横浜市消防局と消防法改正 | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

横浜市消防局と消防法改正

横浜市消防局と消防法改正

横浜市脳卒中・神経脊椎センターの実情から

 

横浜市救急といえば、 “救える命を救いたい” のキャッチフレーズで有名である。

http://www.city.yokohama.lg.jp/shobo/information/shisaku/pdf-file/h20kimatuhurikaeri.pdf

 

さて、横浜市消防局救急隊は患者さんを病院に搬送することで満足しているのだろうか? また、自分が搬送した患者がその後どうなったかを、救急隊は気にならないのだろうか? 一度、伺ってみたいと思う。

 

平成26年度、横浜市立脳血管医療センターは横浜市立脳卒中・神経脊椎センターと名称を変更した。

 

横浜市脳血管疾患救急医療体制の公表データーなどによると、平成26年度のtPA治療実績であるが、tPA治療をごく軽症だから不要とされていたNIHSS4以下の複数の症例にtPA治療を開始した。

 

39例中6例に使用している。さらに26年度 PA治療実績は mRS  0-1 17.9と偽薬よりも非常に低い。

 

NIHSS4点以下はごく軽症なのでt-PA静注は不要です。5~9点は軽症、1015点は中等症、16点~20点は重症、21点以上は超重症であり、23点以上の患者さんへのアルテプラーゼは慎重投与になります。国立循環器病センターの説明より)

http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/brain/pamph63.html

 

平成26年度の249番症例は、来院時、NIHSSは 1。つまり、ほとんど症状がない。そして3か月後には、mRS5 と超重症例になっている。結局、症候性頭蓋内出血を公開しないこともあり、何が起こっているかわからない。

 

平成27年には、261番、262番症例のNIHSSは 0。つまり、まったく症状のない患者さんにtPA治療を行い、mRS2 以上の障害を引き起こしている。それこそ、一体何がこのセンター内で起こっているのだろうか?さらに、平成28年度のPA治療数は57例と突出して多いが、実績は偽薬より悪い。

 

また、NIHSS 04の軽症11例にtPA治療を実施している。tPA治療の実績があると言えない。

 

平成2612月の庁内報で、 “名前を変えて再始動” あるいは  “専門病院として最高の医療を目指す” と、よくそんなことを当時の総務課長は発信できたものだ。

 

結局、横浜市消防局はこの横浜市立脳卒中・神経脊椎センターのtPA治療実績を調査・分析もしないまま、脳卒中患者をセンターに搬送し続けているらしい。

 

それどころか、横浜市消防局は、このtPA治療実績の悪い横浜市立脳卒中・神経脊椎センターと共に、脳卒中救急搬送の市民公開講座を林市長や著名な俳優と一緒に大々的に行ってきた。

https://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12270336271.html

 

さらに、この良好でない実績すらも顧みず、横浜市立脳卒中・神経脊椎センターは、「脳血管内治療センター」を設立すると、我々議員に説明していた。

 

20094月に、厚労省と総務省が組織の壁を超え、改正消防法を成立させた。救急搬送に調査分析・評価・改善という、PDCAサイクルを機能させようという大きな動きであった。

http://lohasmedical.jp/news/2009/07/16205838.php?page=3

 

それには、いろいろな背景があった。(以下記事を参照)

〈今回の改正は、医療側が見たくないもの、また見ないようにしてきたものをさらけ出すことにもなると感じています。

 

医療機関も受け入れ「不能」となるほど医療崩壊の状態ではありますが、一方で都市部など医療機関の多い地域では、明らかに救急患者を選別し、アルバイトの医師でも確実に受け入れられて、黒字になる患者しか受け入れない医療機関もあります。

 

そして、ホームレスや薬物中毒患者など、難しいケースの患者をなんとか受け入れて疲弊している医療機関があり、救急隊もそういう医療機関の性格を暗黙で分かっている。

 

ただ、医師の方が救急隊員より立場的に強いというところもあります。「ルール」をつくると、そうした暗黙の部分も出てこざるを得ません。医療側からの反発もあると思います。〉

 

つまり医療機関にとっては、評価の指標につながる可能性もあるきつい改正であり、医療機関と消防機関の医師が強いというパワーバランスを解消し、医療側からだけではなく、消防からの意見も出して一緒に受け入れのルールを作っていくという大きな趣旨があった。

 

ところが、改正後10年経過したにもかかわらず、横浜市消防局は特に横浜市脳血管疾患救急医療体制について、この法改正が全く活かされていない動きをしてきたことが、今回の議会前の調査で良くわかった。

 

横浜市脳血管疾患救急医療体制について、年二回の幹事会と、年一回の連絡会を開催し、tPA治療ができると手上げした各病院の責任者らが集まり議論しているという。しかし、この会議は定款もなければ議事録も存在しないという。

 

最近の公表データーを見ると、当初から約束ことであった実績評価の3か月後のmRSを提示しない病院が増え、ルールも守れていない。横浜市脳卒中・神経脊椎センターもそのルールを守らない病院の一つである。

 

そして、そのずさんな体制に横浜市医療局も横浜市消防局も、対応できていない有様だとういう。改善するどころか、改悪を止める姿勢すら示さない。また、“救急隊の立場から、医療機関には何も言えない。” らしい?

 

10年かけても、消防法改正の意義がまったく体を成していない地方自治体の事例としか言いようがない状況である。横浜市は特に生命に関する分野は全く進歩ができない組織とでも言おうか・・・?。

 

非常に残念だが、自分が搬送した患者さんがその後どうなったのかを、横浜市救急隊は気に留めているのだろうか。数多くの方を搬送している現状では、それは無理なことなのか。

一度、伺ってみたいと思う。