JACK THE LIPPER / JACK THE LIPPER | 安眠妨害水族館

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JACK THE LIPPER/JACK THE LIPPER

 

1. Dear Audience

2. JACK THE LIPPER

3.

 

 

LIPHLICHの別名バンド、JACK THE LIPPER。

本作は、2015年にリリースされた会場限定シングルです。

 

当時のメンバーは、Vo.久我新悟、Gt.新井崇之、Ba.進藤渉、Dr.丸山英紀。

作詞・作曲は、2曲とも久我さんが担当しています。

LIPHLICHの会場限定作品と同様、ふたつに折りたたんだ紙ジャケットに、CDを挟むだけという簡素な仕様。

せめて不織布のケースにも入れてくれればありがたいのだけれど。

 

「Dear Audience」は導入的なナンバー。

スリリングなSEをバックに、語りともラップともつかない、ぼそぼそとした英詞が重なります。

音楽作品というよりも、映画の冒頭のシーンといった雰囲気で、脳裏に映像が浮かんでくる。

こういう演出巧者っぷりは、JACK THE LIPPERに名義を変えても変わらない彼らのエンターテインメント性と言えるでしょう。

 

そして、メインとなるのが「JACK THE LIPPER」。

一応はバンド名を冠した楽曲となるのですが、この曲の世界観を最大限に活かすためにバンドのコンセプトを構築したと捉えたほうがしっくりきますね。

それだけ濃厚。

1曲の中での起伏が大きいので、何曲かまとめて聴いたような充実感がありました。

 

正直なところ、ネーミングからは激しさに振り切ってくるのかと想像していたのですが、テンポ的にはむしろスロー。

ひたひた、じわじわと迫ってくる暗闇のようなおどろおどろしさを纏っていて、従来、V系シーンで表現されてきた"切り裂きジャック"とは、だいぶ趣が違っているのが面白いです。

連想させるのは、狂気に任せて切り刻む殺人狂ではなく、知的で思慮深い紳士的なキャラクター。

救済として殺人を行っているような慈悲深さすら感じ、真のサイコパスといった雰囲気すら出ているのですよ。

音を止めて、仕切り直すことで、次のターゲットの話になったのだな、と想像させる演出も上手い。

 

シークレットトラックとして、30秒程度のSEも収録。

こちらは、何らかの意図がありそうですが、色々な解釈が可能かと。

次の物語に繋がる予告編ととるのか、物語の結末ととるのか、いずれにしても、たった30秒の演出によって、世界観がグッと広がっていることは間違いありません。

いかに表題曲を引き立てるか、それだけに特化した徹底っぷりに拍手。

5年前の楽曲にも関わらず、古さを感じない普遍性も見事と言える1枚です。

 

<過去のJACK THE LIPPER(LIPHLICH)に関するレビュー>

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