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横浜市医療局の倫理観 その1(横浜市脳血管疾患救急医療体制の場合)

横浜市医療局の倫理観 その1(横浜市脳血管疾患救急医療体制の場合)

 

2月25日に開催された消防局を審査する委員会では、横浜市医療局と横浜市消防局が連携して行われてきた横浜市脳血管疾患救急医療体制の、10年間にわたる驚くべき実態を指摘させて頂いた。

 

また、その体制の永年にわたる不備に関しては消防局より謝罪があった。今後、期待したいことは謝罪で終わらすことなく、本当に患者さんの視点に立って、患者さんを守り、改善への道へと実行してもらいたことだ。

 

200510月に、tPA治療が厚生労働省に認可された。

https://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12036289069.html

 

脳血管疾患による “寝たきりを減らす。” という大きなスローガンをかかげて、横浜市は2009年に、横浜市脳血管疾患救急医療体制を開始した。しかし、その体制には最初から大きな課題があった。

 

それはtPA治療を行う医療機関を選択するにあたり、横浜市は当初、何ら参加基準を示さず、手あげ方式にしたことだ。当初は、診療所も含まれていた。参加基準を設けたのは体制開始後5年も経過した2014年のことだ。

 

さて、2009年といえば、消防法が改正され、常に強い立場の医療機関のパワーバランスを解消させ、救急隊側からも医療機関に対して “ものが言える” 体制を、法律として作った大事な時期でもあった

 

そして、常にこの脳血管疾患救急医療体制に関与する横浜市医療局の部署には、消防局の職員である課長、係長が配置されていたという事実がある。

http://www.city.yokohama.lg.jp/iryo/teikyotaisei/nou04-kikan.html

 

2012年5月、横浜市は全国初で患者団体の要望を受け、参加病院ごとの治療実績を公表した。あとにも先にも公表しているのは、日本の自治体の中でも横浜市だけだった。

 

そして、この公表という大きな一歩は、医療機関としても医療の質の向上と、患者からの信頼に繋がるまたとないチャンスであったはずである。

https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/154632/

 

ところが、公表データの劣化が進み、昨年の12月には、患者団体から正式に指摘を受けることとなった。脳卒中・循環器病対策基本法が成立した今、全国的にも非常に残念な状況を示したことになる。

http://www.nosottyu-tasukarukai.com/pdf/youbou1221_18.pdf

 

しかし、何故せっかくの公表がこのように劣化してゆくかを疑問に思い、今回、しっかりと調査し、2017年度の 予算特別委員会 消防局審査で「脳血管疾患救急医療体制」について質問した。

 

その時に、「脳血管疾患救急医療体制への取り組み」について、当時の久保田消防局長に質問したところ、「体制に参加する医療機関が一堂に会する会議を医療局とともに定期的に設け、救急隊の搬送実績や医療機関の治療実績などを共有し、現状の分析、課題の抽出と課題解決に向けて検討等を重ねてきました。」との回答をいただいた。

 

確かに、横浜市脳血管救急医療体制について、参加病院が集まって幹事会が開催されていたことは聞いていた。横浜市医療局長の正式な要請通知で会議は開催されていた。

 

市役所で開催されている会議であり、年2回の幹事会および年1回の連絡会が開催されている。公表する前に開催されている医療機関の代表者が集まる年1回の連絡会ある。

 

ところが医療機関の専門家が集まりながら、データの不備に気づかないまま公表している事実がある。医師のデータ不正や役所の統計不正は、今や大きな問題となっているわけだが・・・。その国民からの要請に対して、横浜市や横浜市の医療機関は逆行していて大丈夫なのだろうか。

https://www.sankei.com/west/news/180122/wst1801220072-n1.html

 

結局、この10年間、年2回の幹事会、年一回の連絡会は開催されているが、議事録・報告書が一切ないために、実態がないことになる。

 

公的予算で開催される会議の議事録や報告書がないということは、横浜市医療局の職務専念義務違反を疑われても仕方のないコンプライアンス違反である。

 

そして、せっかく消防局の職員である課長、係長が医療局に配置されていながら、この10年間、消防法改正の目的である救急医療体制の改善のために発言した形跡が何も残されていないため、何もわからない。

 

久保田消防局長は一体、何を根拠に私に答弁したのだろうか? 林市政下の横浜市役所のコンプライアンス劣化は残念だがあらゆるところに広がっているようだ。

https://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12311701760.html

https://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12407602799.html

 

これから先は、もう人間としての倫理観の問題であろう。

 

