- HURRAH HURRAY(Type B)/LIPHLICH
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2. piropo
3. 脳裏のドロ
アングラ路線を貫きつつ、勢いを増しているLIPHLICHが放つ5thシングル。
Type AにはDVDが付属、Type Bには、ボーナストラック「脳裏のドロ」が収録されています。
「HURRAH HURRAY」は、いかにも彼ららしい。
ロードムービーのような世界観を持った、様式美ロック。
シンセやサンプリング音を巧みに操り、次々と展開される物語を歌い上げます。
異国をイメージさせる雰囲気の作り方と、アングラテイストは、とても一般受けしそうにはないのですが、このスタイルを貫いたことで、すっかり市民権を得ようとしているのだから驚かされる。
良くも悪くも、彼らの王道。
徹底された世界観の裏返しで、ライトなリスナーには、似たような楽曲が多いバンドとして捉えられてしまう懸念はあるでしょうか。
ところどころ、洋楽からのオマージュを取り入れた遊びも見られますが、スパイスがやや通好みになりつつあるので、シングルとしては、インパクトが薄いのかもしれないな。
そういう意味では、カップリングの「piropo」が、マンネリ打破の役割か。
懐メロ風のシンセが前に出たレトロポップな曲調は、とても意外でした。
ボーカルのミックスや歌い方も、他の楽曲とは変えてきていて、軽快でソフトなタッチ。
優しく、さらっと歌うスタイルも、なかなか似合うものですな。
はじめは、軽すぎるかと思っていたが、段々と癖になってきた。
これは、世界観を壊すのではなく、世界観を広げる位置づけで収録されたに違いない。
「脳裏のドロ」は、ジャジーなイントロや、落ち着いたメロディ運びが、大人びたイメージを与えるミディアムナンバー。
序盤は、じっくりと時間をかけてLIPHLICH色に空気を染め上げ、間奏以降は、見せ場を増やして、アグレッシブに展開されます。
とらえどころがない楽曲ではあるのですが、歌謡曲テイストが強いサビの部分で、Vo.久我さんの感情を込めた歌声が響くと、胸にこみ上げるものがある。
スイッチを切り替える役割を担う、ギターやベースの個性豊かなフレーズも、聴きごたえたっぷりですね。
彼ららしいシングルである。
シーンに媚びるわけではなく、自らの可能性を信じているからこその構成。
ベースとなる世界観はしっかり継続し、生まれてくるアイディアも、どんどん吸収していく。
マイペースに見えるけれど、必ずしも、足並みが遅いというわけではないのだよなぁ。
ただし、安定期に入ったということになるのか、衝撃度は、過去のシングルと比較すると弱い。
そこをどう捉えるかで評価は割れそうですが、クオリティは、相変わらず高いのも事実。
メンバーのキャラが立ってきたタイミングで、本作により、足場を固めたといったところでしょう。
Ba.進藤さんのヴィジュアル以上のインパクトを楽曲で残したい。
そうすれば、確実にもう一歩前に進めるバンドであると思うだけに、次回作では、ガツンと一発ぶち込んでほしいものです。
<過去のLIPHLICHに関するレビュー>
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