横浜市医療局と横浜市脳卒中・神経脊椎センター
横浜市医療局と横浜市脳卒中・神経脊椎センター
東大病院の心臓手術に関する医療事故の問題に対して、厚労省および東京都の対応は非常に感心した。
国会での国民民主党の足立議員の指摘で、厚労省は東大病院に聞き取り調査を行うとし、東京都も立ち入り検査を行い、安全が確認できるまで同手術を中止するように指導した。
問題となった「マイトラクリップ」は、昨年の4月保険適用されたもので、その「マイトラクリップ」を使って弁を治療しようとしたが、心臓の壁に器具を刺すことがうまくできず、中止された。
男性はその後、肺に傷が付く気胸を起こすなど容体が悪化、死亡したという。現役の医師たちが、東京都福祉健康局医療安全課に内部告発し、東京都は適切に動いている。
http://www.wasedachronicle.org/information/c51/
https://www.sankei.com/life/news/190124/lif1901240022-n1.html
https://www.news-postseven.com/archives/20190121_851086.html
一方、横浜市健康福祉局 医療安全課といえば、大口病院からの院内異変の内部告発を放置し、その対応は前代未聞の連続殺人事件の一因ともなっており、全国的に問題視された組織である。この違いは非常に残念である。
https://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12392766123.html
また、横浜市医療局と横浜市保健所の前身である横浜市衛生局は、倫理委員会も通さず、未経験のまま行われた内視鏡的血種除去術のため、重度の障害を負い、最終的に死亡した医療事故を内部告発した医師らを院内から排除した組織でもある。
この医療事故を起こしたのは横浜市立大学医学部医局の脳外科医らであるが、最終的には学位審査問題で不祥事を起こし、市大脳外科の教授をセンター長につけるという驚くべき人事まで行っている。
https://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-11314503740.html
昨今、話題になった群馬大や今回の東大の問題とは比較にならないほどモラルの逸脱した組織なのである。なぜなら、群馬大医学部も東大医学部も少なくとも倫理委員会に新しい治療法を通しているからだ。
今から14年前は、このような驚くべきことが横浜市において平然と行われていたのだが、つい最近も大口病院の件があるので、その体質が改善したとは思っていない。
https://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-11797764000.html
https://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12002018365.html
また、今回の背景には、新治療の実績づくりに躍起になっていたという批判もある。
http://www.wasedachronicle.org/articles/university-hospital/h2/
今や、安全の確認ができない治療は慎重にすべきという流れができてきたようだ。
ところが、横浜市医療局は脳血管疾患救急医療体制をしきながら、tPA治療の安全の指標である症候性頭蓋内出血の頻度をもう10年も公表していない。tPA治療の実績づくり(数)だけには熱心であると言われても仕方がないのでは。
特に、横浜市立脳卒中・神経脊椎センターは、tPA治療実績が不良であるにもかかわらず、脳卒中救急搬送の市民公開講座を林市長、著名な俳優、横浜市消防局と一緒に大々的に行ってきた。
https://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12270336271.html
元公明党の牧嶋議員と、元センター長との議事録が残されている。当時は、この無謀であった内視鏡的血種除去術に対する内部告発を院内の対立にすり替え、“悪しき前例”と言及しているところがすごい。
一方、牧嶋議員が内視鏡的血種除去術を一種、練習であったのではと断じている。結局、このセンター長の元で、tPA治療の実績づくりだけは積み上げられ、平成27年度以外は、成果は上がらなかったのである。(偽薬 mRS 0-1 26%)
23年度 tPA治療実施数 19例 mRS 0-1 21%
24年度 tPA治療実施数 32例 mRS 0-1 12.5%
25年度 tPA治療実施数 24例 mRS 0-1 16.6%
