1月下旬、近所をぶらぶらする中でふと感じた
「人が野生生物に興味を持つのはどんな瞬間か?」を
撮影写真と共に綴る、ちょっと変わった記事をアップします。
あくまで個人的な考察ではありますが
もしかしたら生きもの以外にも当てはまる部分が
多少あるかもしれませんので、一つの意見として
ご一読いただけますと幸いです。
何てことのない、戸田市内の住宅街の運河。
真っ直ぐな人工護岸で植物もあまり生えない
如何にもな「街中の水路」という印象です。
ただ、近くに戸田ボートがある上に
そのすぐ向こう側には荒川本流が流れていることもあってか
住宅街の割には結構よく水鳥が訪れます。
写真は、水路の中に浮くたくさんのヒドリガモを
道行く人が足を止めて観察しているシーンです。
左上の方には水浴びをしてバタついている個体もいます。
ヒドリガモ自体は比較的ポピュラーな冬鳥で
自然公園等ではバードウォッチャーから無視されることもしばしば。
しかし、これはあくまで目の肥えた人の話であり
普段鳥を観察しない方であれば「ヒドリガモ」という
鳥の名前すら知らないのが当たり前です。
そうした一般の戸田市民の目から見れば
カルガモとはどこか違うカモが集団でバタついているのは
純粋に珍しい光景として映ります。
この「珍しい」というのが、人が興味を持つ第1のポイント。
すなわち「意外性」です。
都会の川という、生きものとかけ離れたイメージの強い場所に
何羽もの水鳥が集まっている様は、確かに意外に映るもの。
天然記念物や絶滅危惧種、あるいは迷鳥などの
珍しい生きものが現れると、Web上で情報が共有され
カメラマンが集まるのもこれに起因すると言えます。
(例:熊谷市のオオキアシシギなど)
ヒドリガモをクローズアップ。
この鳥単体だけでも、全く鳥を知らない人からすれば
頭にリーゼント模様のあるきれいなカモと映るかもしれません。
すなわち、見た人にどこまで知識があるかによって
「意外性」の度合いも変わってくると言えます。
また、トップ写真で鳥をまじまじと観察している方は
この近くにお住まいの方のようでしたので
冬場の散歩中・外出中にヒドリガモを見かける機会は多く
もしかしたらそんなに珍しい存在には映っていなかったかも?
では、これはどうでしょうか?
上記の通り、この日のヒドリガモは水路で
バタついて水浴びをしていたのですが
こういうシーンはいつでも見られるものではありません。
集団だったこともあって水音も結構激しく
これが道行く方の興味を惹いたとも受け取れます。
つまりこれが第2のポイント
「躍動感」です。
珍しくない鳥であっても、例えば食事シーンだったり
縄張りを争って喧嘩をしたり、そういうハッキリとした
「動き」のある場面に出くわすと、一般の方はもちろん
生きものへのコアな知識を持つ方も興味を持ちます。
カワセミはその最たるもので、決して珍しい鳥でなくなった昨今でも
高い機材を持つカメラマンが狩りの瞬間を狙って
恩田川やいたち川に駆け付けることは多々あります。
上記の第2のポイント「躍動感」は
集団になることでますます見栄えを増します。
そして、上記のカワセミにつきまして。
この日(1月末)は戸田ボートのわかりにくい位置に
1羽だけ姿を現しましたが、もちろん上記の運河など
わかりやすい位置に出現することもあります。
その場合はヒドリガモ以上の「意外性」を発揮し
魚を獲る瞬間を見せれば「躍動感」も満たします。
まあ、見つからなければ元も子もないのですが……。
続いて、第3のポイントに話を移す前に
まずこちらをご覧ください。
冬の戸田ボートには多くのオオバンが暮らしており
浮いていることもあれば、写真のように陸に上がって
植物の種などを食べていることもあります。
オオバンは戸田市ではありふれた水鳥ですが
一番よく見るのは水に浮いているシーンなので
左のように陸地に上がって集団で食事したり
右のように立ったままジッとして脚を見せたりする時は
いずれも通常時より「意外性」が強く、関心を惹きます。
そして、同じような行動をする鳥として
戸田ボートにはヨシガモがいます。
もしカメラマンが同時にオオバンとヨシガモの
陸上での食事シーンに遭遇した場合
果たしてどちらにカメラを向けるか?
