横浜市立脳卒中・神経脊椎センターのモラル その1 | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

横浜市立脳卒中・神経脊椎センターのモラル その1

横浜市立脳卒中・神経脊椎センターのモラル その1

 

横浜市立脳血管医療センターの名称変更は市民のアンケート結果から分るように、市民が要望したわけではなく、当時の病院経営局の方針で変更された。

http://nosottyu-tasukarukai.com/0904_14-1.pdf

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-11885787805.html

 

驚いたことに平成2612月の庁内報で、“名前を変えて再始動” あるいは “専門病院として最高の医療を目指す” と総務課長らは発信していたと聞いた。

 

平成16年、平成17年当時の横浜市立脳血管医療センターの混乱と衛生局を中心とした横浜市役所の隠ぺい体質を熟知している我々にとっては、この手前みその発信には非常に違和感を覚える。

 

混乱当時に、衛生局あるいは総務局に対して行われた我々議員の指摘は議会の議事録に残されている。

 

議会での議事録、あるいは新聞記事は歴史を検証する上で、貴重な資料となる。

 

平成17年2月当時に書かれた神奈川新聞の社説を引用すれば、横浜市は医療事故に疑義を示した医師たちを排除し病根を温存させたことになる。

 

皮肉にも横浜市が排除したこの医師たちが、今現在の展開し始めている高度な脳卒中医療(tPA治療と脳血管内医療)の先駆者達だった。

 

最高の医療を目指していた専門病院はすでに10年以上前にあった。それを壊したのは横浜市である。その事実を無視して、都合の良い歴史を後付けで作成することは人間として決して賢明とはいえない。

 

そして、平成11年度からの年報は存在したにも関わらず、ホームページに掲載しない。いかに横浜市医療局が尋常でない組織であることが、誰もが認識することができるだろう。

http://www.city.yokohama.lg.jp/byoin/nou/about/nenpo1.html#gaku

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-11865408643.html

 

今回の消防局審査で、当時の神奈川新聞が指摘した危惧が現実のものとなっていることを改めて実感した。

 

審査前の議論で、横浜市脳血管疾患救急医療体制の連絡会のまとめ役で、治療実績公表の中心者が、平成16年当時の横浜市立脳血管医療センターの元センター長であることがわかった。

 

平成14年、副センター長時代に院内で飲酒をして不祥事を起こし、2年後には、センターの医療事故問題で処分を受け、センター長の任を解かれている。

 

ブログでも書いたが、脳卒中対策基本法成立にむけ、NPO法人日本脳卒中者友の会という患者団体を政治的に都合よく使い、都合よく切り捨てたと見られているのが日本脳卒中協会である。

 

彼はその日本脳卒中協会の横浜支部長でもあるまた、神経内科領域、脳卒中分野の専門医であり、学会の評議員にもなっている。

http://www.s-kano.jp/shigi/260306.pdf

http://jsa-web.org/sibu/index.html

http://www.city.yokohama.lg.jp/byoin/nou/section/shinkei.html

 

国立循環器病センターのホームページにあるように、tPA治療の実績に症候性頭蓋内出血の頻度のデータが重要であることは、専門家として当然承知しているはずだ。

 

当然のことだが、国立循環器病センターも治療実績とともに症候性頭蓋内出血のデータをきちんと公表している。

http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/brain/pamph63.html

 

そして、平成14年から15年に行われた治験の安全性の指標評価項目として症候性頭蓋内出血の頻度の低さが示されている。

https://medical.mt-pharma.co.jp/intro/grt/test01/01.shtml

 

しかし、彼を中心とした横浜市の脳卒中専門家集団は、8年経過しても、症候性頭蓋内出血を公表しない。実際、症候性頭蓋内出血の有無も報告項目にはいっていて、集計している事実もわかった。

 

彼の所属する横浜市立脳卒中・神経脊椎センターの治療実績だが、平成23年から平成26年度までの成績は、偽薬(26)より悪い。

 

PA治療のために搬送を優先させる病院とはとてもいえない成績の悪さである。

23年度 tPA治療実施数 19例  mRS  0-1 21% 

24年度 tPA治療実施数 32例  mRS  0-1 12.5

25年度 tPA治療実施数 24例  mRS  0-1 16.6

26年度 tPA治療実施数 39例  mRS  0-1 17.9

 

ところが、横浜市立脳卒中・神経脊椎センターは、このtPA治療実績の悪い状況下で、脳卒中救急搬送の市民公開講座を林市長、著名な俳優、横浜市消防局と一緒に大々的に行ってきた。

 

このような公開講座を行う前にすべきことは、治療実績の向上と、国立循環器病センターと同様に症候性頭蓋内出血の公表であろう。

 

まさに、医療機関としてのモラルが欠如していると思われても仕方がない。

http://www.city.yokohama.lg.jp/byoin/nou/about/yobo.html

http://www.city.yokohama.lg.jp/byoin/nou/infom/140316kouenkai.html

 

そして、この治療実績の悪いセンターに平成26年度、横浜市救急隊は一番多くの患者を搬送。最も多い39例の患者にtPA治療が行われている。

 

もちろん、センターを凌ぐ治療実績の高い病院は30病院の中にあるにも関わらずだ。

 

この様な深刻な状況下で、 “名前を変えて再始動、改革に向けた熱いお思い ”あるいは “専門病院として最高の医療を目指す” と、総務課長らはよく発信できたものだ。

 

残念だが、こんな認識ではまず患者に寄り添った医療などとても目指せないだろう。

 

このtPAの治療実績と公表の仕方こそが、この横浜市立脳卒中・神経脊椎センターのモラル欠如の本質を物語っているようなものだ。