【英語】アラジン Friend Like Me 歌詞考察 | 海外で働くための英語&フランス語学習記録

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経歴:新卒→日本4年→大学院(日本3年&中国1年)→仏語圏3年→フィリピン2ヶ月→日本2年→仏語圏2年
英仏語レベル:
仏検2(2006,11)
TOEIC 775(2015, 7)
DELF B2(2018,6)
IELTS 6.5(2019,1&2)
TOEFL 79(2019,2)
TCF B2(2021,2)
DALF C1 (2022,9)←New!

アラジンシリーズの12回目です。

 

ディズニーアニメ映画アラジンのFriend Like Me英語版から、気になる歌詞を7箇所取り上げます。

1.Friend like me

2.Ali Baba had them forty thieves

3.Scheherezade had a thousand tales

4.You got some punch, pizazz, Yahoo and how

5.How about a little more Baklava?

6.I’m here to answer all your midday prayers 

7.I’m on the job, you big nabob

 

(英語)Friend Like Me

(日本語)フレンド・ライク・ミー

 

歌詞はこちら

【英語】アラジン Friend Like Me

 

1.friend like me

まずはタイトルから。

“friend”は「友だち」とか「親友」でいいのだろうか。

確かに、アラジンとジーニーのその後の関係を見れば友だちで親友で問題ないと思う。

でも出会った時点では、主従関係を想定しているのに、従者が主人に対して「友だち」を名乗るのは違和感があった。

コメディとして、あとジーニーのキャラクターとしての演出なんだろうか。

 

それとも英語のfriend、あるいはアメリカ文化なら問題ないのか?

もしくは、願いを叶えるというだけで、私が思ってるような強い主従関係はなくて、

Masterとか呼んではいるけど対等な関係なのか?

 

一応、”friend”を英和辞典で引くと

 「支持者、後援者、共鳴者、味方、役に立つ(助けになる)もの」

という意味とともに、

 You will always find a good friend in me. いつでもお力になります。

という例文が載っている。

やはり日本語と英語のニュアンスにズレがあるのかな。

 

主従関係と考えると違和感だけど、

お店とお客の関係だと考えたらしっくりくるかもしれない。

気のいいお調子者の店主が、まだあまり乗り気になっていない見込み客にセールスしてるところだと考えたら、この雰囲気そのものな気がしてきた。

 

それから、このカタカナにしただけの日本語タイトル、プロの翻訳家とか作詞家の人でもうちょっとどうにかできなかったんだろうか。

 

 

2.Ali Baba had them forty thieves

英語も日本語「アリババには40人もの盗賊がいた」もだいたい同じ意味だけど、とても違和感がある。

なぜなら、これだとあたかも盗賊はアリババの手下のように聞こえるけど、

「アリババと40人の盗賊」の話では、アリババ(主人公)と盗賊たちは敵対関係にあるからだ。

私が知っているのと違う展開のバージョンがあるんだろうか。

 

あと、このthemが何なのかわからない。

 

(参考)

https://ja.wikipedia.org/wiki/アリババと40人の盗賊

 

 

3.Scheherezade had a thousand tales

シェヘラザードは『千夜一夜物語』の登場人物で、ササーン朝ペルシャの架空の王妃。

英語版には大した説明もなく、シェヘラザードを登場させてるけど、普通の人が耳にしてアリババ並みにわかるキャラクターなんだろうか。

日本語版で削られてるのは、そこまで認知されてないからだと思う。

 

千夜一夜物語は、別名のアラビアンナイトという呼び名の方が有名かもしれない。

シェヘラザードが王に、毎夜面白い物語を語り聞かせる形式で進行する構成になっている。

王が話を面白がって、次の話も楽しみにしているうちは殺されなくてすむという設定。

 

Wikipediaによると、起源は現在のイラクあたりで、ササーン朝ペルシア(226-651年)時代に各地の民話が中世ペルシャ語で編纂された『千の物語』が、8世紀後半のイスラーム帝国アッバース朝時代初期にアラビア語で『千一夜』として翻訳されたのが原型らしい。

1704年に仏語版”Les Mille et Une Nuits”第1巻が出版されてヨーロッパでブームになり、

1706年に英語版”The Arabian Night’s Entertainment”(ここで「アラビアンナイト」の呼称ができた)に翻訳されて世界中に広まった。

アメリカの独立は1776年なので、この英語版はイギリス版と考えられ、何れにせよ千夜一夜物語もしくはアラビアンナイトの熱狂はヨーロッパが中心だったということだろう。

日本語版は1875(明治8年)に英語版から初翻訳されたとのこと。

 

つまり、いわゆる「アラビアンナイト」的なイメージは、いわゆる「本場」で

醸成されたものというよりは、別の場所で作り上げられた歴史背景があったことになる。

だから、余所者が思い描いているようなアラビアンナイトな世界は、多分にデタラメなものなのかもしれない。

 

