シン世カイ/DaizyStripper
シン世カイ[A-TYPE]
3,233円
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1. コスモス
2. TIME CRUISE
3. TOXIC PEOPLE
4. CHLOE
5. CALLING U
6. innocence
7. Adam
8. 罪な罰
9. BLACK DROPPer
10. STARGAZER
11. MY WAY
4タイプ同時にリリースされたDaizyStripperのミニアルバム。
A-TYPE、C-TYPEには、5曲のアコースティック音源も収録されています。
"未体験な新曲"を詰め込んだ作品ということで、新鮮なアプローチが次々に訪れるのが本作の特徴。
結成11年という円熟期において、改めて挑戦色を強めたアルバムをドロップしてしまうのが、実に彼ららしいですね。
リードトラックとなる「コスモス」は、L'Arc~en~CielのKenさんによるプロデュース。
Ba.Reiさんが初となる作詞を手掛けるなど、話題性にも欠きません。
その「コスモス」ですが、まさかこういう路線でくるのか、という刺激的な作風。
ブラックミュージックに、民族音楽的な要素を加えたようなリズムワーク。
ギターのシンプルなリフが、タイトル通りにスペーシーな感覚を与えていて、とにかく斬新としか言いようがない。
リードトラックとして、いや、ヴィジュアル系バンドの楽曲として異質な響きにより、決して激しいナンバーではないにも関わらず、大きなインパクトをもたらしてスタートを切りました。
「TIME CRUISE」は、シティ感のあるお洒落なサウンド。
レンジの広い夕霧さんの歌声が活かされた、アダルティなメロディに痺れる。
シンセのリフレインも中毒的です。
本作中、もっともカオティックに攻めているのが、「TOXIC PEOPLE」。
エフェクトを多用しており、無機質なサウンドとガツガツとしたバンドサウンドの混在が面白いな。
テンポこそ速くはないが、激しさを示しており、「コスモス」へのカウンターとして"毒"をテーマにしているというのもロック。
余談だけれど、毒に侵される表現について、MASCHERAの「毒殺」を思い出した古株リスナーもいたのでは。
爽やかで切ないフレンチポップ風の「CHLOE」、英詞のみで構成されたロックチューン「CALLING U」と、後半戦もまだまだ新機軸を持ってくる。
こんなに引き出しが残っていたのか、と感心しつつ、しっかりDaizyStripperらしいと思えるから不思議なものですよ。
本編ラストとなる「innocence」へ繋がる歌詞なんかも出てきて、気が利いています。
さて、ラストの「innocence」、ストレートなメロディアスナンバーで、小細工不要の良さがありました。
率直に言って、楽曲のタイプはすべてバラバラ。
最終的に、どうやってまとめるのかというハードルの高さがあったわけですが、それを易々と飛び越えるキラーチューンっぷり。
メッセージ性の強いポップロックを、嫌味なく響かせることができるのは、DaizyStripperの強み。
これがなければ、このアルバムは締まらなかっただろうな、と。
全体的に、スピード感は抑え目。
これだけ個の強さに拘った作品だから、ひとつぐらい突き抜けたファストチューンがあっても良かったのですが、敢えてセオリーに乗らないのが、この作品では正解な気もする。
好き嫌いは別として、この反骨精神は、きっと次への伏線になっているはず。
メジャー進出により、落ち着いてしまった、というありきたりな批評ではしっくりこないギラギラしたものを感じるのですよね。
なお、アコースティックの5曲についても、アプローチは様々で聴きごたえあり。
熟成されたコンビネーションが堪能できますし、大人びた雰囲気は本編とも合致。
これらが入ったから、世界観が損なわれるということもありません。
ミニアルバム+ボーナストラックというよりも、コンセプチュアルなフルアルバムと捉えてもよさそうな1枚です。
<過去のDaizyStripperに関するレビュー>