26年度 tPA治療実施数 39例 mRS 0-1 17.9%
27年度 tPA治療実施数 39例 mRS 0-1 30.7%
28年度 tPA治療実施数 57例 mRS 0-1 21.8%
だから、今回の東京都の対応にははっとするものがある。また、毎年、牧嶋議員のような厳しい指摘を、横浜市議会が患者の視点にしっかりと立ち、横浜市医療局に改善を求め続けてきたかという問題もある。
◎(山本脳血管医療センター長)
―略― 1つは、医療事故から始まりまして、いろいろな問題で人間関係がぎくしゃくしていることも事実でございます。そういう意味で、もっと良好なコミュニケーションのとれる職場にしていただきたいということが一つ。
それから、私も横浜市立大学におりましたので患者取り違え事件もありましたけれども、医療事故がありますと、安全面を重視する余り守勢に回ってしまう。
特に医療は日進月歩でございますから、常にそういう変化に対応できる、新しいことに挑戦しようという気迫がこの4カ月間やや欠けてきているのではないかということを危惧したものですから、これから脳血管医療センター病院の経営問題、それから医療レベルアップのためには、悪しき前例は変えるための努力をしたい。そのためにはチャレンジしたり変化を求める努力をしようではありませんかということを職員に呼びかけた次第でございます。
◆(牧嶋副委員長)
今言われた悪しき前例というのは何ですか。-略― だけれども、引きずる原点をつくったものの一つである医療事故については、それは山本先生の部下の方だと思うのですが、医師のプライド、功名心というものが前にあって、全く初めての手術を未経験の医師が行って、トラブルになってしまったのではないかと思うのです。
そういう中でセンター長がチャレンジと言うのであるならば、横浜市の脳血管医療センターは、治療の場でなくて、極めて専門的なドクターたちのチャレンジの場、練習する場になってしまうのではないかという気がしてならないのです。
引きずっているとか、チャレンジとか、反省しているとか、いろいろな言葉が出てきましたけれども、センター長は、脳血管医療センターの長として責任をとる資質とか、また、市民からの信頼を得て、そこの長として指揮をとる資質が自分としてはあるとお思いかどうかお伺いしたい。
◎(山本脳血管医療センター長)
非常に難しい質問ですが、私は、やるからには最高の医療を提供しなければいけないと信じております。しかし、そのために、先ほど牧嶋副委員長がおっしゃいましたような専門家集団のチャレンジする場所であるという認識は全くございません。
もちろん今までの反省も踏まえておりますけれども、やはり医療というのは一歩一歩地固めしながら進んでいかなければいけない。これは私も十分認識しているつもりでございますし、横浜市立大学の教授時代もそういう形でやってきたわけでございます。
不幸にして脳血管医療センターで医療事故が起こったわけですけれども、決してそんなつもりではない。しかし私は、やるからにはやはり最高の医療を提供する、一歩一歩前を向いてやるという姿勢で職員と一緒にやっていきたいと思っております。
私が横浜市立大学で16年間やりました治療歴については、むしろ皆さんが評価することであって、自分がどうこう言う問題ではございません。全力を尽くしていく所存でございますので、御理解いただければと思います。
―結局、横浜市立大学元医学教授の山本勇夫センター長の元では最高の医療などまったく提供できなかったことが、tPA治療実績の公開で証明された。そして、結局取返しのつかない病院にしてしまった。患者は先進的な医療技術の実績づくりのための単なる数ではない。
2009年の消防法の改正で、総務省と厚労省が壁を超えた法改正を行い、救急搬送に今までなかったPDCAサイクル(救急搬送の評価と分析、改善)という機能を入れた。それは、消防機関と医療機関では常に医師のほうが、立場が強いというパワーバランスがあったからだ。
せっかくの消防法の改正から10年が経過し、tPA治療実績の公表があるにもかかわらず、横浜市消防局は、医療局や医療機関に対してPDCAサイクルを基に、自らの意見を提示せず、脳卒中患者を搬送し続けてきた。消防法の改正や、tPA治療実績の公表が全く生かされていなかったことに驚かされた。
https://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12033487492.html
lohasmedical.jp/news/2009/07/16205838.php
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