平成30年7月26日の愛知中部水道企業団議会第2回定例会の会議録がアップされたので、私の一般質問「水道料金引き上げの可能性について」をご覧ください。

愛知中部水道企業団は、長久手市、日進市、みよし市、豊明市、東郷町の水道事業を行っています。平成32年度までは水道料金を値上げしない方針ということですが、平成33年度以降は値上げの可能性があります。愛知中部水道企業団は昭和50年に設立され40年以上が経過しており、更新が必要な老朽化した水道管の割合がこの先どんどん増加していく課題を抱えています。

以下は愛知中部水道企業団議会のホームページから引用
http://www.suidou-aichichubu.or.jp/0305gikai/index.html
○10番(さとうゆみ議員) 10番、さとうゆみです。それでは、水道料金引き上げの可能性について、4点質問をいたします。
(1)平成30年3月に公益社団法人日本水道協会が愛知中部水道企業団の経営診断を行った結果、水道料金の引き上げの必要性をアドバイスしていますが、どのように受けとめているでしょうか。
(2)愛知中部水道企業団の内部留保金の過去5年間の推移はどのようでしょうか。
(3)法定耐用年数40年を超える水道管の割合はどのようでしょうか。その距離はどれだけで、更新費はおよそ幾らでしょうか。
(4)横浜市は、今年から横浜市水道料金等在り方審議会を設置し、水道料金引き上げを視野に入れた議論をしていますが、今後、愛知中部水道企業団で水道料金を引き上げる可能性がある場合、どのように議論を進めていくのでしょうか。
以上です。
○議長(佐野尚人議員) さとう議員の質問に対する答弁者、小島総務部長。
○総務部長(小島千明君) 総務部長の小島です。
ご質問の4点につきまして、お答えをさせていただきます。
初めに、1点目の日本水道協会の経営診断における料金算定についてでございますが、水道料金は、単に既存施設の維持管理に係る原価を賄うだけでなく、耐震化や老朽管路の更新等を行うための資金を企業活動の中で確保するために、資産維持費を計上するべきであるとの料金算定をする上での1つの指針と受けとめております。したがいまして、大口需要者の井戸切りかえなどで料金収入の減少が懸念される中ではございますが、ここしばらくは人口増に支えられる見込みとなっておりますことから、現在進行中の第1次水道施設整備計画の実施期間であります平成32年度までの3年間は料金改定を行わずに、確保できる内部留保資金の範囲内で事業を進めてまいりたいと考えております。
2点目の内部留保資金の推移でございます。5年前の平成24年度末の内部留保資金の残高は、約38億8,000万円でございました。直近の平成29年度末におきましては42億4,600万円でございますので、5年間で約3億6,600万円、内部留保資金が増加するという結果となりました。
次に、3点目の法定耐用年数40年を超える水道管の割合、それから距離、更新費でございます。更新費の算出が、昨年度実施しましたアセットマネジメントという仕組みの試算でしかデータがございませんので、平成28年度末の時点でお答えさせていただきます。まず、40年を超える管路の割合は約18%となっております。そして、その距離は316キロメートルでございます。そして、更新費用につきましては、平成28年度決算をベースといたしましたアセットマネジメントの試算でございますけれども、西暦で申し上げますと、2017年度から2056年度までの40年間の管路の部分の更新費用は1,015億円が必要という試算となっております。その他配水池などの施設や、また電気設備などのそういった施設等を含めますと、全体で合わせて1,265億円の更新費用が必要という試算結果となっております。
続きまして、4点目の今後の水道料金を引き上げる場合の議論の進め方についてでございますが、今後、本企業団において水道料金の引き上げが必要となった場合でございますが、愛知中部水道企業団水道料金審議会の設置及び運営に関する条例に基づきまして、水道料金審議会を設置いたしまして、水道料金のあり方について審議を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(佐野尚人議員) 再質問、さとう議員。
