Alain MarkusfeldはParis生まれのMulti-Instrumentalistで70年代後半に、あのEgg Labelからソロ・アルバムをリリースしていたことでご存知の方もいらっしゃるかもしれない。意外にそのキャリアは古く、60年代後半には、当時10代のMarkusfeldはバンド活動を開始していたという。70年にリリースされたTrustというPsychedelic Bandの唯一のアルバム『Le Mutant』にも参加しており、メンバーのギタリストDenys Lable、ドラムスのJean Schultheisらと自身のバンドMarkusfeldを結成している。同年にリリースされたAlain Markusfeldとして最初のソロ・アルバム『Le Monde En Etages』には、この2人が参加している。当時としてはかなり斬新な作品であり、既にMarkusfeldの卓越したギター・プレイと一筋縄でいかないComposerとしての才能が発揮された名作である。翌年リリースされた本作はMarkusfeldというバンド名義になっているが、後にZaoに加入するベーシストJoël DugrenotやLaurent ThibaultがProduceと鍵盤で参加しており中々興味深い。ドラムスはLes RockersのDynastie CrisisのGeza Fenzl、Sound Engineerとして知られるDominique Blanc-FrancardがMoogやVcs3などSynthesizer奏者として参加しているのも面白い。Markusfeldはギタリストとして当時としては相当演奏技術が高い方ではあるが、テクニックよりもサウンド志向であったのが興味深い。Markusfeldは本作発表後、しばらく音沙汰なく、77年にEggから『Le Désert Noir』をリリースして復活する。その後、Eggから1枚のスタジオ録音盤と2枚組のLive盤など作品をリリースするが再び表舞台から消えてしまう。映画音楽などを制作するなど裏方で活躍していたようだ。
『Le Son Tombé Du Ciel』はMarkusfeldが71年にBarclayからリリースしたアルバム。
アルバム1曲目はタイトル曲“Le Son Tombé Du Ciel”。いきなり9分越えの大曲だが中々聴かせてくれる。瞑想的なエレピのイントロから始まりギターが唸りを上げ、HypnoticでEasternなエレピやベースとギターが浮遊感に満ちた音空間を作り上げていく。PsychedelicでMeditationalな流れではあるが、ギター・ソロも盛り上がるところでフレーズをダラダラ垂れ流しではなくカッティングによるコード弾きで勢いをつけていくところがカッコイイ。
Effect処理をしたAcoustic GuitarとVocalが時代を感じさせる“L'Homme À La Tête Félée”。MarkusfeldのVocalは決して上手くないが、それらしい雰囲気を出している。バタバタと叩きまくりのGeza Fenzlのドラムスがイイ味を出している。
Heavyなギターが炸裂するHard Rock“Jubal”。ここでもVocalはEffect処理されている。2分足らずで終わってしまうのが惜しい。
MagicalなArpeggioで始まる“La Durée N'est Pas Le Temps”。Psychedelicな香りも漂わせつつ、Dugreneauのウネるベースが気持ち良い。MarkusfeldのアコギとGentleなVocalも実にイイ感じ。ギターのRiffに絡むSynthesizerも効果的。
Tumbaが鳴り響きRagaな雰囲気が漂う“Theleme”。嬌声など効果音も入って開放的な感じ。SitarのようなMarkusfeldのギターもイイ感じ。
アルバム最後を飾るのは“Eve”。優美なArpeggioで始まりDugreneauのContrabassが素晴らしい。Markusfeldの儚げなScatもイイ感じ。
(Hit-C Fiore)