大口病院での事件と横浜市医療安全課(横浜市保健所) | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

大口病院での事件と横浜市医療安全課(横浜市保健所)

大口病院での事件と横浜市医療安全課(横浜市保健所)

 

横浜市にある大口病院で起こった殺人事件の容疑者として、鶴見区在住の元看護師が逮捕された。

 

司法解剖の結果、殺菌作用が強い消毒液「ヂアミトール」に含まれる界面活性剤の成分が検出され、中毒死と判明したのは2名。

 

しかし、容疑者は「他の入院患者の体内にも消毒液を入れた。20人ぐらいやった」と供述しているという。

https://www.asahi.com/articles/ASL772VP9L77ULOB001.html

https://www.asahi.com/articles/ASL7754P1L77ULOB00G.html

 

当時、大口病院4階の病棟では中毒死が確認された2名以外に7月から、約3か月で46人も亡くなっているという衝撃的な報道もある。今後捜査が解明していく中で、実際の被害者の数も明らかになっていくだろう。

http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3871/1.html

https://www.j-cast.com/tv/2016/09/27279052.html?p=all

https://mainichi.jp/articles/20180709/dde/001/040/098000c

 

神奈川県では2016年7月、一人で障害者を19名殺害するという事件が起こった。それを超える被害となるかもしれない。しかし、この事件をたった一人の看護師の犯罪として済ませるには、非常に疑問が残る事件である。

 

一体、なぜ一人で20人もの消毒剤を使用し続けることができたのだろうか?実際、死亡診断書は医師が記載する。

 

週刊誌では、3か月で50人も死亡することに対して、当時の院長を取材している。そして、不審に思わない院長の危機感のなさに驚いている。

https://www.dailyshincho.jp/article/2016/10120557/?all=1

 

この犯人逮捕を受けて、横浜市会議員として改めて最も危機感を覚えるのは、横浜市医療安全課のある横浜市保健所という市役所内組織の体質であろう。

 

横浜市保健所という組織は、医師である横浜市保健所長をトップとして、行政医師を含め比較的に多くの医療職関係者から構成されている。しかし、この組織の危機意識の欠落については、このブログを通じて2010年より指摘し続けてきた。

 

特に横浜市医療安全課は、この事件が起こる2年前に都筑区にある病院の漢方クリームにステロイドが含まれているという事実を知りながら、市民に情報提供せずに被害を拡大させるという失態を起こしている。

 

被害は市内に留まらず他県にまで及んだ。一方、この事件を真摯に受け止め横浜市が再発防止に向け検証し、その結果を公表した形跡はない

 

また、その年4月に行政医師の人事についても言及し、被害者あるいは市民の意見を無視する構図が、大きな危機を引き起こす可能性があることも示唆した。

https://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-11859190346.html

https://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-11874038928.html

https://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-11815605008.html

 

50人の急死は2016年の7月から始まっている。横浜市が、大口病院から内部告発の一報を受けたのは、75日である。それも看護師のエプロンが切り裂かれるという異常な事態が院内で起きているという通報である。

 

そして、患者のカルテが紛失としているという医師法上でも重要な事案が通報されていたのだ。このメールを受けた監査課職員は健康福祉局医療安全課に、つまり横浜市保健所に伝えていた。

 

まさに、今となって考えれば、告発者がツイッターで訴えているように、この時点で横浜市医療安全課がきちんと対応していれば、このような歴史的な大惨事を防げた可能性が大いにあった。

 

その後、8月には3回もの通報を受けている。その中には漂白剤が飲み物に混入され、口唇がただれるという事件も通報されている。それでも横浜市医療安全課は、92日の定期の立ち入り検査まで何もしていない。

 

92日の立ち入り検査時も、通報の内容を口頭で確認しただけに留めている。また、警察への通報も病院任せで終わらせている。そして、その後、2名の患者さんが殺害されている。

https://togetter.com/li/1028309

http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/soudan-madoguchi/shiryo/28kennshouhoukokusho.pdf

https://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12207698556.html

 

残念ながら、2年前の漢方ステロイドと同様の対応が行われたに過ぎないと私は思っている。色々な貴重な情報が入る立場でありながら、人命を守るという意識は非常に希薄といっても良い。

 

市民に衝撃を与えた事件発覚直後の924日でさえも、医療安全課長が、「適切に対応した。」と回答していることで、その体質は一目瞭然であろう。世間一般の常識と、当該組織の中の主観とが、大きく乖離している現象と言っても過言ではない課長の発言である。

 

横浜市役所において、単なる検証だけで、その組織を構成している職員の意識が早急に改善できるとは、到底思えない。

 

たとえ、人命を守るという倫理あるいは意識が希薄であったと指摘されても、一旦検証が終われば、行政医師などはそのまま昇任して各区役所に配属される。

 

それが、各区役所のセンター長人事となれば極めて深刻である。残念ながら、この4月でそのことが確認できた。

https://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12278665339.html

https://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12278665339.html

 

さて、7月7日の逮捕を受け、横浜市長がコメント出している。残念ながら、横浜市の初動対応の問題に一切触れていない。勇気ある告発者への配慮も全くないコメントである。

 

医療安全の向上など、抜本的な人事改革がなければ図れないことを、私は何度でも警鐘する。大口病院事件の史上まれにみる大惨事の一因に、横浜市保健所の危機管理の欠落があることを忘れてはならないと思う。

https://www.sankei.com/region/news/180708/rgn1807080029-n1.html

http://www.city.yokohama.jp/ne/news/press/201807/images/phpBpBnRy.pdf