世の中には所謂、謎のProjectなるものが結構な数存在していて、まあ、大人の事情とか様々な要因が、そこにはあるわけである。そんな匿名のGroupには、とんでもない傑作/名作が埋もれていたりするのも、この手のブツを掘っている方々には周知の事実でもある。まあ、所謂、幻の名盤なるものである。それもそのはず、こういった盤には諸事情によって表立っては中々実現できそうもない大物のMusicianが顔を揃えている作品もあるわけで、Arrangementと楽曲さえ充実していれば、演奏も歌も一流の腕利きのMusicianとSingerの名人芸が、冴えわたるのが道理であるからだ(時と場合によっては不発のケースがあるのにはご用心)。今回ご紹介するThe G/9 Groupなる謎に包まれたGroupが残した唯一のアルバムもまた、そういった幻の名盤の一枚といっても良いかもしれない。まあ、言ってみれば企画盤なのであるが、Tom Jobim、Baden Powell、João Donato、Edu Lobo、Marcos ValleからCaetano VelosoやNonato Buzar、はてはThe BeatlesやCole Porterに至るまで名曲を集め、腕自慢の名手たちの素晴らしい演奏が楽しめるお気に入りの一枚である。CBSのProducerであるHenrique Gandelmanが集めたのは9名のメンバー。Gandelmanの頭文字の"G"と、演奏者とSinger/Chorusの9人の人数から名付けられたのがThe G/9 Groupというわけである。メンツは鍵盤奏者のDom Salvador、GuitarのNeco、ドラムスにWilson das Neves、ベースにSergio Barroso、PercussionにPedro Santos、Singerは魅力的な女性Vocalを聴かせるValeriaを筆頭にJoab、Edgardo、Zezéの4人。このLead Vocalを担当するValeriaなるHuskyで官能的なところもある女性Singerが少々拙い英語で歌うところもイイ感じである。極上の演奏と洗練の極みともいえるArrangementに脱帽である。
『Brazil Now!』はThe G/9 Groupが68年にリリースしたアルバム。
アルバム1発目は大好きなBaden Powellの“P'ra Que Chorar (I'll Take A Chance)”。艶っぽい女性Vocalがキレの良いリズム隊にのっていきなり心を鷲掴みされてしまう。
“Vesti Azul”はWilson Simonalの名唱で知られる鬼才Nonato Buzar作のCover。これをパパパパーヤーなご機嫌なオサレBossaに仕上げている。Coquettishな女性Vocalと男性Chorusの掛け合いも最高。
Edu Loboの名曲中の名曲“Ponteio”は男女混声Vocalで歌い上げる言わずもがなの極上の仕上がり。
João Donatoの“Sambou...Sambou (Alphabet)”。元曲のインストも最高だけど、Vocal入り(しかも英語)でも文句なしの名曲名演すなあ。
João Gilbertoが歌ったTom Jobim作の大好きな曲“Este Seu Olhar (That Look You Wear)”もHuskyなValeriaのVocalがたまらんすなあ。
Milton Nascimentoの名唱でも知られるMarcos Valleの“Viola Enluarada”はしっとりと歌い上げられたこみあげ系の名曲。
ご存知The Beatlesの“Lady Madonna”も小粋な仕上がりに脱帽。
Baden Powellの“Deixa (Let Me)”は疾走感に満ち躍動するリズム隊が最高。
Caetano Velosoのソロ1stアルバムに収録のPsycheな“Alegria, Alegria”のCoverは軽快な仕上がりが面白い。
『Elis & Tom』でのElis Reginaの情感タップリのVocalが忘れられないTom Jobim作“Retrato Em Branco E Preto”も洗練されたBossa風に仕上げている。
最後を飾るのはCole PorterのStandard“I've Got You Under My Skin”も切ないValeriaのVocalが最高。
(Hit-C Fiore)









