NO DEMOCRACY / GLAY | 安眠妨害水族館

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NO DEMOCRACY/GLAY

 

1. REIWADEMOCRACY

2. 反省ノ色ナシ

3. My name is DATURA

4. Flowers Gone

5. 氷の翼

6. 誰もが特別だった頃

7. あゝ、無常

8. 戦禍の子

9. JUST FINE

10. はじまりのうた

11. あなたといきてゆく

12. COLORS

13. 愁いのPrisoner

14. 元号

 

 

リーダーであるGt.TAKUROが、"言葉にこだわった作品"と語る、GLAYのメジャー通算15枚目となるオリジナルアルバム。

シングル5曲に加え、配信限定でリリースされていた「元号」を含む、全14曲を収録しています。

 

GLAYという個人が"嘘のない言葉"で、新たな時代に語りかける曲を集めた1枚、とのこと。

それは、元号が変わるというタイミングを狙ったメッセージであり、ある種、普遍的なロックバンドとして君臨している彼らが、瞬間性を意識した作品を発表するということに少なからず驚きましたが、確かに、彼らだからこそ後世に残せるメッセージがあるとも考え得るのですね。

現代社会に疑問を投げかける部分もあり、正しい意味でのロックスターの在り方なのかもしれません。

 

とはいえ、必要以上に説教臭くないのがGLAYならではのバランス感覚。

いきなり飛び込んでくるのが、「反省ノ色ナシ」という政府に向けたド直球のシニカルチューンなので、これはポリティカルに傾きすぎて辛気臭くなるのではないだろうか、なんて危惧したものの、必ずしもそんなことはなく。

インディーズ時代の楽曲「Flowers Gone」を再録してみる試みから推察すれば、本当にGLAY個人として、昭和から平成、令和を駆け抜けてきた彼らの軌跡を、言葉と音楽で振り返っているだけとも言えるのかと。

時代の総括なのだから、象徴するテーマとして政治的な話題も出てくるよね、といったところで、結局、政治的なイデオロギーを含んでいるというよりも、今を生きている人間の"共感"にアプローチする、いつものGLAYのスタンスなのです。

 

その意味では、「元号」にすべてが集約されているのだろうな。

政府ではなく、世界ではなく、あくまで"あなた"に届けたいメッセージ。

主人公は、そんな時代を逞しく生き抜く"あなた"であってほしいのだ。

 

音楽的には、Vo.TERUさんが作詞・作曲を担当した楽曲の存在感が高まりましたね。

清涼感のある「はじまりのうた」に、GLAYの新たな一面を引き出した「COLORS」。

特に、歌モノ枠となる「COLORS」は、等身大とでも言おうか、エモーショナルに感情を揺さぶるミドルバラードに仕上がっており、TAKUROさんの得意とする壮大なバラードとは違った魅力を放っています。

もちろん、Gt.HISASHIさん、Ba.JIROさんも、個性をアルバムに還元。

バラエティ性を広げており、作品を出すごとに武器を増やす貪欲な姿勢は健在でした。

 

小難しい言葉を使いつつも、キャッチーなメロディとTERUさんの説得力あるヴォーカリゼーションにより、全世代が共感してしまう。

そうだ、これがGLAYだった。

新たな時代に改めて、ロックバンドとしての存在価値を強く示した1枚。

 

<過去のGLAYに関するレビュー>

SUMMERDELICS

[DEATHTOPIA]

MUSIC LIFE
JUSTICE
GUILTY
GLAY
pure soul
BELOVED
灰とダイヤモンド