横浜市消防局と消防法改正

横浜市消防局と消防法改正

横浜市脳卒中・神経脊椎センターの実情から

 

横浜市救急といえば、 “救える命を救いたい” のキャッチフレーズで有名である。

http://www.city.yokohama.lg.jp/shobo/information/shisaku/pdf-file/h20kimatuhurikaeri.pdf

 

さて、横浜市消防局救急隊は患者さんを病院に搬送することで満足しているのだろうか? また、自分が搬送した患者がその後どうなったかを、救急隊は気にならないのだろうか? 一度、伺ってみたいと思う。

 

平成26年度、横浜市立脳血管医療センターは横浜市立脳卒中・神経脊椎センターと名称を変更した。

 

横浜市脳血管疾患救急医療体制の公表データーなどによると、平成26年度のtPA治療実績であるが、tPA治療をごく軽症だから不要とされていたNIHSS4以下の複数の症例にtPA治療を開始した。

 

39例中6例に使用している。さらに26年度 PA治療実績は mRS  0-1 17.9と偽薬よりも非常に低い。

 

NIHSS4点以下はごく軽症なのでt-PA静注は不要です。5~9点は軽症、1015点は中等症、16点~20点は重症、21点以上は超重症であり、23点以上の患者さんへのアルテプラーゼは慎重投与になります。国立循環器病センターの説明より)

http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/brain/pamph63.html

 

平成26年度の249番症例は、来院時、NIHSSは 1。つまり、ほとんど症状がない。そして3か月後には、mRS5 と超重症例になっている。結局、症候性頭蓋内出血を公開しないこともあり、何が起こっているかわからない。

 

平成27年には、261番、262番症例のNIHSSは 0。つまり、まったく症状のない患者さんにtPA治療を行い、mRS2 以上の障害を引き起こしている。それこそ、一体何がこのセンター内で起こっているのだろうか?さらに、平成28年度のPA治療数は57例と突出して多いが、実績は偽薬より悪い。

 

また、NIHSS 04の軽症11例にtPA治療を実施している。tPA治療の実績があると言えない。

 

平成2612月の庁内報で、 “名前を変えて再始動” あるいは  “専門病院として最高の医療を目指す” と、よくそんなことを当時の総務課長は発信できたものだ。

 

結局、横浜市消防局はこの横浜市立脳卒中・神経脊椎センターのtPA治療実績を調査・分析もしないまま、脳卒中患者をセンターに搬送し続けているらしい。

 

それどころか、横浜市消防局は、このtPA治療実績の悪い横浜市立脳卒中・神経脊椎センターと共に、脳卒中救急搬送の市民公開講座を林市長や著名な俳優と一緒に大々的に行ってきた。

https://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12270336271.html

 

さらに、この良好でない実績すらも顧みず、横浜市立脳卒中・神経脊椎センターは、「脳血管内治療センター」を設立すると、我々議員に説明していた。

 

20094月に、厚労省と総務省が組織の壁を超え、改正消防法を成立させた。救急搬送に調査分析・評価・改善という、PDCAサイクルを機能させようという大きな動きであった。

http://lohasmedical.jp/news/2009/07/16205838.php?page=3

 

それには、いろいろな背景があった。(以下記事を参照)

〈今回の改正は、医療側が見たくないもの、また見ないようにしてきたものをさらけ出すことにもなると感じています。

 

医療機関も受け入れ「不能」となるほど医療崩壊の状態ではありますが、一方で都市部など医療機関の多い地域では、明らかに救急患者を選別し、アルバイトの医師でも確実に受け入れられて、黒字になる患者しか受け入れない医療機関もあります。

 

そして、ホームレスや薬物中毒患者など、難しいケースの患者をなんとか受け入れて疲弊している医療機関があり、救急隊もそういう医療機関の性格を暗黙で分かっている。

 

ただ、医師の方が救急隊員より立場的に強いというところもあります。「ルール」をつくると、そうした暗黙の部分も出てこざるを得ません。医療側からの反発もあると思います。〉

 

つまり医療機関にとっては、評価の指標につながる可能性もあるきつい改正であり、医療機関と消防機関の医師が強いというパワーバランスを解消し、医療側からだけではなく、消防からの意見も出して一緒に受け入れのルールを作っていくという大きな趣旨があった。

 

ところが、改正後10年経過したにもかかわらず、横浜市消防局は特に横浜市脳血管疾患救急医療体制について、この法改正が全く活かされていない動きをしてきたことが、今回の議会前の調査で良くわかった。

 

横浜市脳血管疾患救急医療体制について、年二回の幹事会と、年一回の連絡会を開催し、tPA治療ができると手上げした各病院の責任者らが集まり議論しているという。しかし、この会議は定款もなければ議事録も存在しないという。

 

最近の公表データーを見ると、当初から約束ことであった実績評価の3か月後のmRSを提示しない病院が増え、ルールも守れていない。横浜市脳卒中・神経脊椎センターもそのルールを守らない病院の一つである。

 

そして、そのずさんな体制に横浜市医療局も横浜市消防局も、対応できていない有様だとういう。改善するどころか、改悪を止める姿勢すら示さない。また、“救急隊の立場から、医療機関には何も言えない。” らしい?

