横浜市医療局の展望 その2 | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

横浜市医療局の展望 その2

横浜市医療局の展望 その2

ー患者は「数」ではない。自浄作用を示せ!


418日の朝日新聞の社説に、” 患者は「数」ではない ” が掲載されていた。川崎市にある聖マリアンナ医科大学病院で起きた精神保健指定医の資格を不正に取得していたことを受けての社説だ。


腹腔鏡手術で患者が相次いで死亡した群馬大病院のケースも未熟な医師が実績づくりを急いだのではと論じた。そして、最後の一言に非常に感銘を受けた。専門性や先進的な医療技術は大切だが、患者をないがしろにした医療はごめんである。医療界は自浄能力を示すべきだ!と。


さて、先進的な医療技術といえば、tPA治療による脳血管疾患救急医療がある。国立循環器病センターのホームページにもこの新しい治療の効果と問題点が指摘されている。

http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/brain/pamph63.html


横浜市健康福祉局医療政策課、横浜市医療局の前身は、平成214月から、tPA治療を中心とした横浜市脳血管疾患救急医療体制を開始。


開始において一番の問題は、参加医療機関はただ希望をつのるだけで、参加医療機関の基準をおかなかったことと、平成2012月から平成21年の3月まで4か月のモデル期間をおいているにも関わらず、病院ごとの治療実績や病院の体制を検証せずそのまま実施運用したことである。


この体制に危機感を抱いた私は、平成22106日の健康福祉局審査で、現在の横浜市危機管理監である立花元健康福祉局長に対し、問題点を指摘し質問した。ブログでもその議会質問と答弁を紹介している。

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-11471740756.html


治療実績を公表しない横浜市に対して危機感を覚え、当時の全国脳卒中者友の会連合会の理事長である石川敏一氏、脳卒中から助かる会の代表の上野正氏、そして我が団の市議らとともに、川崎市において民間病院主導でtPAによる脳血管疾患救急医療体制を開始していた聖マリアンナ医科大学の長谷川泰弘神経内科教授を訪ねたことがある。


教授は脳卒中の患者さんを前にこう話した。「tPAの治療に病院側が慣れるまで、治療実績の公表は無理ですよ。」

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/day-20101212.html


その教授の言葉が患者団体のある意味、原動力となった。患者は先進的な医療技術の実績づくりのための単なる数ではないという強い反発となったのだ。


市議会と患者団体の要望等を受け、健康福祉局医療政策課は、平成245月、病院ごとの治療実績を公表。さらに病院の体制も公表した。子宮頸がんワクチン支援と同様の構図で、自ら率先して行ったわけではない。



公表したことで、病院ごとの格差がわかった。公表の仕方も横浜市独自のやり方で、一般市民に非常にわかりにくくなっている。


国立循環器病センターで公表されているようなtPA治療によって起こる副作用のデータを6年間も出さない。副作用を開示することは安全の指標である。そして、実施してから6年後、やっと参加基準を示した。



しかし、参加基準を示さないまま、6年間で1000人以上(議会資料含めて累計すると1066人)の患者さんにtPAが施行された。健康福祉局は、体制を整えぬまま脳血管疾患救急医療体制の宣伝だけは行政の財源を使い大々的にキャンペーンを行ってきた。子宮頸がんワクチン推進と全く同様の構図である。

http://www.city.yokohama.lg.jp/iryo/teikyotaisei/nou04-kikan.html


市内には参加医療機関と製薬会社共催の講演会を促した区役所もある。

さらに、ひどいのはその分析手法である。たとえば、平成25年度は274例にtPA治療が行われたが、国内外の市販後調査成績の分析の比較となると157例しか、その分析に使われていない。残りの117例は81歳以上であることで省かれている。


当然、独自でデータを分析した患者団体からは病院の格差による体制の改善要求の要望は出されている。

http://www.kanaloco.jp/article/38284


しかし、この3、依然として健康福祉局医療政策課は公表方法も変えていない。子宮頸がんワクチンの副作用の調査をしないと同様に、安全の指標となる脳出血という副作用を開示しない。ある種、病院側に軸足を置いた強固な姿勢は崩さない。

http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/iryo-seisaku/teikyotaisei/nou05-jisseki.html


結局、健康福祉局の医師である経営責任職がそのまま新しく設立された医療局に異動した。厚労省からの子宮頸がんワクチンの副作用情報を示さなかった医師でもある


そして、病院経営局時代の人事からほとんど変わり映えがない。平成17年度の衛生局時代から病院関係の職員人事は膠着状態にある。通常、事務職員は一つの部署に長く配属されない。中には入庁当時から10年間異動しない職員もいる。


また、医療局になって、市の脳血管疾患救急医療体制の治療実績を閲覧しても、ホームページがわかりにくくなった。「脳卒中なったら病院へ」という宣伝だけは市の財政を使って大々的にやっていく。患者をないがしろにする医療政策はごめんである。医療局には、自浄能力を示すべきだと言いたい。


そして、そのOB達が退職後、市内の病院や横浜市病院協会等に再就職していることも忘れてはならない。









家族や自身が病気になった時、このごく限られた同じ顔ぶれの職員や行政医師によって行われてきた医療政策と病院事業の問題点に気づくかもしれないが、それでは遅すぎるというものだ。