Super Ape/The Upsetters | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC



 本年もよろしくお願い致します。

 さて、単純なもんで猿ジャケといえば、自分はずっとコレですな。Black ArkのMagicに未だに魅せられ続けている自分にとっては、この音盤は一生モノ。ReggaeもDubも何もわかっちゃいないPunk上がりが10代の時に出会って、ただひたすら気持ち良すぎる音の中に迷い込んでしまった思い入れのある一枚でもある。個人的には『Return Of The Super Ape』の方が聴いている回数は多いと思うのだが、自分にとっても音楽に対する考え方が変わってしまったこの名盤に敬意を表して。音響処理された様々なPartsの空間への独自の配置というのは、今でこそ容易にやりやすくなったけれど、その人の才能によって、ここまで心地良い独創的な作品も出来上がるのである。正月からこんなに気持ち良いブツ聴いちゃって、この一年、本当に大丈夫であろうか?(笑)それにしても心地良すぎて脳みそが溶け出しそうなLee "Scratch" Perryのぶっ飛びまくったお仕事には脱帽である。73年の12月から始まって実質は78年までBlack Arkで生まれ続けてきた音響の魔法は、正に奇跡というか神がかりとしか表現できない。この頃のPerryの頭の中はどうなっていたんだろうなどと、そのExcentricな創造性の謎ときに夢中になったものである。とはいえ、難しいことなど何も考えずにボケーッとして大音量で聴くのが正しいのかもしれない。

 『Super Ape』は76年にリリースされたLee "Scratch" PerryがProduceとEngineerを担当し、彼のスタジオ・バンドThe Upsetters名義でリリースしたアルバム。
アルバム1発目はNyabinghiなドラミングから始まる“Zions Blood”。勿論、演奏も歌も最高なんだけど、この最小限に音数を抑えた気持ち良さは一度ハマると抜け出せない。
Prince JazzboToastingEarl "Chinna" Smithのギターが最高の“Croaking Lizard”。
低音でぶっとく蠢くBoris GardinerのベースとHorn隊がたまらない“Black Vest”はMax Romeo & The Upsettersの“War In a Babylon”の黒々としたVersion。
脱力した女性Chorusが幻想的な世界を描く“Underground”。
Curly Dub”は気持ち良く躍動するリズム隊にのってPerryのVocalもイイ感じ。
B面になると煙たく思いリズムの“Dread Lion”でスタート。Fluteが気持ち良すぎ。
Major Seventh甘い響きFlutePercussion心地良いアクセントをつけていく“Three In One”。勿論、Vocalも最高。
Minor調ゆったりしたリズム隊に絡むHornが夢の向こう側へ誘う“Patience”。
極端に減らされた音数が何とも気持ち良い“Dub Along”。このベースラインに女性Chorus、ツボ突きまくりっす。
最後を飾るのはタイトル曲“Super Ape”。まるで子供が遊びで吹いているような下手くそで素朴な縦笛?とVocal、Chorusが切な過ぎで、この終わり方はたまらんものがある。
(Hit-C Fiore)