○10番(さとうゆみ議員) 平成32年度までの第1次水道施設整備計画の期間中は、人口増にも支えられて、確保できる内部留保金の範囲内で事業を進めていき、水道料金は引き上げないということがわかりました。しかし、平成33年度から始まる第2次水道施設整備計画と第3次アクアシンフォニー計画の実施期間中は、水道料金の引き上げが十分にあり得る状況であるように感じました。
そこで、1点目の答弁で、水道協会が現在の施設を管理する費用を賄うだけではなくて、耐震化や老朽管路の更新の資金を企業活動の中で確保するために資産維持費を計上すべきと指摘していると受けとめているとの答弁でありました。現在、愛知中部水道企業団では、資産維持費を計上していないので、資産維持費を導入することになれば、必然的に水道料金引き上げが避けられない状況になるのですが、全国の団体では、どれぐらいの割合で資産維持費を計上している団体があるのでしょうか。また、資産維持費を計上している団体が増えてきている理由は、例えば収益が下回る状況があるからなのか、要因をどのように把握していらっしゃるでしょうか。
次に、2点目の答弁で、内部留保金は、平成29年度末で約42億円あるということですね。42億円とは結構あるように感じますが、(3)の答弁で、40年間に管路更新だけで1,015億円かかると試算されているということでしたので、決して十分な額ではないのかなと思うところもあります。内部留保がある一方で、現在、借入金である企業債の残高は幾らあるのでしょうか。その残高は、類似の団体と比べて少ないのか多いのか、どのように認識をされていらっしゃるでしょうか。
また、水道事業は独立採算が原則で、市負担金を入れるということも困難ということですので、あとは国の補助金を増やしてもらいたいと思うところがあります。以前、私が水道協会へ行ったときにもらった資料を見ますと、水道関係補助金は、10年ぐらい前までは結構な額がついていたのですが、近年、驚くほどに減らされております。水道料金の引き上げは、管内全ての人々の暮らしを直撃するので、できる限り避けていただきたいと思いますが、今のエアコンの財政支援などと同様に、暮らしに直結した水道を国が主体的に支援することが必要だと私は考えますが、国に補助金をもっと増やすように働きかけを行えないでしょうか。
次に、3点目の答弁で、40年を超えている老朽化した管路が愛知中部水道企業団には316キロあり、全体の18%を占めているということですね。平成32年までの計画では、どちらかというと老朽管路の更新よりも、管路の耐震化に重点が置かれた計画になっておりまして、第2次アクアシンフォニー計画を見ましても、5年間で老朽管路更新事業は、目標値ベースで15キロしか進んでいないわけです。全国で老朽化した管路が突然破損し、大きな負担が集中して発生しているということも起きております。老朽化した管路の放置は、結果的に財政圧迫を招く可能性があるので、徐々に更新していくことが必要だと思います。そして、愛知中部水道企業団は、できてから40年以上が経過するので、先ほど平成28年度末で全体の18%が法定耐用年数の40年を超えているものだということですが、平成30年時点ではもう20%を超えているということで、今後もどんどん深刻化すると予想されます。これまでの計画では距離でしか目標が入っていなかったのですが、次の計画では、40年を超える管路の割合を何%にするという、距離ではなくパーセントで目標を入れる考えでしょうか。
4点目の答弁で、仮に水道料金を引き上げる場合は、愛知中部水道企業団水道料金審議会というものが設置されるということですね。その前に、今後、水道料金を引き上げる可能性が出てくるかどうかは、平成33年から始まる第2次水道施設整備計画が確定しないとわかりませんが、今年度から既に計画をつくり始めているということですので、策定までのスケジュールを最後にお聞かせいただきたいと思います。
以上です。
○議長(佐野尚人議員) さとう議員の再質問に対する答弁者、小島総務部長。
○総務部長(小島千明君) 総務部長の小島です。
再質問につきまして、お答えをさせていただきます。
