三千世界 / LIPHLICH | 安眠妨害水族館

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三千世界/LIPHLICH

 

1. 三千世界

 

 

4月に4曲入りのデジタルシングルをリリースしたばかりのLIPHLICHから、早くも届けられた2020年第二弾となるデジタルシングル。

 

本作は、新体制の第一弾として発表された「ケレン気関車」の"プロローグシングル"とのこと。

配信日には、続編となる「ケレン気関車 弐」のリリースも発表され、「三千世界」→「ケレン気関車」→「ケレン気関車 弐」という時系列のコンセプト作品になっていることが明確になりました。

正直なところ、新体制の一発目、バンドとしても2年ぶりの新作となった「ケレン気関車」。

あくまで"LIPHLICHにしては"ではあるのだが、企画面でのインパクトに欠けるなと感じており、コロナ禍の中での見切り発車でもあったのかなと思っていたのだが、いやいや、全然そんなことはなかったぞ、と。

放っておいても話題になる復活作を伏線として使い、第二弾、第三弾と畳みかけることで、ワクワク感はより一層高まりましたね。

 

さて、その「三千世界」は、ドリーミーで幻想的なナンバー。

作曲はDr.小林孝聡さんが担当しており、彼らとしては異色とも言えるエレクトロな質感が、スペーシーな世界観を浮かび上がらせています。

Vo.久我新悟さんも、あえて優しく、消え入りそうな歌声を徹底しており、広大な宇宙の中にたったひとりで立っているような儚さ、ちっぽけさを表現しているのかな、と思わせる。

楽曲の展開としてはシンプルに、無駄なく構成している一方で、このサウンドワークと歌声とのバランスにより、リスナーには壮大なスケールを想像させてしまうのだから、新境地に踏み込み意義はあったのだなと感心しきりですよ。

 

音楽シーンが全体的に停滞している昨今の情勢下で、前向きな仕掛けを次々と発表して気を吐くLIPHLICH。

彼らのエンターテインメントと向き合う姿勢には、頭が下がるばかりです。

 

<過去のLIPHLICHに関するレビュー>

ケレン気関車

CLUB FLEURET

発明

幻想曲
DOUBLE FEATURE
蛇であれ 尾を喰らえ
7 Die Deo
SKAM LIFE
SEX PUPPET ROCK'N'DOLL
カルトなでしこ
萬の夜に鳴くしゃれこうべ
GRATEFUL NONSENSE
HURRAH HURRAY
フルコースは逆さから
マズロウマンション
MANIC PIXIE
SOMETHING WICKED COMES HERE AGAINST YOU
LOST ICON’S PRICE
Pink Parade Picture
月を食べたらおやすみよ
Ms.Luminous
6 Degrees of Separation
SOMETHING WICKED COMES HERE