もちろん例外的なケースもあるのでしょうが
大抵の方はヨシガモの方を優先的に撮るでしょう。
遭遇率はヨシガモの方が低い(つまり「意外性」が高い)から
注目するという方も多いと思われますが
それ以上にしっくりくる理由は、偏に「美しい」から。
この「美しさ」こそが、人が惹かれる第3のポイントです。
このヨシガモの場合ですと
メタリックグリーンの頭部を始めとする「美しさ」
街中の公園に集団で現われて陸に上がるという「意外性」
草地に上がって必死に食事をするという「躍動感」
これまでに挙げた3つを満たしていると言えます。
そのため、公園を通りかかる人が
よく写真を撮っているのを見かけます。
距離によってはスマホでも撮影は可能です。
ただ、戸田ボートで練習をしている大学生の皆さんは
練習に集中しているからか、はたまたお馴染みの存在だからか
ヨシガモを見ても特段関心を示すことはありません。
戸田ボートを離れ、上戸田川へ移動。
こちらにはコサギ(左)やアオサギ(右)など
そこそこ大型の水鳥がよく姿を現します。
もちろん、水鳥としてはメジャーな存在ですし
バーダー系のSNSではなかなか注目されませんし
(映画のポスターに使われた際にちょっとアオサギが注目された程度)
これを目的に機材を担いで出かけるバーダーは
ほとんどいないのではないかと思われます。
しかし、川沿いをただ歩いている人たちは
結構こうしたサギにも関心を持ち、足を止めます。
もちろんこれには上記の「意外性」も理由にあるのでしょうが
もう一つ目を惹く点として、彼らの大きさがあります。
今更感があるかもしれませんが、サギはカモよりも大きく
近距離にいるとかなり印象に残ります。
この「存在感」が第4のポイントです。
以前、向島百花園に現れたカワウが
来園者に注目されている写真をアップしましたが
あれと同じで、大きい生きものほど注目されやすいものです。
やや「美しさ」とカブる部分もありますが
こちらは美的な魅力よりサイズ感や距離感からくるもので
近い位置で、かつ大きい生きものほど興味関心を惹きやすくなります。
トビ辺りは、珍しくもなく普段は高い位置を飛んでいるので
バーダーにも一般観光客等にも注目されることはありませんが
もし地上に降りて、なおかつ目の前でジッとしていたら
写真を撮りたくなる人も多いのではないでしょうか。
(実際、そういうトビを真剣に撮っていた方を見ています)
上記の「存在感」には、距離も大事。
鳥との距離が遠ければ注目されにくくなります。
写真は、同じく上戸田川にいたコガモの集団ですが
日陰な上に、ただでさえ小型のカモということもあって
頭部の美しいラインなどもイマイチ目立ちませんでした。
これでは、通りすがりの方には注目されにくいというか
気づかずにスルーされてしまうケースも多いでしょう。
本来であれば、街中のコガモというのは
「美しさ」と「意外性」を両立させているのですが
「存在感」に欠けるゆえに気づかれにくいようです。
これが、季節を問わずどこでも観察できる
カルガモやムクドリ辺りになってくると
「意外性」に欠け、ムクドリに至っては「美しさ」にも難があり
より注目度は下がってしまいます。
一方でこちらのドバト軍団(50羽以上いた)は
大集団で歩き回る故の「存在感」「躍動感」が秀でており
どこにでもいる外来種の鳥という立ち位置ながら
意外と道行く人に注目されやすかったかもしれません。
……とまあ色々と私見を述べましたが
野生の鳥や昆虫を公園や庭に呼び込みたいと考えた時
ターゲットとなる生きものを決める際には
この4つの比較ポイントをより多く満たす種を選ぶと
より充実したものになる……かもしんない(弱気)
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美しさ
躍動感
意外性
距離感



























































































