あっという間に10月、残すところ今年もあと1/3になりましたね。
音楽業界に限らず他業種でも、見えない敵=新型ウィルスとの闘いは相も変わらず続いてます。
感染に対する脅威はもとより、人々の生活を一変させ、人の心まで変えてしまったようにも見受けられて、いったい【元通り】になるのはいつなのかと、日々悶々としているのは俺だけではないはず。
当ブログや各SNSでお知らせしている通り、平年並みとは行かないまでも、徐々に人前での演奏活動(LIVEって言えよ)も再開しております。これもひとえに各会場の対策及び対応の賜物、改めて御礼申し上げます。
さて【見えない敵】といえば、古くは公害病というものがありました。良く知られているものは【四大公害病】(=水俣病/第二水俣病(阿賀野川有機水銀中毒)/四日市ぜんそく/イタイイタイ病)と呼ばれ、社会の授業でも触れられていたので覚えています。戦後日本の高度経済成長期の中で、工場廃水による水質汚染や大気汚染が原因で引き起こされた病。今でも病床におられる方もいらっしゃると思います。
他方、同年代(昭和中~後期生まれ)の皆さんは【アスベスト(石綿)】をご存知ですよね。身近なところでは理科の実験で用いられていた石綿付き金網。アルコールランプとビーカーを使う時には必ず使用してました。あの四角い金網の中心部分にある円形の灰色、あれが石綿=アスベストです。他には吸音や断熱、耐火性に優れていることから学校施設の建材にも使われていました。体育館の天井などがそれです。
この【アスベスト】とは繊維状に変形した天然の鉱石で、繊維1本の直径は0.02~0.35μmというので、空気中に飛散した場合には肉眼で確認できません(毛髪の1/5000)。かつてはその性質から『奇跡の鉱物』として広く珍重されていましたが、1970年代に入ってから発がん性(肺がんや悪性中皮腫など)が問題となり、2011年度をもって日本ではこれを使用した製品は製造されないことになりました(※以上Wikipediaより一部引用)。
これらがもっと身近にあった、アスベストを原料の一部とする製品を製造していた工場に勤務していた方が後年肺がんや中皮腫となり、その被害がメディアにも大きく取り上げられています。『クボタショック』などは記憶に新しいところです。また一方で、アスベストを扱っていた工場の近隣に住まわれていた方の中にも前述の病気を発症される方がいらっしゃるようですが、因果関係を立証することが難しく、行政の補償(検査や、その後の治療費など)を受けるのも困難といいます。
他人ごとではありません。
我々も多かれ少なかれ、知らないうちに吸引していたかも知れません。そして1970~90年代に建てられた建築物の多くに使用されており、これらがこの先解体される時に飛散し、吸引する可能性もゼロではありません。それどころか、これから罹患者の増加も懸念されるのです。
実は…最近ごく身近な人のご親族が、発症から5年間の闘病の末に悪性の【胸膜中皮腫】で亡くなりました。子供の頃、近所に石綿セメント管の工場があり、そこから空気中に飛散したアスベストを吸い込んでいたのが原因とのことです。【胸膜中皮腫】の原因の大部分はアスベストであることがわかっており、発症までは40年前後(個人差あり)の潜伏期間があるところから、俗に“静かな時限爆弾”と呼ばれているそうです。
→蛇足ながら、このセメント管は主に水道管などに用いられていたようですが、これを通過した水道水中のアスベスト残存量は問題ないレベルとのこと(※厚生労働省資料より)。
そう、前述した通り『他人ごと』ではないのです。
仮に小学校で吸い込んでいたとしたら…そろそろですから(=発症まで40年前後・前述)。
なお胸膜中皮腫の生存期間中央値は18.5ヶ月、約1年半です。
以上、怖いのはウィルスだけではありません、という話でした。