :95g
全長 :250mm(フレキシブルシャフト170mm、露出部110mm)
スタンド受け部径 :φ19mm
≪使用結果≫
◎これは使い勝手の良いマイクですね。
3月31日ギターアンサンブルのライブに「ギタロン=ウッド・ベースと酷似
した音色の大型ギター」
および針先で弾く高音域専用の「チェンバロギター」に使用しました。いずれの出音も満足なもので好評いただいた。
(お知らせ)
fetⅡ、fetⅡi、measurement-fetⅡ・LZ-Ⅱ・LZGなど、ご注文により人気機種の製作を承っておりますのでお問い合わせください Shin
モノ作り日本もっと元気出せ! (Shin)
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