TRAGUS / DaizyStripper | 安眠妨害水族館

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TRAGUS [初回限定盤]/DaizyStripper
¥3,980
Amazon.co.jp

1. EMBLEM of JAIL
2. G.Z.S.K.K
3. キューソネコカミ
4. STARGAZER
5. QUALTIER LATIN
6. 理想
7. MOONLIGHT of JAIL
8. HELLO, again
9. MISSING
10. PRIDE
11. 真面目complex
12. 嘘と陽炎
13. GIRL HUNT
14. Derringer

DaizyStripperの6thフルアルバム。
Gt.まゆさんが活動休止となり、4人編成としては初のアルバム作品となります。

5ヶ月連続でリリースされたシングル5曲、および先行シングル「G.Z.S.K.K」を含む、全14曲。
初回限定盤には、シングル6作のMVや、ドキュメント映像を収録したDVDが付属。
CDのみの通常盤、簡易ジャケットながら2,000円を切るスペシャルプライス盤と、3種類が同時リリースとなりましたが、収録曲はどれも同一です。

新体制の1発目。
これまで、"優等生"と言われてきたことをぶち壊す意図を持って制作されたという、この「TRAGUS」ですが、確かに、アグレッシブに攻めてきた。
「G.Z.S.K.K」、「キューソネコカミ」と、激しくパンキッシュな楽曲を立て続けに。
このタイトルはどうよ、と思うものの、こういう楽曲をスタンダードにしているイメージがないだけに、勢いがあってガツンとインパクトを与えますね。

今作では、攻撃的に行くのだな。
そう思いきや、意表を突いたのは、「QUALTIER LATIN」。
異国のカフェを連想させる、フレンチポップに仕上がっていて、ラルクがアクセント的に演奏していそうなナンバーに。
Vo.夕霧さんのハイトーンボイスは、案外、こういう楽曲にも映えるのか。
かなり好みですよ。
メロディアスな「STARGAZER」から繋がることで、唐突感をマイルドにしているのも、忘れてはいけない工夫。

前半戦の締めは、デジタルサウンドとバンドサウンドを絡ませた「理想」。
「G.Z.S.K.K」などとは少し異なるタイプの激しさを。
勢いだけではなく、ヘヴィーさもアピールしていきます。

インストを挟み、「HELLO, again」、「MISSING」とシングルを続けて送り込む後半戦。
「PRIDE」は、これをリードトラックにしても良いのではないかと思わせるパワーを持った楽曲です。
ガツガツとした勢いがあり、Bメロをまるまる語りで使ってしまう構成も、衝撃度は抜群。
メッセージ性の強さを、こういう形に昇華してきたか。

エレクトロなサウンドを押し出した「真面目complex」、ポップさがあるのだが、実は展開にこだわりが見える「GIRL HUNT」を、シングルの間に織り交ぜてアクセントに。
ラストは、やはりシングルの「Derringer」でクローズ。
気持ち良い疾走感で、後味がすっきり。
ボリューム感があるので、最後はお腹いっぱいになるかな、とも思いましたが、後半をあっさり気味にしたのが奏功したと言えるでしょう。

要所要所はシングル曲が担っており、間違いなく、コアとなるのはこれらの楽曲。
そう書くと、置きに行った印象を受けるかもしれないのだけれど、本作はその逆。
王道から邪道まで、アッパーチューンからバラードまで。
このバラバラなシングルたちを、アルバム曲により、よくもまとめあげたものだ。
その分、バランサー的な楽曲が増えてしまってはいるのだけれど、やりたい邦題のシングル曲と、足りないピースを埋めつつ新境地を目指すアルバム曲、絶妙な落としどころに持ってきたと感心します。

本作では、夕霧さんにしかできないハイトーン歌唱は控えめだったのだけれど、それ以外の武器を増やすことができたのだから、大きな収穫。
逆境をカンフル剤に変えて、まだまだ底が見えないなと思わせた一枚です。

<過去のDaizyStripperに関するレビュー>
HUMALOID
AIR
KISS YOU
Dearest
CROSS