Osannaといわれて、まず最初に思い浮かぶのは、反則かもしれないがこのアルバム『Preludio Tema Variazioni Canzona(Milano Calibro 9)』なのであった。Buenos Aires生まれの巨匠Luis BacalovがOsannaとCollaborationしたこのアルバムは、Fernando Di Leo監督により72年に公開されたPoliziottesco Film(イタリア犯罪アクション映画)『Milano Calibro 9(Caliber 9/The Contract)』のSoundtrack盤として知られており、日本では、同じくLuis BacalovがNew Trollsと、本作より前にCollaborationしたアルバムで同じSoundtrack盤『Concerto Grosso Per I New Trolls』と共に70年代後半、King RecordからEuropean Rock Collection 1800シリーズの目玉として、当時の欧州Rockファンから圧倒的な支持を得たのであった。友人のお姉さんの部屋で、それらのジャケットを見せてもらい、子供心に英米のRock Bandとは一味違ったArtな香りに満ちた雰囲気(ドイツ勢除く)に魅了され、後に中古レコード屋さんで、参考書代といってもらった小遣いを貯めて購入したのは懐かしい思い出である。さて、Osannaとしては71年リリースのDebut Album『L'Uomo』に続く2作目のアルバムとなるのであるが、静と動、光と闇が混在し、幻想的で混沌とした南イタリア的な土着性や呪術性に満ちたOsannaとLuis Bacalovの欧州的な抒情と哀感に満ちたOrchestraが絶妙のContrastを描きながら生み出されていく音世界は圧倒的な迫力と魅力に満ち溢れていた。ただし本盤は完全なOriginal SoundtrackではなくOsannaによる演奏は後にMilanで再録音されたものであり、実際に映画で使用されたのは、もっと荒々しいOsannaの演奏である。ベースのLello BrandiとドラムスのMassimo GuarinoによるItalyらしいドタバタした攻めのリズム隊にJimi Hendrix直系のDanilo RusticiのギターとElio D'AnnaのFluteとSaxが主役は俺だとばかりに煽りあう。そしてVocalのLino Vairettiは、ここでは最後の1曲のみVocalで後は素晴らしく効果的なArp 2600を弾いている。Osannaは次作となる73年の『Palepoli』で更なる高みへと昇り、唯一無比の存在となるのである。
『Preludio Tema Variazioni Canzona(Milano Calibro 9)』は72年にリリースされたOsannaが音楽を担当した映画『Milano Calibro 9』のサントラ盤。
アルバム1曲目はLuis Bacalov作の“Prelude”。SpacyなArp2600とFluteに導かれ謎めいたOpeningから重厚で哀感に満ちたLuis Bacalov指揮のOrchestraが登場し、それに抗するかのようにBlusyでWildなギターとベースとドラムスが乱入、Fluteもまじえて一体となった演奏が素晴らしい。
続いてもLuis Bacalov作“Theme”。ピアノとArp2600、Orchestra、Acoustic Guitarによる哀しみに満ちた美しいイントロからギターが泣き叫ぶRockな演奏とのContrastが絶妙で、後半再びOrchsterationとピアノとArpが織り成す欧州的な抒情と哀愁に満ちた世界で幕を閉じる。次曲からはOsannaの手によるナンバー。
“Variation I (To Plinius)”はShuffleのBeatにのってDanilo RusticiのギターとElio D'AnnaのSaxとFluteがAggresiveにキメまくる。
“Variation II (My Mind Flies)”はVibraphoneが幻想的なイントロからArpが唸りを上げ、Acoustic Guitarをバックに抒情的に歌い上げるVocalが登場する。そしてDanilo Rustici弾き倒しのギター・ソロが炸裂する。
“Variation III”はElio D'Annaの独壇場で荒々しいFluteがここぞとばかりに暴れ回る。
“Variation IV”はこれぞOsannaの13/8拍子の変拍子が炸裂するギターのRiffにのってFluteが浮遊していく。
“Variation V”はLino Vairettiが弾くMellotronが幻想的な世界を描き出している。
“Variation VI”はViolinから始まりDaniloのギターとMassimo Guarinoのバタバタしたドラムスがガチでぶつかり合うWildな演奏。そして混沌へ。
“Variation VII”はHeavyなギターとArpが混然としたJazz Rock。
アルバム最後をシメるのはOrchestraをバックにLinoが英語で歌い上げる“There Will Be Time”。歌詞はThomas Stearns Eliotの『Ash Wednesday』から引用している
◎Variazione I/Osanna
(Hit-C Fiore)