まず、1点目の資産維持費を算入している団体の率でございますが、日本水道協会が昨年調べたデータでございますが、1,269団体に調査をした結果、資産維持費を算入している団体は527団体、率にして41.5%という状況でございます。また、資産維持費を算入しているかしていないか、する理由ですとか、そういったものにつきましては公表はされておりませんが、先ほど日本水道協会の算定要領に基づく資金の確保等が理由ではないかというふうに認識をしております。また、算入していない団体につきましては、料金の高騰を防ぐというようなことが言えるのかなというふうに考えております。
続きまして、2点目の企業債の残高でございますが、当企業団の企業債残高の平成29年度末の残高でございますが、24億5,948万8,460円でございます。この企業債残高が多い少ないかというのは、なかなか事業規模等によってわかりにくいところがございますので、総務省が公営企業の財務分析をする指標がありまして、水道料金収入に対する企業債残高の割合という指標がございます。これの指標でございますが、当企業団は、平成29年度末で42.4%でございます。 そして、愛知県内の30万人程度の団体、豊橋、岡崎、一宮、春日井、豊田、当企業団、6団体の割合を調べた平均でございますが、183.1%ということで、料金収入の1.8%ということでございますので、その分に比べると少ないのかなというふうに考えております。
続きまして、3点目の国庫補助金に関するご質問でございますけれども、当企業団が補助金を受けております基幹管路の補助金は、生活基盤施設耐震化等交付金という補助金のメニューでございまして、その中に老朽管更新事業というメニューがございました。しかしながら、老朽管更新事業の採択基準というのが、資本単価という採択基準が1トン当たり140円以上の団体じゃなきゃだめだというような厳しい基準がございまして、当企業団は98.3円でございますので、老朽管更新事業に係る国庫補助金につきましての採択は受けられないという団体になっております。この資本単価というのは、減価償却費等に対する1トン当たりの減価償却費等の費用の割合ということでございますけれども、その中で、実は私ども、全国組織であります全国水道企業団協議会という団体がございまして、こちらで、毎年、国のほうに陳情しているわけでございますけれども、その中で、陳情事項の中に老朽管更新事業の資本単価の採択基準の緩和ですとか、また、交付率の引き上げを図るというような陳情事項を盛り込みまして、去る7月18日に国の各機関に向けて陳情活動を行ったところでございます。
4点目のアクアシンフォニー計画に基づきます目標数値でございますが、議員のご指摘のとおり、現在、アクアシンフォニー計画ですとか、また第1次水道整備計画につきましては、基幹管路の耐震化事業を中心として事業を行っておりますので、老朽管更新事業につきましては、少しウエートが低いのが現状でございます。次期の事業計画におきましては、老朽管更新がメーンテーマとなる見込みでございますので、したがいまして、こうした取り組みが目に見えるような形で、議員のご指摘のように、更新率ですとか、そういった率を用いて表現してまいりたいと考えております。
最後に、次期の事業計画、アクアシンフォニー計画の策定スケジュールでございますが、次期のアクアシンフォニー計画は、平成33年度からスタートいたしますので、策定に当たりましては、平成29年度、前年度から取り組んでおりまして、平成29年度から32年度までの4年間で取り組んでおるところでございます。まず、平成29年度、前年度でございますが、こちらにつきましては、情報の収集ですとか現況の調査を実施してまいりました。また、平成30年度、今年度でございますが、人口の推計ですとか、また水需要予測ですとか課題の抽出、また、あるべき方向性の検討などを行ってまいりました。また、今年度から来年度、31年度にかけまして、アセットマネジメントの検証とあわせて、施設整備計画案の作成と財政収支計画の策定を検討してまいります。その後、施設整備計画に合わせて、31年度には、ソフト面の施策を盛り込んだ次期水道ビジョンを取りまとめていく予定でございます。31年度末には、パブリックコメント等を実施いたしまして、平成32年度当初には完成する予定で今取り組んでいるところでございま す。
以上でございます。