FREEDOM ONLY / GLAY | 安眠妨害水族館

安眠妨害水族館

オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

FREEDOM ONLY/GLAY

 

1. BETTY BLUE

2. Hypersonic

3. Winter Moon Winter Stars

4. FRIED GREEN TOMATOES

5. 永遠を名乗る一秒

6. 漂えど沈まず

7. BAD APPLE

8. Tiny Soldier

9. Holy Knight

10. 青春は残酷だ

11. 祝祭

12. 桜めぐり

 

 

約2年ぶりとなるGLAYのオリジナルアルバム。

メジャー通算で、16枚目となります。

 

本作の特徴は、アルバムに収録された全曲の作詞・作曲を、Gt.TAKUROさんが担当していること。

もともとメインコンポーザーではありましたが、近時は特に他のメンバーの個性を活かすアプローチも多くなっていて、遡ると「HEAVY GAUGE」以来、22年ぶりになるのだとか。

やはり、GLAYと言えばTAKURO節だな、と原点回帰するような作風になっていました。

 

ルーツとなっていた80年代、90年代のJ-POP、J-ROCKを、今のGLAYのサウンドで奏でてみる。

30年超となるGLAY史を象徴するアルバムに、というテーマで制作されたとのことですが、言い得て妙で、まさに、どこを切り取ってもGLAY、GLAY、GLAY。

笑ってしまうぐらいにGLAYでしかなくて、それが、なんだかほっとするのです。

音楽を聴くための様式が大きく変化し、技術にしても、流行にしても、目まぐるしく更新されていく。

多くのアーティストが、コロナ禍を転換期と捉え、そのサウンドをアップデートしていくのに対して、徹底して過去を掘る作業をしていたというのだから、いかにもマイペースな彼ららしいですよね。

 

実際、本作の収録曲は、1997年以降、世に出ていなかったデモの欠片を拾い集めてブラッシュアップしたものが大半とのこと。

なんならカセットテープの時代まで振り返ってGLAY史を辿ったとのことで、ベクトルとしては、ともすれば非常に内向的なものになっていたのかもしれません。

ただし、それを非常に前向きに捉えている。

自然体でノスタルジックな香りを漂わせるリアルタイム性を持ち合わせつつ、下手に現代風な味付けをせずに、素材を活かすサウンドで勝負。

阿吽の呼吸の域に達したメンバーごとのフレーズアレンジには、必要なチャレンジは言わずとも含まれているし、捨ててはいけない部分はきちんと押さえて。

彼らが等身大のサウンドを奏でれば、それが2021年のJ-POP、J-ROCKになるという自信が、気負いない姿勢の中に凛としてうかがえるのです。

 

Awesome City ClubのPORINさんをゲストヴォーカルとして迎えた「BETTY BLUE」、歌詞の吹っ切れ方が尋常ではない遊び心の鬼、「Hypersonic」、古き良きヴィジュアル系をGLAYのサウンドで昇華した感のある「Winter Moon Winter Stars」と、序盤からフレッシュさと懐かしさが洪水のようにごちゃまぜで訪れる。

ごちゃまぜだけど、混沌としている印象を受けないのは、何度も言うが"GLAYらしい"が詰まっているから。

誰が聴いてもGLAYらしいね、と口をそろえるであろう叙情的なナンバー「FRIED GREEN TOMATOES」にしても、GLAYと言えばウィンターバラード、と言わんばかりの「永遠を名乗る一秒」にしても、タイトルどおり青春の1ページを切り取ったような甘酸っぱさがあるポップチューン「青春は残酷だ」だって、何年経とうと最新であり最強のGLAY節。

リードトラック「祝祭」で壮大に盛り上げて、余韻を残すような「桜めぐり」でのエンディングまで、彼らの音楽が青春時代のどこかに引っかかっているリスナーにとっては、もうこれはたまらないといった構成なのです。

 

当然ではありますが、それは変化を求めていないことと同義であるはずがなく。

プロデューサーには亀田誠治さんを招いており、アレンジャーとしてYOW-ROWさんやTomi Yoさんも参加。

新しい解釈が混ざることで、また景色が変わってくるから面白いなと。

中でも、「BAD APPLE」、「Tiny Soldier」、「Holy Knight」のコンボは、しっかりとルーツを踏襲。

これまでにないアプローチが登場。

まだまだ、進化の過程であることを示していました。

 

なお、CDのみ、CD+DVDの2種類に加えて、G-DIRECT限定盤なる仕様も同時リリース。

リミックスディスクが付属するCD2枚組に、Blu-rayも2枚組。

更には、コンパクトミラーやアクリルスタンドまでセットされた豪華ボックスとなります。

長年、第一線で活躍するバンドの地力はこれほどか。

放たれるオーラに圧倒される1枚。

 

<過去のGLAYに関するレビュー>

NO DEMOCRACY

SUMMERDELICS

[DEATHTOPIA]

MUSIC LIFE
JUSTICE
GUILTY
GLAY
pure soul
BELOVED
灰とダイヤモンド