CLUB FLEURET / LIPHLICH | 安眠妨害水族館

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CLUB FLEURET/LIPHLICH

CLUB FLEURET CLUB FLEURET
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1. CLUB 「F」

2. FLEURET

3. Fの地雷

4. コンドルとクインテット

5. アンドゥトロワ・ユーダイ

6. キーストーン

7. 書

8. ダイヤの4P

9. 不埒

10. RIDE ON ME

11. ホロウ

12. saying

 

LIPHLICHの通算5枚目となるオリジナルアルバム。

タイトルには、"聴いてくれた人のハートを鋭くどこまでも深く突き刺したい"という意味が込められているようです。

 

なんというか、このバンドはやはり面白い。

1年ぶりのリリースとなったフルアルバムで、改めてリスナーを驚かせてくれた彼ら。

複数売りをしない強気の姿勢にも、自信を感じずにはいられません。

 

何が面白いって、これまではV系の外に下地を持つバンドとして、特異な世界観やサウンドにより差異化を図ってきたLIPHLICHが、V系バンドとしてのプライドを賭けてガツガツ攻めているように思えたから。

もちろん、代名詞である異国的でシネマティックな演出は本作でもしっかり見られるのだけれど、あえてベタな方向にも振り切れることで、シーンに真っ向勝負を挑んでいるのだ。

 

それは、"F"で連なる序盤の3曲コンボにしても、スピーディーにまくしたてる「アンドゥトロワ・ユーダイ」にしても、ダークで退廃的な「書」にしても、クラシカルなシンセが耽美さを煽る「RIDE ON ME」にしても。

アプローチは様々なのだが、ひとつひとつが付け焼刃ではない濃厚さで押し寄せる。

70年代風のレトロ感がたまらない「ダイヤの4P」、ファンキーなデジタルチューン「不埒」が続くアクセントパートも効いていて、聴きごたえは抜群ですね。

 

そのうえで、極め付けが「saying」。

どこか悲壮感があるスローバラードなのだが、後半に向けてどこまでも広がっていく構成になっており、グッと心を掴まれる。

特に、意図的に感情を込めずに歌われる"言いたいことがたくさんあった"からの流れが、すべてをさらっていくぐらいに神懸り的。

「ホロウ」で盛り上げ切った後に、こんなにも切ないナンバーを持ってくるなんて。

ラストにこれはズルいだろ、と唸ってしまいました。

 

なお、先行シングルは収録されず、全曲が書き下ろし。

これだけのアイディアを形にしながら、楽曲の制作ペースが落ちていないというのも凄いものです。

変わらない良さと、新たなチャレンジのバランスも絶妙。

すっきりまとまっている感もあり、入門書としてもぴったりな1枚と言えるでしょう。

 

<過去のLIPHLICHに関するレビュー>

発明

幻想曲
DOUBLE FEATURE
蛇であれ 尾を喰らえ
7 Die Deo
SKAM LIFE
SEX PUPPET ROCK'N'DOLL
カルトなでしこ
萬の夜に鳴くしゃれこうべ
GRATEFUL NONSENSE
HURRAH HURRAY
フルコースは逆さから
マズロウマンション
MANIC PIXIE
SOMETHING WICKED COMES HERE AGAINST YOU
LOST ICON’S PRICE
Pink Parade Picture
月を食べたらおやすみよ
Ms.Luminous
6 Degrees of Separation
SOMETHING WICKED COMES HERE