【ご注意】
★情報はどんどん発信していきます。ご覧いただき、アレンジも良し、パクリもOKです。
ただし記事から得た情報の利用公開については出典・引用をあきらかに、管理人の指示に従ってください。
MEMSマイク、本来目的をはずしてその実力を開発するにつれ、その可能性の高さに驚くほかない。
従来の出来のいいECMや大口径マイクに迫る、いやそれを超えるファクターさえ多く SCHOEPS博士の「マイクは小さければ小さいほど良い」、がいよいよ現実となってきました。
極小 Natural Mems Microphone 「µ40619」 (ミュー40619 )
COS-11を一回り以上小さくした外径3mmの高品位マイクロホンがMEMSで実現しました。
本来こうした「音響収音」目的などではないはずの「MEMSマイク」ですが・・・これによく似た話があります。 「測定マイク」の理想を追求していったら世界的に優れた音楽性を持つマイクになっていた B&K(Brüel & Kjær)≒DPA社の存在に至るドラマがそれです。
(リンクから)
古くはデンマークの世界的測定機器メーカー、B&K(Bruel & Kjaer/ブリュエル&ケアー)時代の測定マイクロフォンに歴史の端を発するDPAマイクロフォン。
ある時、「そこにB&Kマイクしか無かった」事から、測定マイクロフォンでありながら、B&Kマイクロフォンがオーケストラの収録に使用されました。
その収録されたサウンドを聴いた人々から「この音の良い録音は一体何だ!?」と話題が沸騰、以降のDPAマイクロフォンへと続く歩みを始めました。
DPA = Danish Pro Audio、1992年設立 (楽天市場サイトより)
1年前、数種類のMEMSマイクをUSAから取り寄せた際、すべてのファクターが優れているものの、SN比の67dBというスペックに私自身躊躇していた品種がある、それが今回のICS-40619です。
https://product.tdk.com/info/en/documents/catalog_datasheet/mems-mic/ICS-40619-Datasheet.pdf
SN比70dB超え品種ばかりに目が向いていました、しかしSN比67dBといえばWM-61A(ECM)より3dB高いわけで、音質的には当初より合格点を付けていた品種なのでもう一度クローズアップしました。
なによりも小さいのがいいですね、GND端子も手半田向き。
これなら3mmパイプに入れるのも無理なくできる。
それならフロントメッシュも備えられる、すなわちサンケンCOS11をひとまわり小さくしたマイクが出来上がることに着目してカタチにしました。
(Wind Screen)
WINDTECH 2400がジャストフィットします。@800円位
同時に、このマイクがどれほど小さいかよくわかると思います。
(製作)
実装構造です。
ICS-40619には6個の電極がありますので、先端部3個の電極は二液性エポキシ接着剤で絶縁処理をおこないました。
ICS-40619はMEMSマイクとしても、なにしろ小さいのであらゆる事が普通の工作感覚では成り立ちません。
つまり「1mmというサイズはドデカイ」という感覚でないとまったく取り扱えません、それは上の写真からおわかりになると思います。
また、作業ルーペを装着した取扱いを筆者はおすすめしません。
半田付けを含め、過剰な装備ではなく普通にあくまでも肉眼でおこない、ルーペで確認するスタイルがなじみます。
前3φモデルでは幅3mmのmemsを内径2.8mmの金属パイプに入れる、という矛盾した曲芸でしたが今度は「幅2.65mm」と、0.15mmの余裕があるのでパイプは「ブカブカ」な感じ、かなり楽になりました。
「紙一重」といわれるが、紙1枚(0.2mm)の何とぶ厚いことか。
しかしフロントメッシュを備えた構造にするには1ひねり必要です。
材料の真鍮パイプにはスズメッキを施しました。薄いメッキ処理ですので真鍮の地色がかなり見えていますのでもう少しメタリックっぽい方が良かったと思います。
(μ40619 超小型マイクロホン)
サイズ:マイク径 3.0mm 全長22mm(うちブッシング部10mm)
重量:マイク部 0.4g 全重量9g(ケーブル1.5m、ミニXLRコネクタ含む)
(基板)
※基板サイズ厳守、リード線はAWG32、ミニXLRの電極ピンは全部切り落とす。
