70年代半ば以降、Philly Soundの屋台骨となって大活躍したDexter WanselはPhiladelphia出身の鍵盤奏奏者/Songwriter/Poroducer、そしてArrangerである。Wanselのプロとしてのキャリアは70年代初期のSigma Sound StudiosでArp2600VなどSyntjesizerをProgrammingするなど幾つかのSessionに加わったところから始まるらしい。また、その時期にFunk Rock Group Yellow Sunshineのメンバーとして活動したりInstant Funkにもかかわっていたりする。前者はドラマーで後にMFSBのメンバーとなるKarlやRolandのChambers兄弟たちが中心となっていたバンドだがアルバム1枚をリリースして解散している。その後、WanselはGamble and HuffのPhiladelphia International Recordsで鍵盤奏者/Arranger、Songwriterとして働くことになり、MFSBのメンバーにも加わって数々の録音に参加、MFSB OrchestraのConductorを務めるなど、サウンド面で重要な存在となっていった。O'JaysやTeddy PendergrassそしてThe Intrudersなどの作品でWanselの充実した仕事ぶりを確認することができる。SongwriterとしてもWanselは数々の名曲年を世に出している。そんなWanselが76年の夏にリリースした初めてのソロ・アルバムが本作である。The Planetsというバンドを率いてSynthesizerを駆使したSpace Funkともいうべき浮遊感のあるJazz Funkが展開されていく。PlanetsはTenoer SaxとFluteを演奏する、今やGeorgie FameやBen Sidranとの活動でお馴染みの大好きなBob MalachにTrumpetのAl Harrisonをフロントに配し、ギターのCalvin Harris、ベースにDerrick Graves、ドラムスにDarryl Brownという5人組である。また女性Chorus隊にThe Ingram Kingdom~IngramのBarbara IngramとCarla Benson、Evette Bentonの3人から成るThe Philadelphia Angels、The Sweethearts of Sigmaとも呼ばれたSweetheartsを迎えている。
『Life On Mars』はDexter WanselがPhiladelphia International Recordsから76年にリリースしたアルバム。
アルバム1発目はいきなりCosmicなSynhesizerが登場して幻想的なOpeningから一気に宇宙へ突き抜けていくようなFunk Tune “A Prophet Named K.G.”。ぶっとくウネるDerrick Gravesのベース、Darryl Brownの引き締まったドラムスによる疾走感に満ちたリズム隊に煌びやかなStringusを纏って、Al HarrisonのTrumpet、Bob MalachのTenor Saxが宇宙を駈けぬける。
Instant Funkのメンバーをバックに従えたアルバム・タイトル曲“Life On Mars”。これまたイントロはSnthesizerが幻惑するが妖艶なThe SweetheartsのChorusを従えSlap Bassが炸裂する重心の低いJazz Funkが展開される。WanselのFunkyなエレピ・ソロもSpacyなSynthesizerソロもご機嫌である。
Terri WellsのVocalをFeatureしたSpacyなBallad“Together Once Again”。
スリリングなUnisonで始まる“Stargazer”はJack FaithがArrangementを担当した躍動感と疾走感に溢れるDiscotiqueなFunk。MalachのFluteをはじめ管楽器が華麗に舞いStringsがPhillyな香りをふりまいていく。勿論Wanselのエレピ・ソロも気持良すぎ。
“One Million Miles From The Ground”は女性Chorusを従えてWanselがGentleなVocalでRomanticに迫る。バックのエレピやSynthesizerもイイ感じ。
“You Can Be What You Wanna Be”は再びInstant FunkのBottomの低い演奏を従えた漆黒のFunkが華麗なStringsと鮮やかなConrastを描き出す
“Theme From The Planets”はアルバムで一番お気に入りのCosmic Funk。タイトでタメのきいたリズム隊にStringsやSynthesizerがSpacyな雰囲気を醸し出し、MalachのTenor Saxソロが渋くキメる。
アルバム最後を飾るのは“Rings Of Saturn”。SynthesizerとエレピによるMysteriousなイントロからMalachのSaxが官能的なソロで魅了する。
(Hit-C Fiore)