世界中がコロナ禍で翻弄された2020年も既に師走である。12月に入った途端「解禁!」とばかりにジャズ•ヴォーカリストはクリソン(クリスマス•ソング)を競って歌い出す。欧米なら年末年始休暇中は1月でもクリスマス•シーズンだが日本は12/25まで。なので、どんなにたくさん名曲があってもこの1ヶ月弱しか歌えないからだ。
実際にはX'マスと関係はないがクリソン同様にこのシーズンによく聴く曲に「星に願いを(When You Wish Upon A Star)」がある。ディズニーランドのイメージもあると思うがそれもそのはず、この曲は1940年(昭和15年)のディズニー長編アニメ映画「ピノキオ」の主題歌として作られ同年のアカデミー歌曲賞も受賞している。
つまりこの曲は、クリソンを自分のレパートリーに持ってないヴォーカリストがX'マスシーズンに歌える曲というだけでなく、映画音楽特集でもOK、ディズ二―・ソングなので子供向けやファミリー向けでもOK、そして誰でも知ってるスタンダードとして(本来X'マスとは関係ないから)真夏に歌ってもOK、という実に便利な曲なのだ。
私もレパートリーにしているが毎回歌う際に「願い」が単数か複数かで迷うのだ。もし「願い」が複数ある(Dreams)なら、When you wish upon a star your dreams come true. だし、単数(Dream)なら、動詞のcomeに「三単現(三人称/単数/現在形)のs」が付いて、When you wish upon a star your dream comes true. となる。
普通に考えれば、人間は複数の夢を持っているだろう。初詣でも「無病息災」「家内安全」「商売繁盛」など複数の「願い」をかけるから複数形で歌うのが自然な気もするが、“恋する乙女”のように「今はただ彼との恋が成就しますように」と一つの願いだけを抱いている時なら、単数形で歌うのもアリ、な気もする。
星にかける「願い」が単数か複数か、つまりDreamとcomeのどちらに「s」を付けて歌うか、迷いながら歌い始めた挙句、どちらにも「s」を付けなかったり両方に付けてしまったりすると、英語で歌っている以上、恥ずかしい。もし迷うのが嫌な人は日本語詞で歌えば「願い」となってどっちともとれ、「s」の呪縛から解放されるが…。
こうした悩みを持つのも歌詞を操るヴォーカリストならではのことで、楽器のミュージシャンは全く考える必要もないし、こんなことで悩むなんて考えられないだろう。ということで、様々なアーチストの演奏の中でも歌入りバージョンに絞って、有名なヴォーカリスト達がどのように考え、歌っているのかを参考にしてみたい。
これだけ有名なスタンダードなので様々なアーチストが歌っているが、いったいどっちで歌っているかというと?サッチモことルイ•アームストロングは複数、ジュリー•アンドリュースは単数、ロッド•スチュアートは複数、ペリー•コモは単数、マイケル•ジャクソンは複数、リンダ•ロンシュタットは単数、ビリー•ジョエルは複数…。
う~ん、こうなったらやはり本家本元である映画「ピノキオ」がどうだったのかである。ピノキオは「人間になりたい」という1つの夢を持ってたから単数だろう。オリジナル・サウンドトラックでジミニ―(コオロギ)役のクリフ•エドワーズは…え?マジか!複数だ!
おいおい、ピノキオ、お前、ちょっと欲深過ぎないか?
♪When You Wish Upon A Star Duet with 牧かおる 2019年12月6日・渋谷「SEABIRD」にて♪・・・1コーラスのみでリフレインして(リタルダンドせずに)終わるはず(譜面)だったのに…(この時は「単数形」)。
Saigottimo
















