Bula Quo!/Status Quo | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


 去年は黄金期のQurtetによるFrantic Fourのツアーもあり、個人的にはずっと熱病に冒されたの如くQuo祭りが全開であったのだ。さらに追い撃ちをかけたのが、この映画であった。アクション・コメディー映画とあるが、実はまだ観ていない。サントラ盤だけ一足先にGetして楽しんでいるのだ。それにしても70年代Vertigoの黄金時代のみならず、バンドのメンバーが脱退など一時的解散も経験した栄光と苦難の80年代、そして充実の90年代、貫禄と円熟の2000年代以降と、彼らは常にある一定レベルの素晴らしい作品を提供してきたことは驚きと賞賛に値する。アイドル・バンドから出発してPsyche~Boogieの王者として君臨してきた彼らは、Vertigo時代からBoogie一筋とか、Boogie一直線というイメージが強いし、自分も否定しないが、実は彼らが懐の深いバンドである事は熱心なファンならご存知であろう。例えば結成30周年にリリースされたCoverアルバム『Don't Stop』でのMady Prriorを迎えてのTradAll Around My Hat”はわかるにしても、Robert PalmerFleetwood Macの“Don't Stop”、The Beach BoysまでCovaeして自分たちの音楽にしている。元々彼らのCoverセンスは素晴らしいが2003年の『Riffs』でElvis Costelloの“Pump It Up”まで、原曲に忠実な解釈をしながらしっかりQuoサウンドに染め上げているのには驚いた。また、彼らのアルバムには決してHard Boogie一辺倒だけではない、必ず英国人らしいTradに影響を受けた陰影のあるナンバーが収録されていたり、70年代後期にはTropical風味の曲も登場したりする。が、Boogieも含めて、彼らの楽曲全て共通するのは英国のバンドらしさだ。不器用にみえて自分たちのIdentityをしっかり持ち続けながら、実はさまざまな音楽を自分たちなりに吸収してきた叩き上げのバンドなのだ。Fijiを舞台にした映画のサントラ盤である本盤でもそんな彼らの多様性と英国人気質も楽しめる物となっている。

 『Bula Quo!』は2013年に公開されたStatus Quoのメンバーが製作にかかわり、出演するStuart St. Paul監督による同名映画のサントラ盤。予告編しか観てないけれどQuoのコアなファンにとっては中々面白そうなシーンが続出であるが、日本公開は絶対ないだろうな。このサントラ盤は2枚組。映画用に準備された9曲の新曲と、2010年のLiveの6曲を含む、かつての名曲の再演10曲を収録している。そういえば、一昨年にはWeller兄貴まで登場したDocumentary『Hello Quo!』もあったし、ここ数年、Quoファンは盛り上がりまくりであろう。
 さて、本盤の新曲の9曲をご紹介。映画のサントラということもあり、従来の彼らのアルバムを期待してはいけない。とはいっても、再演曲も含めQuoらしいHard Boogieも楽しめるし、実はデビュー当初から持ち合わせていた彼らのBritish Pop職人としての優れたセンスも垣間見ることができる。
アルバム1発目はHardなRiffから始まる“Looking Out For Caroline”。相変わらずの口ずさめるメロディーが良い。
いつものQuo節というよりRick Perfitt得意の攻撃的なRiffが印象的な“GoGoGo”。最後にお馴染みのフレーズも飛び出すのはご愛嬌。
ArpeggioからHeavyなRiffが飛び出す“Run and Hide (The Gun Song)”はベースのJohn EdwardsとStuart St. Paul監督の共作。
これまたカッコイイRiffで始まる“Running Inside My Head”はドラムスのMatt Lately作。気怠く歌うVocalもイイ感じ。
Tropicalな曲調の“Mystery Island”。オルガンとSteelギターが心地良い。
All That Money”はParfitt作のMinor調のHardなナンバー
鍵盤奏者のAndy BownStuart St. Paul監督共作の“Never Leave a Friend Behind”。Double Vocalで歌われるこの曲もPopだけど中々いいメロディーのナンバー。
Edwards作の“Fiji Time”はオルガンとギターRiffが奏でるTropicalなナンバー。80年代の10CC風の面白さがある。
この映画のTheme曲“Bula Bula Quo(Kua Ni Lega)”。Rossiらしい親しみやすいメロディーが、それ風のRhythmとChorusにのった楽しいナンバー。
Bula Bula Quo/Status Quo

(Hit-C Fiore)