これよりわずかでも大きいサイズではケース(Swtch Craft A3M 外筐)には収まりません。
※ミニXLRブラケットの電極ピンは全部切り落として内部スペースを確保します。
この配線にはAWG32が適切、AWG28ではミニXLRブラケットの固定が出来なくなる可能性大。
(回路図)
Natural Mems Microphone「µ40619 」(ミュー40619)全回路図
*2(ハイエンドピーク:仮称への対応)・・・MEMSマイクは10kHzから20kHzの間に鋭いピークがあります。
この弊害は超高域だけでなく、ハウリングを起こさせたときの中高域に顕著に表れます。
これをうまくイナしてやることは低い可聴音域にも影響することを経験してきました、幸い「高域端」のふるまいですので単純に「ロールオフ」してやることが実質的でしょう。
*機械的と電気的な対策がありますが今回は電気的対策を実施します。
0.01µFは単なる「パスコン」的指向のパーツ選びでは失敗します。WIMAを選びます。
*3 (動作モード)・・・ICS-40619はVdd電圧による動作モードの切り替えができます。
ハイパフォーマンスモード:2.2~3.63V
ローパワーモード:1.52~2V
今回はVdd電圧を約3Vとしてハイパフォーマンス動作をさせています。
ちなみに「ローパワーモード」はスリープ状態のスマートSPやロボットの「音声起動スイッチ」、そんな使い方に向く本来の「MEMSマイク」っぽい機能ではあります。
(残った課題)
① ICS-40619は差動±出力(平衡出力)が利用できます。
しかし結線の安全を見てMEMS-OUTは不平衡として使いました。
したがって2芯極細シールド線「Mogami 3011」を採用しました。
平衡使用した場合、ケーブルは4線が必要となります、シールドを「1線」とした場合、3線シールド線が必要です。
Mogami3019がありますが、内径2.8φのパイプ内でこの結線処理を行うのはさすがに「危険」と判断しました。
②MEMS-IC(ICS-40619)へのシールド線直付けには芯線の太さ限界があります。今回使用のMOGAMI 3011はAWG28ワイアーですので、シールド部を含めた半田付けを考えるとこれ以上の太さのシールド線は使用できないことが悩ましい点です。
またこれ以下の細いシールドケーブルも取り扱い上、難しくなります。
(さいごに)
なぜそんなに作りにくいものを血眼で作るのか?何に使うんだ?
良い音で優れた性能、それがMEMSを使って常識外れの小さなサイズで実現することに意味があるのです、使用目的などあとからついてきます。
「それを高い次元で実現させること」、そのことに全力を投入します。
Memsマイクは一般的手順の手半田付けでは必ず破壊します。
「プレヒート」=一定の予熱処理により安定した手半田が可能になります。 https://ameblo.jp/shin-aiai/entry-12574034452.html?frm=theme
以上
★ 本記事の無断ネット盗用は犯罪です。
おしらせ
fetⅡ、fetⅡi、fet3、LZⅡb など、ご注文により人気機種の製作を承っておりますのでお問い合わせください (いまや貴重品、秋月のパナソニック WM-61Aとオリジナル・パーツで製作します)
FetⅡmems、およびProbeⅡ(Mems)マイク使用も同様にリリースしています。
モノ作り日本もっと元気出せ!
【おことわり】
★ここで公開している回路・写真・説明文などは音響家の方、アマチュアの方でハンドメイドまたは試験評価なさる場合の参考として考えております。
★製作物・加工物の性能・機能・安全性などはあくまでも製作される方の責任に帰し、当方(Shin)ではその一切を負いかねます。
★第三者に対する販売等の営利目的としてこのサイトの記事を窃用する事は堅くお断り致します。
★情報はどんどん発信していきます。ご覧いただき、アレンジも良し、パクリも結構です、その場合、出典をあきらかに願います。
Shinさん独特のこだわりと非常識をもって音響の世界を刺激してまいります。
ShinさんのPA工作室 管理人 Shin
ご意見やご質問はこちらから宜しくお願いいたします
メールはこちらから sound_ai♪xk9.so-net.ne.jp (♪は@に直してください)