生憎の雨の中、先日、地元の小学校では入学式が行われたようである。若い父母に付き添われ、真新しい制服と黄色い帽子を身に着け、黄色い傘を差して登校する何人かのピカピカの一年生の姿を見ることができた。「親鳥に付き添われたひな鳥」のようである。
「科挙」(Chinese Imperial Examination System)は中国で行われた官僚登用試験制度で、制度として整えたのは隋の第2代皇帝、煬帝(569-618)。その後、唐の第2代皇帝、太宗(599-649)の時代に本格的に発展したとされる。
科挙とは、以下の3つを骨子とした「学力で出世できるシステム」である。
①実力(主に学問)で役人を選ぶ。
②家柄よりも試験の成績を重視する。
③主に儒教の知識(四書五経)を問う。
以後、科挙は約1300年続き、清朝末期の1905年、西太后(1835-1908)の時期に廃止されている。科挙は日本の「高等文官試験」(現在の国家公務員上級総合職試験)にも影響を与えたようである。
以下は、科挙に合格した後の得意・幸福の絶頂感を詠んだ孟郊(751-814)の詩である。孟郊が科挙に合格したのは、なんと46歳の時らしい。
今から48年前の今頃、京大の入学式を終え、希望に胸をふくらませていた頃の自分を、何処か思い起こさせる。
人生の節目に抱いたあの初心と高揚感を、歳月を経た今もなお心のどこかに持ち続けること――それこそが大切なのかもしれない。
「登科後」孟郊
昔日齷齪不足誇 昔日の齷齪(あくせく) 誇るに足らず
今朝放蕩思無涯 今朝放蕩(ほうとう)思い涯(はて)無し
春風得意馬蹄疾 春風意を得て 馬蹄疾し
一日看尽長安花 一日看尽くす 長安の花
(現代語訳)
昔の、あくせくと苦労していた日々など、今となっては誇るほどのものでもない。今朝は心がすっかり解き放たれ、喜びは果てしなく広がっている。
春風の中、思いどおりになった私は意気揚々として、馬も軽やかに速く走る。まるで一日のうちに都・長安の花をすべて見尽くしてしまいたいほどの気分だ。














