Sadgaze / dove dove dove | 安眠妨害水族館

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Sadgaze/dove dove dove

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1. Sadgaze

 

ex-yazzmadのVo.ナオキさんによるソロプロジェクト。

初音源となる、デジタルシングルです。

 

サポートメンバーには、ex-yazzmad、BräymenのGt.健希さん、ex-otoiro、ex-dishes are schemingのBa.オイヌマ ヒロキさん、The NostradamnzのDr.上邑 隼人さんが参加。

ナオキさんと親交の深い面々が揃ったという感触で、当然にして、ツボも知っているといったところ。

ナオキさんの過去のバンドが継続していたら、こういう音楽性に辿り着いていたのではないか、といったアレンジに仕上がっていて、既にコンビネーションは出来上がっていると言えるでしょう。

 

収録された「Sadgaze」は、内向的な歌詞を、浮遊感のあるサウンドに乗せて歌い上げるミディアムロックです。

序盤は、淡くぼやけたような色彩。

ふわふわと実態がないかのごとく、透明感のある歌声と、楽器の音色が遠くで響いているよう。

そんな空間を意識した音使い、このシーンでは珍しい気がしますね。

 

対して、サビ以降は、エモーショナルなバンドサウンドで、輪郭をくっきりと描いていきます。

シューゲイザーやオルタナロックを齧ったアンサンブルが、壮大に広がっていく光景は鳥肌モノ。

穏やかに歌っていたナオキさんも、気が付いたら感情が爆発しており、このスイッチの切り替えこそ、彼の表現力の肝だよなと。

プログレッシブな間奏も、楽曲のドラマ性を高めていました。

 

アレンジにより、とてもアーティスティックな風合いになっている一方で、メロディラインは実はキャッチーというのも見逃せない。

言葉を詰め込みつつ、印象的なフレーズはしっかりと聴かせ、シンプルにサビメロを弾き語りでもしたら、J-POPとしても十分に通用しそうなわかりやすさがあります。

もちろん、凝ったアレンジにしたことで、とっつきにくくなったわけではなく、普遍的なポップスに独自の解釈を加えて、オリジナリティを創出したことがポイント。

結果として、独りよがりではない、絶妙な匙加減でのアート性を生み出すことに成功しているのですよ。

 

春にはミニアルバムのリリースも予定しているとのことで、こちらも期待大。

ナオキさんの歌声が再び聴けるという喜びに加え、サポートメンバーがどのように作品に絡み、ケミストリーを起こしていくのかという楽しみな要素も。

まずは、配信中の本作を聴いて、来たるべき日に備えたいものです。