Mancini Tambem É Samba/Waltel Branco | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


 確か今から10年ほど前ぐらいまでは、都内の輸入CDショップに毎週足を運んでいたはずだ。その頃には、これまで全く手の届かなかったBrazilものの激レアな音盤が続々とCD化され始めていて、結構散財した記憶がある。勿論レコードで持っていたい音盤もあるし、実際持っていても思い入れのある作品は手軽に聴けるCDをついつい買ってしまうものではあった。実は、その頃はジャケ買いに関してはレコードよりCDの方が多かったかもしれない。本盤もその中の思い出深い一枚である。大変魅力的なジャケットである。そうはいってもWaltel Brancoの名前ぐらいは知っていた。BrazilのNovelaモノを買い漁っていた頃、Brancoの名前をよく見ることはあったし、『Meu Balanco』というBranco自身のアルバムは聴いたことがあった。何よりも当時入手したばかりのNovelaモノで大好きな『Selva De Pedra』のArrangementsを手がけた人物であったのだ。兎にも角にも、この音盤を手に入れて家に帰って聴いてみて驚いた。演奏が目茶苦茶カッコイイ!思わずジャケットの裏の細かい字で書かれたクレジットをよく読んでみると、Dom SalvadorMeirellesVitor MangaNecoの名前があるではないか。Henry Manciniの楽曲のCoverアルバムであるが、演奏の素晴らしさは勿論、茶目っ気たっぷりで明るく楽しい作品に仕上がっている。Musicianの高い演奏技術を上手くひき出しながら、見事に洗練されたアレンジでManciniの楽曲にさらなる魅力を付け加えていく才能は、素晴らしいの一言。なんと言ってもWitに富んだジャケットを思わせるような大人の遊び心が最高である。

 『Mancini Tambem E Samba』はWaltel Branco66年にリリースしたアルバム。
アルバム1発目はお馴染み“Peter Gunn”だが、それ風にアレンジされたHornのRiffをバックにいきなりMeirellesの艶っぽいAltoソロが飛び出してくる。
Lightly”はDom SalvadorElegantで粋なピアノ・ソロがFeatureされる。短すぎるが、なんとも心地良い演奏だ。
Victor Manga素晴らしいドラミングが堪能できる“My Manne Shelly”。
Manciniの代名詞ともいえる名曲“Moon River”を、こういうLatin風Bossa風に仕上げると、驚くほど見事にメロディーにマッチした楽しい作品になっているのは流石。MeirellesのAltoもイイ感じだ。
3管フロントで陽気にThemeを奏でる“Something For Sellers”はEdson MacielのTormbone、MeirellesのTenor、Pedro PauloのTrumpetと短いながら素晴らしいソロが続く。ピアノ・ソロも短すぎ。
Not From Dixie”もカラっとしたManciniの旋律を見事なアレンジでウキウキするナンバーに仕上げている。
MeirellesのAlto Saxソロが素晴らしい“Mr Lucky”。
泣きの名曲“Dear Heart”はDom Salvadorのピアノ・ソロをFeatureし、明るいけれど、どこか切なさを感じさせるナンバーに仕上げた。
お馴染み“The Pink Panther Theme”。MeirellesのTenorがソロでも抜群だ。
NecoViolaoソロが登場する“Sorta Blue”。
Salvadorのピアノ・ソロが素晴らし過ぎる哀愁の“Meglio Stasera”。リズム隊の躍動感も特筆すべき。
最後をシメるのはNecoのViolaoと切ないRiffを奏でるHorn隊をバックに流麗なフレーズで魅了する“Megeve”。何とも心地良い、これは最高。
(Hit-C Fiore)