ガラスを割れ―最終便に間に合えば―
過去のエピソードは下記からどうぞ
私の名は与田有希 20歳
私は波乱万丈の人生を歩んでいる。
16歳の時に家出をして
同じ年の藤原城一郎と云う男と
同棲を始めた
だが、ろくでもない男で
一緒に悪の道に染まり
17歳の時に
一緒に盗みに豪邸に忍び込んだが
住人に見つかり、
そばにあった花瓶でなぐったら
死んでしまった。
私たち二人は間もなく逮捕され
2年間少年院で過ごすことになった。
出所後、私は真面目に働いたが
すぐに馬鹿らしくなり、城一郎と再会して
また一緒に暮らしだした。
彼は、闇金に勤務して
生計を立てていた。
当然アコギな商売である。
そしてある日
城一郎から電話が入った。
「今日の夜、事務所から金を盗み出す。
それを持っていくから、羽田空港で
まち合わせよう。
最終便でシンガポールに行って
今度こそ人生をやり直そう。」
彼も出所後一度は真面目に働いたが
私と同じく挫折して闇金で働いた。
だが、闇金事務所のお金を持ち出して
私と海外に逃げて今度こそ
真面目に生きようと決心してくれた
嬉しい・・・
私も彼についていけば
生まれ変われる気がする
私は荷物を整え
羽田発 21時15分
シンガポール行きの最終便に
乗るためにアパートを出た。