⛩【菊と稲荷】古事記の行間『導きの神』2:道化師。 | 神仏広告代理店

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【菊と稲荷】

とにかく古事記は説明不足。

 

ならばその行間を妄想で埋めましょう。

 

 

 

 

そんな菊田の古事記の行間。

 

 

第一弾の『スサノオ神楽』は解読アリで未完でありますが💧

 

今回のお話は、頭に現れた純粋な物語としての行間です。今のところ。

 

 

 

 

という事で、書く書くと言っていました

 

猿田彦大神と天鈿女命の物語。

 

 

 

 

射手座満月の夜に始まり、今夜は2話目。

 

始まり始まり

 
 
 
***
 
 
 
天鈿女命は、高天原で様子をうかがっていた
 
天照大御神に光放つ何者かについての報告をした。
 
 
 
御子の天降りを知っていたという事。
 
戦う気はなく、先導のために来ていた事。
 
 "猿田彦" という名の国津神である事。
 
 
 
「……悪い者ではない……気がしました」
 
天鈿女命は、まっすぐに名乗った猿田彦神の姿を思い出した。
 

 

 

 

「なるほど。敵対意識はないという事だな」
 
天照大御神は天鈿女命を見ながら頷いた。
 
 
 
 
「天鈿女命がそう言うなら大丈夫であろう。
 
その者を信用しよう。ただ……」
 
 
「ただ?」
 
天鈿女命は聞き返した。
 
 
 
 
「天鈿女命はその者に付いておく事」
 
 
天鈿女命はウンと頷き、天孫降臨の一団に戻っていった。

 

 

 

 

天孫降臨の旅の再開である。

 

一行は天鈿女命を先頭に、まだ光を放つ猿田彦神の待つ分岐点を目指した。

 

 

 

「瓊瓊杵命様、私は猿田彦神と共に先導します」

 

天鈿女命はそう告げると、真っ先に大地に降り立った。

 

そして一行を待っていた猿田彦神の前に歩みを進めた。

 

 

 

長身の猿田彦神は空から近づく一団を目にして、随分前から立ち上がって迎えていた。

 

 

上空から見ている時はさほど分からなかったが、

 

女神の中でも背が高い天鈿女命にとっても、その身の丈は高かった。

 

 

 

「先ほどは失礼した。私の名は天鈿女。

 

此度、天照大御神様から御子の天降りのお伴を仰せつかった」

 

 

天鈿女命はまず名乗り、続けて一団に猿田彦神の事を説明した。

 

 

 

「高天原も美しい国である事でしょう。

 

この中津国にはきっと珍しく面白いものが多くあると思います。

 

高千穂までのこの国の道をお楽しみ下さい」

 

 

 

猿田彦神は笑顔でそう言うと、分かれた中の1本の道を進み始めた。

 

 

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ふと猿田彦神の足元を見ると、かさ上げするような木製の履物を履いている。

 

 

「珍しい履物だな」

 

天鈿女命は小走りで追いつき、声をかけた。

 

 

 

「ああ。こうでもしないと歩く速さが抑えられないだろうから」

 

「速さ?」

 

 

 

確かに猿田彦神の履物は均衡がとり辛そうだ。

 

地上よりも実際の足がかなり浮いている。この履物がより背丈を上げていた。

 

 

 

 

見るだけでも歩くのに難儀しそうな履物だが、

 

猿田彦神はすいすいと山道を進んでいく。

 

 

 

天鈿女命はその脚さばきに感心しながら、その背中を追った。

 

 

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「意外に早いな」

 

「?」

 

 

突然の猿田彦神の一言に、天鈿女命は顔を上げた。

 

猿田彦神が天鈿女命を見て、微笑んでいた。

 

 

 

 

「早い?」

 

「ああ。高天原の神はもっとのんびりとしか動けないと思っていたよ。あ、でも」

 

 

 

そう言って、猿田彦神は背伸びして遠くに目をやった。

 

 

 

「早いのは天鈿女命だけだな」

 

「え?」

 

 

 

天鈿女命も振り返って、猿田彦神が見ている後ろを見た。

 

 

 

「ああ! みんながいない!」

 

しまった。歩くのが早すぎたのか、後ろに誰も付いてきていなかった。

 

 

 

 

「戻った方がいいか……気が付かなかったなんて……!」

 

「大丈夫だ」

 

 

焦る天鈿女命に飄々と猿田彦神は答え、そして続けた。

 

 

 

「ここまでは尾根道で迷う道じゃない。ここから先は谷になるからここで待っていよう」

 

「でも……!」

 

おろおろする天鈿女命をよそに、猿田彦神は木陰に腰を下ろした。

 

 

 

「初めて見るこの国の森を楽しみながら、ゆったり歩いているのかもしれないよ。

 

さっきも言った。見晴らしも良くて迷いようのない道だから大丈夫だ。

 

天鈿女命だってそれを楽しみがら進んでいたから、後ろに気がつかなかったんだろう?」

 

 

「………」

 

 

 

天鈿女命は猿田彦神の脚さばきに夢中だった事に気がついた。

 

その気づきを打ち消すように、木を見上げた。

 

 

 

 

青い空は澄んでいて、雲がゆったりと動いていく。

 

広がった枝を覆う葉が風に揺られ、木漏れ日がちらちらと射す。

 

 

小鳥が行ったり来たりしながら、ぴぴぴと鳴いている。

 

 

足元の小さな花も初めて目にする……

 

 

 

 

新しい景色は、確かに物珍しくて興味深い。

 

 

 

 

そうか。

 

みんなも案外楽しみながら来ているのかも。

 

 

 

 

ゆったりと待つ猿田彦神につられてか、

 

天鈿女命もふうと一息ついた。

 

 

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「にしても天鈿女命は、山に慣れている者のようだ」

 

「私は踊るのが好きだから……身が軽い」

 

 

 

「天鈿女命」と何度も呼ばれて、なんだか落ち着かないでいた。

 

ちらと猿田彦神の方を見ると目が合い、猿田彦神は笑った。

 

 

 

「……なんであの時」

 

「ん?」

 

 

 

笑顔を見た天鈿女命は、

 

座っている猿田彦神を見下ろしながら、つい小声で訊いてしまった。

 

 

 

「……笑わなかった?」

 

「"あの時" ?……とは?」

 

 

 

 

「初めて会った時だ。なぜ、笑わなかったのだ?」

 

 

 

 

猿田彦がまばたきをした。

 

そして訊き返す。

 

 

 

 

「逆に訊きたい。なぜあのような場で笑う事ができる?」

 

 

 

 

「……みんなは笑った」

 

「…………」

 

 

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「私は不格好でおかしいんだ。だからみんな大笑いした。

 

奇妙で滑稽。だけどそれがみんなの役に立ったから……」

 

 

「どういう事だ?」

 

 

 

 

猿田彦神は大きな目に眉を寄せて、天鈿女命をじっと見た。

 

 

 

 

風がまた枝葉を揺らし、足元の影もさわさわとうごめく。

 

頭上で鳴いていた小鳥たちが、いっせいに飛び立った。

 

 

 

 

《続く》

 

 

 

この『⛩【菊と稲荷】古事記の行間・導きの神』は、日本神話をベースに降りてきたシーンを

菊田フィルターで書いています。

 

古事記に限らない日本神話全般がベースなのですが……なんとなく響きが気に入って。

 

 
 

 

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