次に、「千」とか「千一」というのはもともと数が多いことを意味していただけで、オリジナルとして1001夜分のストーリーがあったわけではないらしい。

追加の一夜はどこからきたんだろう。諸説あるみたいだけど。

「千夜一夜」は日本語としてはおかしいようだけど、「千一夜物語」より「千夜一夜物語」の方が情緒があってとてもいいと思う。

 

そしてヨーロッパ人に色々な話が追加されていった関係で、色々なバージョンがある。

ここで出てくる「アラジンと魔法のランプ」とか「アリババと40人の盗賊」も含めて、「シンドバッドの冒険」や「空飛ぶ絨毯」など、今日よく知られている大半の話が後世になってから追加されていったものだという。

 

(参考)

https://ja.wikipedia.org/wiki/千夜一夜物語

http://www7b.biglobe.ne.jp/~yappi/tanosii-sekaisi/03_islam/03-06_alabian-night.html

 

 

4.You got some punch, pizazz, Yahoo and how

yahoo:やったぁ、ヤッホー(喜び・興奮を表す)、やかましく野次る

 

今日となっては、インターネットのヤフーにしか見えないけど、そもそもヤッホーって間投詞として存在していたとは。

米ヤフーの始まりは1994年(2017年に事実上解体)で、

ディズニーアニメ映画の『アラジン』は1992年なので、当時はこの歌詞からYahoo!を連想することはなかったわけだ。

 

(参考)

https://ja.wikipedia.org/wiki/Yahoo!

 

 

5.How about a little more Baklava?

バクラヴァは中東の甘いお菓子。

名前は初めて知ったけど、画像を見たら、ドバイ空港にいっぱい売ってるアレだ!と思った。パイ生地みたいなサクサクと、ナッツと、たっぷりの蜂蜜。

 

(参考)

https://ja.wikipedia.org/wiki/バクラヴァ

「「フレンドライクミー」の歌詞に登場するバクラヴァを食べてみた!」

http://love-performing-arts.hatenablog.jp/entry/friend-like-me-baklava

 

 

6.I’m here to answer all your midday prayers 

midday prayerとは、イスラーム教徒が一日に5回行うサラート(礼拝)のうちの昼すぎに行うもの。

各回の礼拝の名前には何種類かあるようで、この昼の礼拝は他にもLohor, Dhuhr prayer, Zuhr prayer, noon prayer等があるらしい。

それぞれの頭文字を取るとISLAMになるのがイスラームの語源、と書いてあるインターネット情報もあった。

 

(5) Isya(就寝前)

(1) Subuh(明け方から日の出まで)

(2) Lohor(正午から昼過ぎまで)

(3) Asar(昼過ぎから日没まで)

(4) Magrib(日没直後)

 

一方、「イスラーム」という言葉はアラビア語で「神に帰依すること」を意味するらしい。

 

(参考)

http://www.isc.meiji.ac.jp/~tomyam/q&a01.html

https://en.wikipedia.org/wiki/Zuhr_prayer

https://syukatsulabo.jp/article/346

https://www.ahmadiyya-islam.org/jp/論説/prayer/

http://asea.jp/faq/【イスラム教に関して】イスラムの語源と1日5回の/

 

 

7.I’m on the job, you big nabob

*nabob:

1. ナワーブ:ムガル帝国時代のインドの代官。

イギリス統治下では藩主の称号の一つとしてマハーラージャ等と同様に使われた。

https://ja.wikipedia.org/wiki/ナワーブ

 

2.ネイボッブ:(1.に由来して)18-19世紀のインド帰りの成金(特に英国人)。

https://ja.wikipedia.org/wiki/ネイボッブ

 

**ムガール帝国(Mughal):インド史上最大にして最後のイスラム帝国。1526年建国。1858年イギリスにより滅亡。

仏語版千夜一夜物語が出た1704年、英語版アラビアンナイトが出た1706年当時のインドはムガール帝国時代だったことになり、

ヨーロッパで流行り出した頃は、インドもイスラーム文化圏の中にあったと考えられる。

そして日本語版が出た1875(明治8年)はイギリス統治時代17年目だった計算になる。

 

***タージマハルはムガール帝国5代皇帝が王妃のために1632年から約20年かけて建てた廟堂。装飾美術の粋を凝らした白大理石造りで、代表的イスラム建築として知られる。

 

ムガール帝国、タージマハルについては次回も取り上げます。

(つづく)

 

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アラジンシリーズ

 その1【英語】A Whole New World

 その2【仏語】Ce Rêve Bleu

 その3【ケベック版】アラジン Un Nouveau Monde

 

 その4【日本語】アラジン アラビアン・ナイト

 その5【英語】アラジン Arabian Nights

 

 その6【英語】アラジン One Jump Ahead(ひと足お先に)

 その7【仏語】アラジン Je vole(ひと足お先に)

 その8【ケベック仏語】アラジン Pour Une Bouchée de Pain(ひと足お先に)

 

 その9【英語】アラジン One Jump Ahead (Reprise) ひと足お先に(リプライズ)

 その10【仏語】アラジン ひと足お先に(リプライズ)

 その11【ケベコワ】アラジン ひと足お先に(リプライズ)

 

 その12【英語】アラジン Friend Like Me

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