 

10年かけても、消防法改正の意義がまったく体を成していない地方自治体の事例としか言いようがない状況である。横浜市は特に生命に関する分野は全く進歩ができない組織とでも言おうか・・・?。

 

非常に残念だが、自分が搬送した患者さんがその後どうなったのかを、横浜市救急隊は気に留めているのだろうか。数多くの方を搬送している現状では、それは無理なことなのか。

一度、伺ってみたいと思う。

 

 

 

横浜市医療局と横浜市脳卒中・神経脊椎センター

横浜市医療局と横浜市脳卒中・神経脊椎センター

 

東大病院の心臓手術に関する医療事故の問題に対して、厚労省および東京都の対応は非常に感心した。

 

国会での国民民主党の足立議員の指摘で、厚労省は東大病院に聞き取り調査を行うとし、東京都も立ち入り検査を行い、安全が確認できるまで同手術を中止するように指導した

 

問題となった「マイトラクリップ」は、昨年の4月保険適用されたもので、その「マイトラクリップ」を使って弁を治療しようとしたが、心臓の壁に器具を刺すことがうまくできず、中止された。

 

男性はその後、肺に傷が付く気胸を起こすなど容体が悪化、死亡したという。現役の医師たちが、東京都福祉健康局医療安全課に内部告発し、東京都は適切に動いている。

http://www.wasedachronicle.org/information/c51/

https://www.sankei.com/life/news/190124/lif1901240022-n1.html

https://www.news-postseven.com/archives/20190121_851086.html

 

一方、横浜市健康福祉局 医療安全課といえば、大口病院からの院内異変の内部告発を放置し、その対応は前代未聞の連続殺人事件の一因ともなっており、全国的に問題視された組織である。この違いは非常に残念である。

https://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12392766123.html

 

また、横浜市医療局と横浜市保健所の前身である横浜市衛生局は、倫理委員会も通さず、未経験のまま行われた内視鏡的血種除去術のため、重度の障害を負い、最終的に死亡した医療事故を内部告発した医師らを院内から排除した組織でもある。

 

この医療事故を起こしたのは横浜市立大学医学部医局の脳外科医らであるが、最終的には学位審査問題で不祥事を起こし、市大脳外科の教授をセンター長につけるという驚くべき人事まで行っている。

https://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-11314503740.html

 

昨今、話題になった群馬大や今回の東大の問題とは比較にならないほどモラルの逸脱した組織なのである。なぜなら、群馬大医学部も東大医学部も少なくとも倫理委員会に新しい治療法を通しているからだ。

 

今から14年前は、このような驚くべきことが横浜市において平然と行われていたのだが、つい最近も大口病院の件があるので、その体質が改善したとは思っていない。

https://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-11797764000.html

https://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12002018365.html

 

また、今回の背景には、新治療の実績づくりに躍起になっていたという批判もある。

http://www.wasedachronicle.org/articles/university-hospital/h2/

 

今や、安全の確認ができない治療は慎重にすべきという流れができてきたようだ。

 

ところが、横浜市医療局は脳血管疾患救急医療体制をしきながら、tPA治療の安全の指標である症候性頭蓋内出血の頻度をもう10年も公表していない。PA治療の実績づくり(数)だけには熱心であると言われても仕方がないのでは。

 

特に、横浜市立脳卒中・神経脊椎センターは、tPA治療実績が不良であるにもかかわらず、脳卒中救急搬送の市民公開講座を林市長、著名な俳優、横浜市消防局と一緒に大々的に行ってきた。

https://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12270336271.html

 

元公明党の牧嶋議員と、元センター長との議事録が残されている。当時は、この無謀であった内視鏡的血種除去術に対する内部告発を院内の対立にすり替え、“悪しき前例”と言及しているところがすごい。

 

一方、牧嶋議員が内視鏡的血種除去術を一種、練習であったのではと断じている。結局、このセンター長の元で、tPA治療の実績づくりだけは積み上げられ、平成27年度以外は、成果は上がらなかったのである。(偽薬 mRS 0-1 26%

