The Fritz Pauer Trioの演奏は、いつ聴いても凛として瑞々しい魅力に満ち溢れている。AustriaはVienna生まれのJazz Pianist/Composer Fritz Pauer。10代の頃からプロの演奏家としてのキャリアを開始している。お国柄かどことなくClassicalな香りも漂うが、欧州的な知的で抒情漂う味わいにMcCoy Tyner以降のModalでFreeにも対応可能なピアニスト。60年代前半には同国のSax奏者Hans KollerのGroupで演奏し、Friedrich Guldaが66年に主催したInternationaler Wettbewerb Für Modernen JazzのPiano部門で第一位を獲得(ちなみに第二位はJan Hammer)して、その実力派ぶりが注目された。歯切れ良いタッチから繰り出される淀みのない流麗なフレージングは圧巻である。60年代にDon ByasやBooker Ervin、Art Farmer、Dexter Gordon、Friedrich Gulda、Annie Rossと共演したPauerは68年から72年にVienna Municipal Conservatoryで教鞭をとり、その後はORF-Big Bandのメンバーとなった。Pauerに注目したのは70年にMPSからリリースした『Live At The Berlin "Jazz Galerie"』で、Jimmy WoodeのべースにBilly BrooksのドラムスとのPiano TrioはModalで三位一体となって突き進む清冽な演奏に心を奪われたのであった。ベースのWoodeにドラムスのKlaus Weiss、Tenor Sax/Flute奏者のFerdinand Povelと組んだMythologieで71年にリリースした唯一のアルバム『Live At »Domicile« Munich』やSunbirdsの2枚のアルバムも傑作である。本作はORF-Big Bandのリリースの合間を縫って70年代後半にリリースされたアルバム。ベースにはJimmy Woode、ドラムスのTony InzalacoとのTrioで、MPSからリリースされた。
『Blues Inside Out』はMPSから79年にリリースされたThe Fritz Pauer Trioのアルバム。
アルバム1曲目はドラムスのTony Inzalaco作“The Beacon”。イントロから炸裂するPauerのキリっと引き締まった硬質の美とも言うべきBlock Chord連打が激カッコイイ。躍動感に満ちたリズム隊にのってPauerのピアノが力強くも、流れるような優美なフレージングを弾き倒す。Tony Inzalacoのドラム・ソロもキレキレである。
“English Garden Walk”はイントロから典雅な旋律を奏でるPauer、BluesyなThemeで歯切れ良くBlock Chordを刻んだかと思えばFunkyに転がるピアノで魅了する。
“Flute Song”はユッタリとしたBeatにのってPauerが典雅な旋律を紡ぎ出していく。決して甘すぎることなく耽美的になることもなく、ほどよく甘美で切ないMelodyにグッとくる。
欧州的なLyricalなイントロから始まる“My Little Girl”も疾走感に満ち溢れたリズム隊にのってPauerが縦横無尽に弾き倒す。キレの良いタッチで力強く、これでもかと叩きつけるようなピアノが良い。気持ち、ありふれた旋律ではあるが、勢いとキレで圧倒する。鯔背なドラム・ソロも良き。
ベースのJimmy Woode作のタイトル曲“Blues Inside Out”。タイトル通りのご機嫌なBlues。Woodeのベース・ソロもイイ味出している。
ドラムスのTony Inzalaco作“Terra Samba”。これまた欧州らしい理知的な美しさが感じられるナンバー。躍動するリズム隊に小気味良いタッチのピアノが気持ち良すぎ。
Ellingtonの“Prelude To A Kiss”はStandardをガッツリ弾きこなし
アルバム最後をシメるのはWoode作の“The Man From Potters Crossing”ではマッタリBluesyにキメる。このあたりのバランスも良き。
(Hit-C Fiore)









