2104 :MEMSマイク 単一指向性への進化 その2(超小型ラベリアマイクの試作) | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

※ないものねだりこそ開発の原点だ※ 
※すべてのマイクロホンは発展途上の音響デバイスだ※
※百の議論より一つの事実※







© 2009-2024 Shin's PA workshop. All rights reserved.

【ご注意】

★情報はどんどん発信していきます。ご覧いただき、アレンジも良し、パクリもOKです。

ただし記事から得た情報の利用公開については出典・引用をあきらかに、管理人の指示に従ってください。

 

前編では「無指向性」である2個のMemsマイクで「BETA58」の外筐を使った単一指向性マイクを実現させました、これにより「位相反転させた2個の無指向性によるいう単一指向性方式が実証されました。

 

今回はさらに進めて「単一指向性超小型ラベリアマイク」を実現、この方式がゆるぎないものであることが証明できました。

 

 

クローバーあのファンタム式パナ改マイク(FetⅡ)のような傑作マイクめざして。

 SINSE 2010年無指向性のベストヒットFetⅡ の単一指向性版としての地位を求めてブラッシュアップしていく所存です。

 

クローバー これは筆者(Shin)の夢の一過程です

私たちは普通じゃないことをやろうとする場合、あたりまえの手法では成し遂げられません。

新しい技術的発想はつねに「非常識」であることを歴史から学ぶことができます。

 

やればできた!それがこのマイクロホンです。

 

《疑似音圧傾度型 単一指向性 超小型ラベリアマイク》

 

   かつてWM-65aなど「ナローレンジな接話用」指向性ECMがありました。

 しかし、外径6Φという小ささで、ここまでワイドレンジな単一指向性マイクロホンはいまでも他に例はないと思います。

 

 前回の記事で「2個の無指向性Mems」を使って、まだ不足なことだらけですが夢を果たせる見通しがつき、いよいよMemsマイクによる超小型単一指向性マイクへの道が開けたと言って良いでしょう。

 

 まずは筐体をどうするか・・・

「速度成分取り込み穴」は柔らかい金属しか手加工は無理、真鍮やアルミならOKだけど仕上がりの風合いが良くない。

しからば「ないものは作る」というShinさん流ハンドメイドスピリットが炸裂しました。

 

 最超小型化はMicro Leaf 」型で果たしているので、一歩進めて超小型「単一指向性」化と同時に、真鍮パイプにすずメッキを施すことを初挑戦してみました。

見た目の風合いはニッケルメッキと遜色ないようです、これで筐体の問題は解決しました。

(メッキのレシピは別の機会にご紹介します、実に簡単です)

 

 ≪すずメッキ仕上がり写真≫

2個のMemsマイクによる単一指向性化は実証済みなので、気は楽ですが、問題はケーブルです。

最低限「3芯シールドケーブル」が必要、また差動出力を考えると4芯シールドになる。

短く、内径5.6φの細いパイプの中で2個のMemsマイクに対する4線シールド線の無謀な結線はあきらめ、3線シールド線で死守した。

結果Mogami 2790(3芯シールド、外径2.45φ)を探し採用しました。

 

 

 

 (マイクヘッド実装図)

よく見ていただくと細部に渡りさまざまノウハウで構成されていることがおわかりいただけると思います。

 

(使用した応用技術)

①リフロー用Memsマイクの手半田付け温度管理、局所半田付け温度管理。

②金属メッシュ絞り加工、錫メッキ加工

③適正材料選択(真鍮パイプ、ステンレスメッシュ、熱収縮チューブ、3芯シールドケーブル、音響不織布)

マイボイス・リアルタイムモニターによる音響判断、逆相音聞き分け判断。

 

 

(回路図)

回路的には前回と変わらず、FetⅡなどで定評のある「ファンタム式パナ改マイク」と同一です。

この回路、簡単なのでつい使ってしまいますが、遠距離向きではありません。

5~60m以上、500m未満 延長する場合は「LZ-Ⅱb」の回路に置き換えてください。

 

Memsを差動で利用することが望ましいですが、小さなマイクハウジングの中で5芯シールド線・6本のリード線の結線は不可能であり、Memsの片出力、3線シールド線(結線4本)で済むアンバランス出力とした。

仮に差動出力(平衡出力)の場合は6dBレベルアップします。

 

 

 

 

(音決め)

これこそが今回の命です。

バラックセットで「音質・指向性の変化」を十分身につけてからこれ以降のまとめをおこないました。

右手に持っているのは「Mems 2」です、この写真ではフロントとおなじICS-40730を使用しましたが、最終的にサイズの小さいICS-40740に替えて調整しました。

前後させて最適場所を探りあてますが、Mems1のすぐ後ろで良い特性が得られました。

 「Mems 1」との距離「ℓ」をの「Mems 2」との距離と両者のレベル関係で指向性が決まります。

 

「ℓ」をキープしながら後ろ側の減衰度を「マイボイス・リアルタイムモニター」で判断して総合的な「単一指向性能」を探って決めた。

J1に抵抗を入れ、短絡~10kΩ程度まで試した。大きくすると低域が増えるが指向性は薄くなる。

したがって音質と指向性との折り合い点を見つける。

筆者は結局「短絡」で手を打った。

 

チューリップ赤(探査中、音質および指向性、位相特性を満足できる位置、条件は「マイボイス・リアルタイムモニター」で探り当てなければならない)

 

 この方法は個人の製作では大がかりな測定設備を使うこともなくほぼすべてをマイクとヘッドホンにより耳に頼るという評価方法であり、経験上でも非常に信頼できることをあらためて申し上げておきます。

 

「マイボイス・リアルタイムモニター」を懐疑的に思われても今回の結果だけでなく、古くはFetⅡ最近のProbeⅡを見れば、それが答えです。

 

Memsマイク使用の単一指向性マイクとしては、まだスタート地点です。

暖かく見守ってください。

 

ビックリマークMemsマイクは一般的手順の手半田付けでは必ず破壊します。

「プレヒート」=一定の予熱処理により安定した手半田が可能になります。  https://ameblo.jp/shin-aiai/entry-12574034452.html?frm=theme

 

        以上

本記事の無断ネット盗用は犯罪です。

 

 

おしらせ

fetⅡ、fetⅡi、fet3、LZⅡb  など、ご注文により人気機種の製作を承っておりますのでお問い合わせください (いまや貴重品、秋月のパナソニック WM-61Aとオリジナル・パーツで製作します)

FetⅡmems、およびProbeⅡ(Mems)マイク使用も同様にリリースしています。

 

モノ作り日本もっと元気出せ 

 

【おことわり】

★ここで公開している回路・写真・説明文などは音響家の方、アマチュアの方でハンドメイドまたは試験評価なさる場合の参考として考えております。

★製作物・加工物の性能・機能・安全性などはあくまでも製作される方の責任に帰し、当方(Shin)ではその一切を負いかねます。

★第三者に対する販売等の営利目的としてこのサイトの記事を窃用する事は堅くお断り致します。

★情報はどんどん発信していきます。ご覧いただき、アレンジも良し、パクリも結構です、その場合、出典をあきらかに願います。

Shinさん独特のこだわりと非常識をもって音響の世界を刺激してまいります。 

  
ShinさんのいたずらPA工作室  
ShinさんのPA工作室 管理人 Shin

ご意見やご質問はこちらから宜しくお願いいたします
メール  
メールはこちらから sound_ai♪xk9.so-net.ne.jp (♪は@に直してください)