 

23年度 tPA治療実施数 19  RS  0-1 21% 

24年度 tPA治療実施数 32  RS  0-1 12.5

25年度 tPA治療実施数 24  RS  0-1 16.6

26年度 PA治療実施数 39  RS  0-1 17.9

27年度 tPA治療実施数 39例 mRS  0-1 30.7

28年度 tPA治療実施数 57例 mRS  0-1 21.8

 

だから、今回の東京都の対応にははっとするものがある。また、毎年、牧嶋議員のような厳しい指摘を、横浜市議会が患者の視点にしっかりと立ち、横浜市医療局に改善を求め続けてきたかという問題もある。

 

◎(山本脳血管医療センター長) 

―略― 1つは、医療事故から始まりまして、いろいろな問題で人間関係がぎくしゃくしていることも事実でございます。そういう意味で、もっと良好なコミュニケーションのとれる職場にしていただきたいということが一つ。

 

それから、私も横浜市立大学におりましたので患者取り違え事件もありましたけれども、医療事故がありますと、安全面を重視する余り守勢に回ってしまう。

 

特に医療は日進月歩でございますから、常にそういう変化に対応できる、新しいことに挑戦しようという気迫がこの4カ月間やや欠けてきているのではないかということを危惧したものですから、これから脳血管医療センター病院の経営問題、それから医療レベルアップのためには、悪しき前例は変えるための努力をしたい。そのためにはチャレンジしたり変化を求める努力をしようではありませんかということを職員に呼びかけた次第でございます。

 

◆(牧嶋副委員長) 

今言われた悪しき前例というのは何ですか。-略―  だけれども、引きずる原点をつくったものの一つである医療事故については、それは山本先生の部下の方だと思うのですが、医師のプライド、功名心というものが前にあって、全く初めての手術を未経験の医師が行って、トラブルになってしまったのではないかと思うのです。

 

そういう中でセンター長がチャレンジと言うのであるならば、横浜市の脳血管医療センターは、治療の場でなくて、極めて専門的なドクターたちのチャレンジの場、練習する場になってしまうのではないかという気がしてならないのです。

 

引きずっているとか、チャレンジとか、反省しているとか、いろいろな言葉が出てきましたけれども、センター長は、脳血管医療センターの長として責任をとる資質とか、また、市民からの信頼を得て、そこの長として指揮をとる資質が自分としてはあるとお思いかどうかお伺いしたい。

 

◎(山本脳血管医療センター長) 

非常に難しい質問ですが、私は、やるからには最高の医療を提供しなければいけないと信じております。しかし、そのために、先ほど牧嶋副委員長がおっしゃいましたような専門家集団のチャレンジする場所であるという認識は全くございません。

 

もちろん今までの反省も踏まえておりますけれども、やはり医療というのは一歩一歩地固めしながら進んでいかなければいけない。これは私も十分認識しているつもりでございますし、横浜市立大学の教授時代もそういう形でやってきたわけでございます。

 

不幸にして脳血管医療センターで医療事故が起こったわけですけれども、決してそんなつもりではない。しかし私は、やるからにはやはり最高の医療を提供する、一歩一歩前を向いてやるという姿勢で職員と一緒にやっていきたいと思っております。

 

私が横浜市立大学で16年間やりました治療歴については、むしろ皆さんが評価することであって、自分がどうこう言う問題ではございません。全力を尽くしていく所存でございますので、御理解いただければと思います。

 

―結局、横浜市立大学元医学教授の山本勇夫センター長の元では最高の医療などまったく提供できなかったことが、tPA治療実績の公開で証明された。そして、結局取返しのつかない病院にしてしまった。患者は先進的な医療技術の実績づくりのための単なる数ではない。

 

2009年の消防法の改正で、総務省と厚労省が壁を超えた法改正を行い、救急搬送に今までなかったPDCAサイクル(救急搬送の評価と分析、改善)という機能を入れた。それは、消防機関と医療機関では常に医師のほうが、立場が強いというパワーバランスがあったからだ。

 

せっかくの消防法の改正から10年が経過し、tPA治療実績の公表があるにもかかわらず、横浜市消防局は、医療局や医療機関に対してPDCAサイクルを基に、自らの意見を提示せず、脳卒中患者を搬送し続けてきた。消防法の改正や、PA治療実績の公表が全く生かされていなかったことに驚かされた。

https://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12033487492.html

lohasmedical.jp/news/2009/07/16205838.php

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